脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
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脳卒中にならない5か条 その一「敵を知り」:どんな症状が出るのか?

2010年12月30日 | 脳卒中
つぎに、脳卒中ではどんな症状が出るのかについてお話しします。
上のスライドは以前このブログでも紹介したものです。
「顔、腕、言葉のどれかが障害されている時には高い確率で脳卒中である」というシンプルな評価法です。
これはシンシナティ病院前脳卒中スケール(CPSS)と呼ばれるもので、世界的に救急の現場で使用されています。

一方、上の図にはない重要な症状もあります。
その一つは「意識の障害」です。
これは話しかけても返事がない、倒れてしまうといった症状なので比較的だれでも見分けやすいため上のスライドの評価法からは除外されていると考えられます。しかし、意識の障害は顔面の麻痺に比べれば生命の危険に関わる重要な症状です。
特に脳底動脈などの閉塞ではCPSSでは異常を示さず、意識の障害だけが初症状のことが多くあります。
このためこれを加味した評価法が提案されており、倉敷プレホスピタルストロークスケール(KPSS)がその代表的なものです。
このKPSSはCPSSより詳しいだけあって、患者さんの経過(予後)ともよく相関することが報告されています。

またもう一つ重要な症状があります。それは、くも膜下出血の時の「頭痛」です。
くも膜下出血では上の図のような症状はありません。
「突然の激しい頭痛」だけが症状のことも多くあります。
頭痛に嘔吐や意識障害が加われば重症ですのでだれでも異常と分かりますが、症状が頭痛だけであったために見逃されてしまうことがあります。

以上、脳卒中でどんな症状が出るのかについてまとめました。
急に「脳卒中かな?」と思った時には上の図を思い出してください。

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脳卒中にならない5か条 その一「敵を知り」: 脳卒中とは何か?

2010年12月29日 | 脳卒中
まず脳卒中(のうそっちゅう)という言葉について説明します。
脳卒中というのは突然、脳の血管が切れて出血したり、脳の血管がつまる病気の総称です。
医学的には脳血管障害のうち急激に発症したものを指し、英語ではStrokeとかApoplexyと呼ばれています。

さて、それが分かってもこの脳卒中という言葉は難しいですね。
どういう意味なんでしょう?
「脳」に
「卒」に(急に)
「中」(あたる)
という意味です。

昔は原因が分からなかったので単に「当たった」と言われたり、「中風(ちゅうふう)」=「風に当たった」と言われたりしていました。脳卒中という言葉はそこから来ているものと考えられます。

この当たったという言葉ですが、英語の「Stroke」はテニスなどでラケットに「当てる」ことを指しますので、海外でも同じようなイメージがあることが分かります。

「脳に急に当たること」、これが脳卒中です。
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脳卒中にならない5か条 その一「敵を知り」

2010年12月28日 | 脳卒中
ではまず「脳卒中にならない5か条」の第一番目、「敵を知り」を説明します。
脳卒中が私たちの「敵」です。
これから予防しようとする敵を知らずして戦うことはできません。
まずは脳卒中のことを知って頂きたいと思います。

「脳卒中なんて、なんか難しそうだし、お医者さんにお任せしたい!」というのが正直なところだと思いますが、それでは予防しきれません。なぜなら脳卒中は生活習慣病だからです。
ですが逆に言えば、日常生活のちょっとしたことに気をつければ脳卒中予防は可能なのです。

まず「敵を知る」。書店にも様々な脳卒中関連の本が並んでいます。図書館にもあるでしょう。
もし興味があればぜひご覧になってください。
私のウェブサイトでも解説しています。
http://www.e-oishasan.net/site/yoshimura/index.html

まずは脳卒中というものを知り、だいたいのイメージをつかんで頂いたら、次にすすみたいと思います。
ここではこれまで紹介してきた脳卒中について私の講演のスライドを使ってざっとまとめます。
いつもご覧になっている方には繰り返しになりますが、少しつきあってくださいね。

上記スライドの順に説明します。
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脳卒中予防 はじめに

2010年12月26日 | 脳卒中
さてこれまでは主に脳卒中の治療について紹介してきました。
これからは予防法についてお話ししたいと思います。

まず脳卒中の予防には5つの要素が必要です。
上に、「脳卒中にならない5か条」としてまとめました。

次回から解説しますね。
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Merry Xmas!

