スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&相対性理論

2022-12-05 19:35:45 | 将棋
 2日と3日に指宿温泉で指された第35期竜王戦七番勝負第六局。
 藤井聡太竜王の先手で角換わり相腰掛銀。先手が1筋を破る展開になりました。
                                        
 ここで広瀬章人八段は☖2五桂と跳ねました。この局面は☖4四角と逃げるのが最も普通の手でしょうから,意表の一手といえます。☖4四角と逃げると後に思わしくない変化があることを発見したか,そうでなければ☖2五桂で戦えると判断したかのどちらかだと思いますが,これはどちらであったのかは分かりません。
 先手は☗3三銀成☖同金と角を取った後で☗5五香と応じました。後手はここで熟慮して封じ手にしています。この熟慮も,☗5五香を軽視していたための苦慮であったのか,それとも封じ手の後に狙っていた手があり,1日目のうちにそこまで進めるのを避けたのかのどちらかだと思われますが,どちらであったのかは不明です。
 封じ手は☖3八銀でした。これに対して☗4六飛と上に逃げましたが,この手は後手にとって意表の一手だったのだろうと推測します。というのもこれは実戦のように☖3七銀と打てば先手の飛車の逃げ場がないからです。しかしそこで☗5四香☖4六銀成としたときに☗2六角と打つのが好手で,これで先手が優位に立ちました。
                                        
 ☖3七銀とすぐに打ったのが実は拙く,先に☖4四香と打っておけば先手は千日手を避けられなかったとのこと。全般的に先手の読みが後手の読みを上回っていたという印象の一局です。
 藤井竜王が勝って4勝2敗で防衛第34期からの連覇で2期目の竜王獲得です。

 ニュートンIsaac Newtonの物理学に基づく,速度は距離を時間で割ったものであるという公式や,それを支えている,長さや時間は絶対的なものであって,どのようなときにも同一であるという形而上学は,真理veritasであるか虚偽falsitasであるかというなら,虚偽であることが現在は明らかになっています。それが虚偽であることを明らかにしたのはアインシュタインAlbert Einsteinの相対性理論です。この相対性理論を支えている形而上学のひとつが,光速度不変の原理といわれるもので,光の速度はどのような観察者からも同一であるという原理です。これは単純な説明ですが,ここでは相対性理論を探求するわけではありませんから,この点だけ理解しておけば説明の上では十分です。
 相対性理論によれば,絶対的なものは距離いい換えれば長さや時間ではなく,光の速度であるということになります。他面からいえば,観察者がどのような状況にあっても,光速は同一であるということが絶対的なものであることになります。よって速度とか長さというのは,光速に対して相対的なものです。観察者はどのような状態にあっても光の速度を同一のものとして知覚するpercipereのですから,長さと時間の知覚perceptioも同一です。しかしもし各々の観察者の状態を俯瞰的に眺めることができるとすれば,長さ,たとえば1mという長さは観察者が静止状態にあるときに最も長くなり,光速に近づいていけばいくほど短くなっていきます。また時間,たとえば1秒という時間は,観察者が静止状態にあるときに最も短くなり,光速に近づいていけばいくほど長くなります。これが真理なのであって,長さと時間が絶対的であるとするニュートンの物理学は虚偽です。
 ニュートンからアインシュタインまではかなりの時間が経過していますが,少なくとも現時点では,相対性理論が真理であるということは明らかになっています。それでも僕たちは,速度というのは距離を時間で割ったものであるという虚偽の公式を義務教育の中で学ぶのです。ではなぜわざわざ虚偽を学ぶのかといえば,この公式は現代社会で生じる事象を,不都合なく簡潔に説明することができるからです。いいまえれば現代社会が求める形而上学の要件を満たすのです。

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