秋を詠う…… 山頭火
秋の長雨というのでしょうか、
台風のせいもあって3日以上も雨が降りつづいている。
朝晩の気温もめっきり冷え込んできています。
各地の紅葉の便りを聞けば、
秋は錦秋の彩を陽に輝かせて、
樹々たちが冬眠に入る前の最後の命の輝きであり、
春の芽吹きの前のひと時の安らぎなのだろう。
山頭火には哀しく寂しい秋が似合う。
うしろすがたのしぐれていくか
放浪をかさね、命ぎりぎりの生を生きた山頭火の後ろ姿が時雨のなかへ消えていく。
山頭火よ!
幻のように見えない人生の坂を超え、あなたは何処へ向って歩いていたのか。
どうしようもない私が歩いている
やっぱり一人はさみしい枯れ草
僧形姿で托鉢行脚をつづける山頭火は、
自分の姿を「どうしようもない私」と卑下し、
山野の露の下を仮寝の宿とする。
雨ふるふるさとははだしであるく
沈み行く夜の底へ底へ時雨落つ
どこまでも寂しい山頭火です。
秋の底へ、
深く深く沈んでいく山頭火です。