いつも気にはなっていたのですが、茂木氏の考え方を「活字」で辿ったのはこの本が初めてでした。
私にとっては、いろいろと刺激的な考え方を知るいい機会になりました。
たとえば、テクノロジーを擬人化する言い方についての茂木氏のコメントから、「ディタッチメント」という考え方についてです。
(p40より引用) それは、イギリス人のある種のディタッチメント(detachment)、つまり、自分自身の立場を離れて公平客観的にものを見つめるという姿勢につながっている気がします。・・・全体としてどういう潮流が生じているのかを冷静に考えるセンスがある。その判断を、個人個人のストラテジーに関連づけながら、制度設計までも含めてかたちづくることが、イギリスの人たちはものすごくうまい。
現実を踏まえたプラクティカルなセンスとヴィジョンベース・コンセプトベースの思考とが、うまくバランスし融合された考え方のようです。
(p41より引用) 形而上学的にすぎる「あるべき論」を立てるのではなく、人間というのはこうふるまうものだと理解した上で、人間社会はおそらくこういう方向に向かうだろう、というある種のビジョンや見通しを立てる。そこから、制度設計やルールを考える。
もうひとつ、茂木氏のコメントで興味深かったのが「補助線」についてのコメントです。
(p136より引用) 僕は、昔からものを考えるときに、「補助線を引く」ということを大事にしています。・・・最近は「自らが補助線になる」ということをいつも考えているんです。自らが身を挺して補助線になり、それによって、周りの人々にこれまで見えづらかった世の中のありようが見えるようになる。そんな活動をしたいなと思うようになったんですよ。
中学や高校の図形の問題で、「一本の補助線」によっていきなり思考が拓かれた経験は誰しも持っていると思います。
周りの人々に、そういう爽快な気持ちを与えつつ新たな視界を拓く手助けをするのが「自らが補助線になる」という姿勢であるならば、私にとっても、目指すべき「目標」のひとつにしたいと思います。
最後に、本書における両氏のコメントの中で象徴的だと感じたものをそれぞれワンフレーズずつご紹介します。
「はじめに」での茂木健一郎氏のコメントです。
(p15より引用) 未来は予想するものではなく、創り出すものである。そして、未来に明るさを託すということは、すなわち、私たち人間自身を信頼するということである。
私たちが人間を信頼すればするほど、未来は明るいものになっていく。
そして、「おわりに」での梅田望夫氏のコメントです。
(p207より引用) 同時代の常識を鵜呑みにせず、冷徹で客観的な「未来を見据える目」を持って未来像を描き、その未来像を信じて果敢に行動することが、未来から無視されないためには必要不可欠なのである。
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フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656) 価格:¥ 735(税込) 発売日:2007-05-08 |