4月6日(土)ETV特集“原発のリスク”を問い直す~米・原子力規制元トップ 福島への旅~ を見た。
【再放送】2013年4月13日(土)午前0時45分
この番組での、米国原子力規制委員会(NRC)元委員長ヤツコ氏の発言(字幕)を中心に紹介する。
アメリカをはじめ世界の原発関係者は、原発が事故を起こした場合のリスクを“被ばくによる死亡”の確率を基準に考えてきた。放射能に被曝し人が短期間に死亡する確率を計算し、その確率を自動車事故、転落、火事、水難、などの一般的事故と比較すると極めて低いものでした。その確率は50億分の1、例えば隕石が落ちてきて人が死亡する確率より低い安全なものとされた。今回のような、大規模かつ長期にわたる住民の避難は、原発事故のリスクとして視野に入っていなかった。
米国原子力規制委員会の“福島第一原発事故の考察についての短期的タスクフォース”は、2011年7月12日、報告書『21 世紀における原子炉安全性強化のための提言』した。
米国原子力規制委員会総会?におけるヤツコ氏の発言
●福島の教訓から学ぼうと安全対策の強化が提言されています。
●日本では大勢の人々が住む土地を追われ、人生と未来を奪われたままです。
●これは想像を絶する苦難であり、二度と繰り返してはなりません。
●健康被害がほとんど出ていないからといって、放射能の大量放出を容認できるか?
●私たちは最も基本的な問題を、自らに問い直さなければなりません。
●現行の安全目標をもとに判断すれば「イエス」となります。
●しかし、福島の事故後の業界や政府、市民の不安をもとに判断すれば「ノー」です。
●本当の答えは「ノー」であることは明らかです。
しかし、米国原子力規制委員会の他のメンバーは、「ヤツコ委員長の提案は支持できません」であった。世界の原子力関係者の反応もほとんどなかった。
そして、2012年07月05日 「原子力業界に圧力を」とヤツコNRC委員長、退任の弁(日本ジャナリスト会議)
福島原発事故は規制当局と事業者のもたれ合いによる人災=国会事故調(ウォールストリートジャーナル)
●私は原発の安全性を新たな形で定義する必要があると思っています。
●事故の時、大規模な避難をしなくても済むような原子炉の設計を考えなければなりません。
●全ての事故を起こらないよう防ぐのはあまりに難しいからです。
●原発事故で大勢の人が強制的に避難せざるを得ないような事態を避けるべきです。
●大規模で長期の住民避難は受入れ難いものだからです。
●原発の安全考える上で大きな問題は、事故を確率論で考えてしまうことです。
●事故の確率が100万分の1でも、「明日起きないとは限らない」という事を忘れがちです。
●100万分の1の確率とは「100万年に1回しか起きないと言う意味ではないのです。
●規制機関が判断を働かせ、想定外と思われる事態に対しても、対策をする必要があると決定を下さなければならないのです。
●今回の規模の津波が過去にも起きていたという指摘があります。千年や二千年に一回というのは大いにあり得るとは言えません。けれども実際に起きたのです。起きてしまってから「対策の不備」指摘しても意味がありません。
●電力会社は「起きる確率の低い」事故に注意を払おうとはしません。規制機関は「起きる確率の低い」事故に目を向け、難しい決断を下さなければならないのです。
●「信頼を得るというのは大変だが失うのは容易だ」ということです。信頼を取り戻すには判断を下す時の透明性がとても大事なのです。
政府や電力会社は
●本当の意味での住民との新たな契約が必要です。「社会に重大な影響を与えるような事故を決して起こさない」という契約です。原発の安全の新しい考え方で必ず実行すべきだと思います。原発事業者や政府には責任があるのです。周囲の住民に甚大な被害を与えてはならない責任が生まれるのです。福島の事故は住民との契約が欠かせないということを明らかにしました。大量の放射性物質の放出や大規模避難を許さないという契約です。住民と原発事業者に新しい「社会契約」が欠かせないのです。
原子力規制組織の人材確保について(国会事故調メンバーの質問に答えて)
●規制機関は法的な独立だけでなく、機能面でも独立していなければなりません。原発の検査や確認を行い、判断を下せる人材を独自に確保しなければなりません。それは非常に難しく継続的な人材育成が必要です。
日本で安全な原子力発電は可能か???
地下貯水槽から汚染水漏れ=100トン流出の可能性も-福島第1原発・東電
東京電力は5日、福島第1原発の敷地内で放射性物質ストロンチウムなどを含む汚染水約1万3000トンを保管する地下貯水槽から、周囲の土壌に水が漏れたと発表した。
※ストロンチウム(半減期30年)β線を放出⇒骨に蓄積。 ⇒ 骨髄細胞を破壊し白血病を引き起こす。セシウムと違って骨に沈着し体外に排出される事はない。