脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

ゆうさんのコメントについて

2009年06月25日 | 閑話休題
「友人に医学部志望で、ある分野に進みたいと考えている人物がいます。ですが、その分野に強い?大学を選ぶべきか、できるだけ自分の行けるレベルの高い大学へ行くべきか、模索中です。と言うか、わからないのです。」

医学部を志望する段階ですでに進みたい分野があるなんて、すばらしいことだと思います。自分も「外科医になりたい」と強く考えていましたが、それより詳しいことはまだ考えてもいませんでした。

大学の選択は、偏差値を基準とするのではなく、自分の進みたい専門分野に強いかどうかという選び方をするのが正しいのだと思います。
どのような専門分野かがわかりませんが、自分が信じた道があるなら、それに邁進してほしいと思います。
ただ「医学部志望」ということはまた10代か20代前半でしょうから、その時点で進みたいと考えていた分野であっても、時代の流れとか、自分自身の勉強の過程で希望の分野が変わることがあると思います。またそれはそれでいいのだと思います。
もし自分に出来ることがあれば応援しますので、遠慮なく相談してください。
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村山雄一先生

2009年06月24日 | 人物紹介
昨日は慈恵医大の村山先生の手術見学をしてきました。
一昨日の夜に東京のボストンサイエンティフィックス社で講演があったため、翌日朝から村山先生にお願いしたのです。
大型の動脈瘤に、先生が開発されたMatrixコイルを使って非常にきれいな塞栓を行っておられました。

以前にこのマトリックスコイルを紹介しましたが、コイル自体にコーティングがしてあるため、通常のコイルとは使い勝手が違います。
自分はこのコイルを一時、集中的に使いましたが、若手の先生が使うとなかなかうまく行かずちょっと迷いが生じていました。
このところだいぶコントロールできるようになりましたが、本家本元の村山先生がどういう使い方をされるか一度見てみたかったのです。

結果、使用するマイクロカテーテルや、そのシェーピングの工夫など、色々と参考になることがありました。
やはり達人の治療を見るのはとても勉強になります。
早速、今日からの治療に役立ちそうです。
村山先生ありがとうございました。

それと、慈恵医大のメンバーは自転車通勤が多いとのこと。
ツーキニストというやつです。
自分もちょうど一昨日に自転車を修理したばかりで、昨日の夜は久々に自転車でトレーニングしました。
自転車はエコだし、気持ちいいですねー!
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愛媛

2009年06月21日 | 学会/研究会
今週金曜日に愛媛県松山市に行ってきました。
愛媛大学の先生方に脳卒中アップデイトという会にお招きいただいたのです。
私に与えられたテーマは脳動脈瘤塞栓術です。

破裂脳動脈瘤に対しては、クリッピングよりもコイリングの方が治療成績が良いことはISATという研究で確認されており、それについては以前にこのブログで解説しました。
最近、そのISATの長期成績が発表されたため、そこにフォーカスを当てました。

ISATではコイルで治療した方が障害を持つ人が少ないことが証明されました。
ただしそれはくも膜下出血後、1年までの結果です。
今回の論文では5年後が報告されました。

5年経過すると、クリップもコイルもほとんど差がなくなる。
ただし生存率だけはコイルの方が良い。そういった結果でした。
これはそもそも1994年に行われた研究。
「当時の結果ではほぼ互角の結果。少しだけコイルの方が良い」、私はこの論文を読んで、そう考えました。

この研究の後、これまでに、新しいコイルもバルーンが導入されました。
日本でも近々ステントが入ってくる。
時代は動いています。
新時代はもうすぐそこです。
いずれ、コイル優勢の時代がくる。
現場の医師や看護師達は皆、そう感じています。
ですから、この講演も満席でした。

さて、講演の後は、おいしい料理をごちそうになりました。
松山市二番町の「馳走屋 河の」。
魚はもちろん、フォアグラの奈良漬けとか、とても面白くておいしい料理がありました。
愛媛大学の皆さん、ありがとうございました。

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Basic Medical Conferenceー國貞隆弘先生

2009年06月17日 | 人物紹介
前回のBasic Medical Conferenceの続きです。
私たちが学内で共同研究させて頂いている國貞先生を紹介します。

國貞先生は京都大学のご出身で、再生医療の専門家です。
このためアメリカから帰って、すぐに先生の研究室に伺い、共同研究をお願いしました。
先生のご専門は眼の色素細胞を誘導することで、その分野では世界トップレベルの業績を上げられています。
私たちの研究室の北島先生がはじめに先生の研究室で勉強させて頂きましたが、その後、副田(そえだ)先生、池亀先生がお世話になりました。
先生との共同研究で、神経の再生、脳腫瘍の幹細胞に関するたくさんの業績を上げられました。とても感謝しています。
と書いてきますと、大変難しいことを研究されている気難しい先生ではないかという印象を持たれるかもしれませんが、先生はとても気さくな方で、ついつい何でも相談してしまいます。
今回のご講演でもそのお人柄がにじみ出ていました。本当に明るくて楽しい先生です。

ところでそんな楽しいご講演でしたが、今回、自分ははじめてiPS細胞というものを理解できた気がします。テレビや新聞で良く耳にする言葉ですが、実際に専門家に分かりやすく説明して頂くとずいぶん違うものです。

