さて今回は代表的なフローダイバーターであるPipelineの進歩についてお話ししようと思います。
この機器は初めて日本に導入されたフローダイバーターで、その後、2度のバージョンアップがなされています。
特に最新バージョンではステントの表面に加工がなされており、Shiled加工と呼ばれています。
これにより操作性がスムーズとなったばかりか、ステント表面に血栓がつきにくくなっています。
上段3つの画像は表面可能のないPipeline Flexで、下段3つがPipeline Shiledです。
違いがわかりますでしょうか。 下段の方が金属がはっきり見えます。
つまり、金属の表面にポリマー加工がなされたことで、ステントの表面に血液成分が付着しにくくなっているのです。
では、この加工によって実際の治療はどうなるのか?
以下の2つが考えられます。
1)フローダイバーター留置中の合併症が減少する
2)留置後の血栓性合併症が減少する
1)については実際に留置していて実感します。それまでではマイクロカテーテル内で抵抗があって誘導に強い力が必要なケースがありましたが、そのようなことが減りました。また、展開が難しいケースも減ったように感じます。
2)については少数例の経験が論文として報告されており、血栓性合併症が減少したとされています。
今回のShield加工が実際の臨床でどこまでの効果を示すかについてはまだ未知数です。
しかしこのような加工が進めば、血栓ができにくくなり、いずれは内服薬も早期に減量できるようになるかもしれません。
徐々に進化するPipeline。今後も注目していきたいと思います。