いつもの図書館の新着書リストの中で目に留まった本です。
このところの五木寛之さんのエッセイは“晩年の生き方”といったテーマのものが多く、ちょっとワンパターン化されてきているようにも感じますが、それでもやはり気になります。
本書は比較的最近の「週刊新潮」に連載された小文を中心に再録したものとのことです。
いつものようにちょっと印象に残ったくだりを書き留めておきます。
今回はひとつだけ、「逝きし人の歌声」というタイトルのエッセイから、盟友野坂昭如氏を語ったフレーズです。
(p99より引用) 野坂昭如がいる、ということで私は仕事を続けてくることができたとあらためて思う。
そういう存在にめぐまれたことは、私の幸せであった。彼と反対の方向へ歩いていけばいいのだ、と自分に言いきかせていたからである。
五木さんは私の父親世代ですが、私もこの歳になると、五木さんが描く時代感とテンポが心地よく感じるようなってきました。これからも五木さんのエッセイが出るたびに手に取るでしょう。