菜緒も同じ思いを抱いていたのだろうか?つまり私をライバルとして見ていたとしたら、それは光栄だ。その雑誌が掲載された直後の研究会で、私に対する態度が変わったように感じた。特に対局の途中で、菜緒が指した手に対して質問した時などは、あからさまに不快な表情で、手の内を隠す言葉を並べた。
その後、2,3回、研究会は開かれたが、8月ごろ「受験生なので」との言葉を残し、菜緒は先生宅を訪れなくなり、この集いは消滅した。確かに菜緒は中学3年なのだ。それでも、この砂上の集まりにも、私にとっては意味があった。菜緒の将棋の内部をかなり理解できたのだ。だから勝てるという訳ではない。むしろ、想像以上の彼女の才能、スケールの大きさを見せ付けられ、菜緒を倒す困難さをより感じている。しかし、それこそ最大の収穫なのだ。並大抵の努力では、私は菜緒に歯が立たなくなるという事が、はっきりと分かったのだ。
その後、2,3回、研究会は開かれたが、8月ごろ「受験生なので」との言葉を残し、菜緒は先生宅を訪れなくなり、この集いは消滅した。確かに菜緒は中学3年なのだ。それでも、この砂上の集まりにも、私にとっては意味があった。菜緒の将棋の内部をかなり理解できたのだ。だから勝てるという訳ではない。むしろ、想像以上の彼女の才能、スケールの大きさを見せ付けられ、菜緒を倒す困難さをより感じている。しかし、それこそ最大の収穫なのだ。並大抵の努力では、私は菜緒に歯が立たなくなるという事が、はっきりと分かったのだ。