最近読んだ本の中では、飛び抜けて陰鬱な気分になる本だった。
母親が決めた望まない歳の差婚によってもたらされる、若い娘の絶望的な日常を延々と描いていく。

「あなたは誰?」アンナ・カヴァン(著)佐田千織(訳)2015.1.15 文遊社(刊)
白人の墓場と呼ばれる熱帯の植民地で、望まなかった結婚の代償として与えられる試練をこれでもかと描く。
軒端のタマリンドの木で、人の話し声さえも遮る程の音量で「Who are you?」と啼くチャバラカッコウの声。
冒頭から最後まで、この鳥の声が作品全体を包み込む。
夫や使用人は、善玉の娘にとっては完全な悪玉に徹していて、白馬の騎士のような娘と同年代の若者が唯一の救い手となる。
が、唾棄すべき夫の元から若者と共に逃げることは可能である筈なのに・・・・。
作者が60歳の頃の作品だというから、その娘の心中を表現する感性には驚くが、娘というより女の情念のようなもの、男と女の間にある埋めがたい闇をこのくらい見せつけられると、男の私は少々辟易する。

今朝は、雨がしょぼしょぼと降っていて里山も雲に霞んで見える。
この天気をスカッと瞬時に晴れさせる事が出来ないのと同様、現状を変えようとしても変えられない鬱積したものを持ち「Who are you?」という声を聞き続けている若者が沢山いることは間違いない。
母親が決めた望まない歳の差婚によってもたらされる、若い娘の絶望的な日常を延々と描いていく。

「あなたは誰?」アンナ・カヴァン(著)佐田千織(訳)2015.1.15 文遊社(刊)
白人の墓場と呼ばれる熱帯の植民地で、望まなかった結婚の代償として与えられる試練をこれでもかと描く。
軒端のタマリンドの木で、人の話し声さえも遮る程の音量で「Who are you?」と啼くチャバラカッコウの声。
冒頭から最後まで、この鳥の声が作品全体を包み込む。
夫や使用人は、善玉の娘にとっては完全な悪玉に徹していて、白馬の騎士のような娘と同年代の若者が唯一の救い手となる。
が、唾棄すべき夫の元から若者と共に逃げることは可能である筈なのに・・・・。
作者が60歳の頃の作品だというから、その娘の心中を表現する感性には驚くが、娘というより女の情念のようなもの、男と女の間にある埋めがたい闇をこのくらい見せつけられると、男の私は少々辟易する。

今朝は、雨がしょぼしょぼと降っていて里山も雲に霞んで見える。
この天気をスカッと瞬時に晴れさせる事が出来ないのと同様、現状を変えようとしても変えられない鬱積したものを持ち「Who are you?」という声を聞き続けている若者が沢山いることは間違いない。
