書き逃げアンドロイド。

副交感神経が優位になるような写真が好き。

○塔。

2016年02月06日 01時57分06秒 | 小説
線路が敷いてあって

一方は川の傍まで延びていて、舟から何かを小さなトロッコに載せて運んだのだろう。

いくつものトロッコが川の傍に何列かに並んでいる。

「何列かに並んでいる」ということは、線路には切替ポイントがあったはずなのだが

その記憶はもう定かではない。

線路のもう一方は緩やかなカーブを描きながら30mほど進むと線路は鐵骨で出来た塔に向かって上り坂になる。

その坂というのがとんでもない角度で、45度はあろう急な坂になっていて

塔の頂上付近にも数台のトロッコが停まっている

塔に上る線路の両脇には階段があるのだが、当然これも大変急で、確か手摺りはあったはずなのだが、既に塗装ははげ落ち塔全体が真っ赤に錆びた階段を登るのはとても恐かった記憶がある。

45度はあろう急な坂の頂上に数台のトロッコが停まっているので、もしこのトロッコが走り出したらとんでもないスピードで走り出すのではないかという恐怖感もあった。 大人になって考えれば、おそらくはこの坂の部分ではトロッコはケーブルか何かで上から吊り上げられていたはずであり、坂の頂上からトロッコが暴走するような機構にはなっていないはずなのだが、当時の私は塔の上からトロッコが暴走することを想像して「どうしてこんなふうになっているのだろう?。」と不思議に思っていた。

当時の私は、この塔が何なのか知らなかったのだが。 後にこの一帯は製鐵所の跡地で、高炉に鉄鉱石か何かを供給するためのものだったらしい。

だが、その時既に高炉も周囲の建物も全て取り壊された跡で、線路と、高炉につながっていたであろう塔以外は何も遺されてはいなかった。

広い敷地は一面低い雑草が生い茂っていたが、一本だけ細い獣道のような道が踏み固められていたので、時折誰かが通っていたのではないかと思うのだが。 自分以外の誰かが歩いているのを見たことはない。




そんなことを ふと急に思い出したのだ。

Ende;
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