2010年12月24日 | 閑話休題
みなさん、クリスマス楽しんでますか?_
私たちは病棟でケーキを食べましたよ!
まだ病院にいますが、外はみぞれ混じりのようです。
ホワイトクリスマスになるかなー?
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血管がつまらないように

2010年12月21日 | 脳梗塞
Oさん
「一歩間違えば自分も...と思うと不安になります。
どうしたら脳梗塞にならずにすむのか教えてください。」

次回から、以上にお答えしますね。

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メルシーの取材

2010年12月20日 | 脳梗塞
中京テレビの取材が下記で見れるようです。

http://www.ctv.co.jp/kodawaritime/2010/1219/index.html

出だしの紹介が大げさすぎるので、大変恐縮です...
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深部血管に対するバイパス術

2010年12月16日 | 脳梗塞
最近、脳の深い部分の血管に対するバイパスを何例か経験しました。
脳の最も深い部分にあって、なおかつ最も重要な血管である脳底動脈。
この血管が閉塞した場合、脳底動脈には直接バイパスができないので、その枝である上小脳動脈や後大脳動脈、あるいは後下小脳動脈に血管をつなぎます。
この深部吻合と呼ばれる手術は、脳外科の手術の中でも最も難しいものの一つとされています。

深部吻合といっても通常のバイパス手術と同じく、脳血流が保たれていれば行う必要はありません。
私たちが治療した患者さんは皆、症状があり、血流検査の結果で必要と判断されたのですが、実は深部吻合に関しては脳血流の明確な手術適応基準がありません。
基準作りが必要なのですが、その障壁となるのが手術の難しさです。
高度な技術を要するので、安定した治療成績が出しにくいのです。
また、この手の手術は、非常に深く狭い術野で行うので、様々な工夫が必要です。
左右の選択、体位、動脈の剥離、開頭の位置、静脈の剥離、髄液の排除、牽引の方向と強さ、吸引、テント切開の位置、助手の先生の技術、などがすべて影響します。
教科書や学会で学ぶだけでなく、日本や海外の達人と言われる人の手術を現場で見て、細かな工夫を取り入れていくことが必要です。
そういった工夫のおかげでこれまでの手術はすべてうまく行っています。

さて今回行った上小脳動脈へのバイパスでは、静脈の位置が術野の真ん中にあったため、それこそいろいろな工夫が必要でした。
結果は良かったのですが、今回は静脈を乗り越えて行わざるを得ず、通常より狭い術野だったので、ピンセットなどの手術器具にさらに工夫が必要であることを痛感しました。
いいと思って使い始めた器具も、使いこむうちにいいところと悪いところがだんだん分かってきます。
また以前にはうまく使えていたピンセットや鉗子も、少し経つとコンマ何ミリというズレのためなのか、針の安定性が低下します。
自分の手術スタイルにあっていて、使いやすい器具を選んできたつもりですが、手術が通常より難しい場合には、とりわけその重要性を実感します。
現在の器具ではまだ完全には満足できません。

これまでの経験の中でだいぶイメージがつかめてきました。
最高の道具に出会いたいと思うのですが、特殊な手術なので、もしかしたら自分で作るしかないのかもしれません。
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山口脳血管内治療セミナー

2010年12月12日 | 学会/研究会
土曜日に山口脳血管内治療セミナーにお招きいただきました。
急性期脳梗塞、とくにメルシーリトリーバーの経験について動画を加え、お話しいたしました。
多くの質問を頂き、ホットなディスカッションができました。
RESCUE-Japanにご協力いただいている池田先生をはじめ、多くの先生方とお話ができて、とても有意義な会でした。
今後も機会があればぜひ交流させて頂きたいと思っています。
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テレビの取材

2010年12月07日 | 報道・出版関係
昨日、脳卒中の新治療について中京テレビの取材を受けました。
12月19日(日曜日)の朝6時からという早い時間の放映ということですので、もしお時間があったら録画などで見てください。
「週刊コダワリタイム」
http://www.ctv.co.jp/kodawaritime/


脳梗塞の新しい治療器具であるメルシーデバイスや、脳動脈瘤塞栓に用いるハイドロコイルなどを紹介しています。
撮影スタッフの皆さん(左)、キャスターの安部まみこさん(右)、ありがとうございました。安部さんは宝塚スターを彷彿させる美人ですが、とっても優しい感じの人でしたよ。
放映を楽しみにしています。

なお、この放送は東海地区だけでしか見られませんが、後日Webでも見れるようになるそうです。
また情報が入り次第公開します。お楽しみにー。
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