憲法は国家の最高法規だ。そしてそれゆえ硬性憲法(こうせいけんぽう)主義を採用している。その改正にあたり通常の法律の立法手続よりも厳格な手続を必要とする成文憲法のこと。日本国憲法やアメリカ合衆国憲法硬性憲法など欧州を始めとして、各国に例が多い。
4/22 参議院予算委員会で安倍首相は憲法改正について「6~7割の国民が変えたくても、3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば、指一本触れられないのはおかしい」と指摘し、発議要件を緩和する96条の改正に改めて意欲を示した。具体的には、憲法改正の発議要件を緩和するために憲法96条を改正し、憲法改正の発議要件を「両院の3分の2以上の賛成」から「過半数に引き下げる」事だ。自民党はこの夏の参議院選挙の争点にするという。正々堂々と、自民党の憲法改正案を発議するのではなく、先ず96条を改正して、ごく普通の法律案と同様に、過半数あれば簡単に「憲法改正」してしまおうという魂胆らしい。アベノミクスがどうなるかわからないが、支持率が異常に高くこのまま参議院議員選挙に持込めば、衆参両院において3分の2で憲法96条を改正出来る事になり、この際位いつでも憲法9条を改正できるよう、ドサクサに紛れてやっちゃえという誘惑に駆られたらしい。
しかしこれには、9条改憲派の小林節・慶應大学教授も「96条会見は邪道」と批判している。「(憲法によって)縛られた当事者が『やりたいことができないから』と改正ルールの緩和を言い出すなんて本末転倒、憲法の本質を無視した暴挙だよ。近代国家の否定だ。9条でも何でも自民党が思い通りに改憲したいなら、国民が納得する改正案を示して選挙に勝ちゃいいんだ。それが正道というものでしょう」
では、日本の憲法改正は世界各国より「指一本触れられない」ほど、難しいのだろうか?
各国の憲法改正手続き
日本:衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成+国民投票で過半数の賛成
アメリカ:上下両院の3分の2の賛成+全米50州のうちの4分の3の議会での批准
カナダ:連邦議会の上院・下院の議決+3分の2以上の州議会の議決、(ただし議決した州人口が全体の過半数あること)
ロシア:連邦議会上院の4分の3、下院の3分の2が承認+共和国・州・地方などの連邦構成体議会の3分の2の承認
韓国:議員の3分の2の支持及び韓国ではそれに伴う国民投票。
ドイツ:国会両院(連邦議会・連邦参議院)の3分の2以上の多数
国会の場での、「6~7割の国民が変えたくても、3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば、指一本触れられないのはおかしい」という安倍総理の発言は、国民を欺こうとするものだ。「指一本触れられないのは」、憲法を変える必要性・どこをどう変えるのか・国民的議論がまったく進んでいないからだ。
改憲賛成に関する考え方は各政党でも中身はばらばらだ。制定から67年、「本当に国民の為に」憲法を改正する必要がなるのなら、当然安倍総理自身を含む国会議員の怠慢だ。「指一本触れられないのは」は当然の事だ。