以前の続きです。
新しい経口抗凝固薬をNovel oral anticoagulant (NOAC)と呼んできましたが、最初のNOACの発売後4年が経過し、もはやnovel(新規)と呼べなくなってきました。
このため最近では 非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants: NOACs)と呼ばれるようになりました。同じ略語なので良いですね!
さてこれまで4種類のNOACが次々に発売され、混乱しそうな状況です。
そこで一覧表を作成しました(脳神経外科速報2014;24:198から改変)。
これを見ると4種類がそれぞれの特徴を持っていることが分かります。
まず、NOACとワーファリンを比較すると、大きく違うのは半減期と最高血中濃度到達時間。ワーファリンはどちらもとても長いですね。ゆっくり効いて、ゆっくり切れていく感じです。
一方NOACは0.5-1時間で効きはじめて、5-14時間で半減する。どちらも短時間です。早く効いて、早く切れるのです。
薬によって違うのが腎排泄の割合。この数値が高いものは、腎臓が悪い方には向いていません。
一方これまで説明したように、ダビガトラン(製品名 プラザキサ)とアピキサバン(製品名 エリキュース)は1日2回内服、リバーロキサバン(製品名 イグザレルト)とエドキサバン(製品名 リクシアナ)は1日1回内服です。
NOACはどれも採血の必要がありませんが、逆に言えばいいモニタリングの方法がないのです。一方、ワーファリンは血中濃度が不安定ですが、採血でモニタリングが可能です。
最後に、ワーファリンにはいくつかの中和薬がありますが、NOACには中和薬がありません。現在開発中らしく、待ち遠しいです。
どうでしょうか?ワーファリンとNOACとの違いが何となく分かりますね。
患者さん一人一人の状態に合わせて選択されるのはこのような薬の違いのためなのです。