雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

便利なことはいいことか

2017-12-12 19:00:00 | 昨日の風 今日の風

便利なことはいいことか
   北海道新幹線

  
 世界最初の高速鉄道・東海道新幹線が東京―新大阪間を走り始めてから52年を経て、ついに新幹線は北海道へ乗り入れることができた。
 
科学が進歩し時代が進むに従い、私たちは利便性を手に入れてきたが、情緒という大切なものを失ってきた。
 朝日新聞コラム・素粒子では「速さが情緒を追い抜いていく」と称した(2016/3/26夕刊)。

 情緒豊かな夜行列車も青函連絡船も遥か郷愁のかなたに消えていった。
上野駅東北本線のプラットホームに立てば、
北国の匂いを充満させた長距離列車が白い蒸気を吐きながら、
乗り込む乗客を待つ。
酒の匂いとタバコの充満する社内。
こういう雰囲気がたまらなく好きだった少年時代。
今から60年も前の風景だ。

 最速4時間2分で走る北海道新幹線だが、一日10往復(飛行機は8往復、1時間20分~30分)。
    最高時速:240㌔
    東京からの料金:22,690円 (飛行機は27,100円~35,200円)
    2030年度に札幌までの延伸を目指している。
 「ついに津軽海峡を通って北海道の地に乗り入れることになった」と、北海道新幹線開通の挨拶でJR東日本冨田社長は感慨深げであった。
東京から新函館北斗間を4時間2分で走る速さに驚き、
我が国の新幹線の技術に感動したのを覚えている。

 しかし、熱が冷めてしまえば、乗車率も減少傾向にあり、
更なるスピード化を計画せざるを得ないようだ。
JR北海道の島田修社長は16日の定例記者会見で、
在来線特急と同じ時速140キロに抑えている青函トンネル区間での北海道新幹線の最高速度について、
160キロへの引き上げを検討すると明らかにした(青函トンネルを含む約82キロ区間は、在来線の貨物列車と線路を共用しており、新幹線とすれ違う際に荷崩れを起こす懸念から、速度を制限している)。
実現すれば、
現在は最短で
4時間2分の新函館北斗-東京の所要時間が3分ほど縮まり、
空路から需要がシフトする目安とされる4時間を切る。
 所要時間は3時間59分となる。たった3分の短縮だが、空路対応策としては大きな前進なのだろう。これは高速化の第一段階で、さらに共用区間でも最高速度の260キロで走らせる検討を進めている。
 
※共有区間:トンネルとその前後の区間は新幹線と貨物列車が線路を共用し走行している。新幹線開業が具体化していく中で、高速走行する新幹線が貨物列車とすれ違うときに生じる風圧で、貨物の荷崩れや脱線といった危険性が指摘された。そのため、現在は140㎞/hで走行している。

 空路との熾烈な戦いの結果なのだろうが、情緒がなくなり、車内に東京の匂いをのせたまま新幹線は北の大地に到着することになる。
便利さを一つ得るたびに
何か大切なものを失っていくような気がしてならない。

(2017.12.11記) (昨日の風 今日の風№82)

 

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