また前に紹介した「おなかの脂肪細胞から神経細胞を誘導して移植する」研究についても大変お世話になっています。
先生の目指す再生医療は、どのような疾患にも今後取り入れられて行くことはまず間違いないと思われます。
先生方のご活躍によって、脳や脊髄に損傷ができても「再生できるから大丈夫!」という時代が早く来てほしいものだと思います。

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Basic Medical Conferenceー原 英彰先生

2009年06月15日 | 人物紹介
先週、Basic Medical Conferenceを開きました。
この会は、我々が若手の先生方に基礎研究についての最新情報を提供することを目的に新たに立ち上げた会です。今回は岐阜薬科大学の原 英彰教授と岐阜大学の國貞隆弘教授にご講演をお願いしました。
まず原 英彰教授を紹介します。

原先生は自分が留学したマサチューセッツ総合病院ニューロサイエンスセンターのモスコビッツ教授の研究室に在籍されていた方です。
実は私がこのハーバードの研究室に留学しようと思ったのは、原先生のProceeding of National Academy of Science (PNAS)の論文がきっかけです。当時大学院生だった私は、原先生の脳虚血に関する極めて先進的な研究に圧倒され、感動してしまいました。
それから数年が経って私がやっとその研究室に留学した時には原先生はすでに帰国されていました。しかし、原先生の業績は研究室の中で伝説のようになっていました。
その後、私は2年ほどの留学を終えて帰国し主に病棟で仕事をするようになっていましたが、ある時、原先生から直接電話を頂きました。まさか直接電話を頂くなど想像すらしておらず、「すいません、どちらの原さんですか?」と聞き返したのを今でも覚えています。私は原先生が岐阜薬科大学のご出身ということさえ知らなかったのです。
当時、原先生は岐阜薬科大学の教授に就任されたばかりでした。2004年のことです。その際、留学先のボスであるモスコビッツ教授が「お前達二人で共同研究をしなさい」とメールしてくれたのです。

そこで早速、原研究室に伺いましたが、まだ立ち上がったばかりの小さな研究室で、器材すらそろっていない状況でした。しかし原先生の熱弁を聞き「この人と共同研究したい。大学院生の先生にもきっといいはず。」と直感しました。
この直感は見事に当たり、これまで3名の大学院の先生たちが原研究室でお世話になりました(小谷、山下、野中)が、その業績のすごいこと!本当に驚くばかりです。もちろんこの3名の先生達の個人的パワーもすごいんですけどね。

原先生はもともと岐阜薬科大学卒業後、企業に就職されたのですが、その後、東北大学神経内科の脳卒中研究室で研鑽を積まれました。留学後は再び一般企業に入られましたが、母校にもどられ教鞭をとられたのです。
その業績は凄いの一言ですが、原先生は決して満足されてはいません。共同研究はますます盛んとのことです。
今や私たちの研究は原先生抜きでは語れないほどです。現在も石黒先生がお世話になり、日々実験に明け暮れています。
私には引き続き共同研究させて頂くくらいしかお礼ができず心苦しいばかりです。
しかしそういう損得のない結びつきを与えてくれるところがサイエンスの良いところなのかもしれないと、勝手に解釈しています。

原先生と私を引き合わせてくれたモスコビッツ教授には今も感謝しています。
先生の研究室が今後ますます発展することを期待しています。


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ライブカンファレンス

2009年06月13日 | 学会/研究会
今、学会で神戸に来ています。
神戸市立医療センター中央市民病院の坂井信幸先生が主催される「脳血管内治療ライブカンファレンス2009」という学会です。

この学会は先日紹介したパリのLINNCと同形式で日本の脳血管内治療の治療をライブで見せる学会です。
今回は出席者が多く、その理由の一つは「Onyx(オニキス)」という新しい液体塞栓物質が日本に導入され、そのライブデモンストレーションが行われたことのようです。

脳の血管に先天性の異常があり脳卒中になる人がいます。
脳の動脈と静脈がつながってしまっている脳動静脈奇形(AVM)がその代表です。
普段はあまり症状がありませんが、出血することがあり、若い人の脳卒中の原因として知られています。
このAVM。脳の中に存在するので、手術の難しいものもあります。
たとえば手足を動かす指令を出す運動野や言語をつかさどる言語野に接するようにしてAVMがあると、手術は極めて難しいものになります。
このため手術以外に放射線やこの脳血管内手術が行われます。
先日のLINNCでもデモがありました。

実はこのOnyx、三重大学の滝 和郎教授が開発した液体塞栓物質EVALが特許の関係で海外から製品として発売され、今回日本にやってきたものなんです。
その意味ではちょっと残念な気がします。

今回はこのOnyx(オニキス)を使ったAVMの塞栓術があるということが話題を呼んだようです。
実際の治療は滞りなく終わりました。
自分は以前にニューヨークで何例か見てきたのでだいぶ雰囲気が分かっていましたが、日本で日本語での説明で実際の治療を見るとまたいくつか新しいことが分かり参考になりました。

坂井信幸先生の軽妙な語り口と、実際のすばらしい治療を見れることで人気のあるこの学会。
さらなる発展を期待したいです。
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ねぎ焼きのやまもと

2009年06月11日 | グルメ
ニッチに参加した後に十三(じゅうそうと読みます)で懇親会があったのですが、すぐ近くに懐かしのねぎ焼きの「やまもと」があるではありませんか!
あまりに目の前にあるので、我慢できずに行きました。
国循にいた頃にきていたのですが、お店がきれいになっていました。
あとすぐ近くに小さな支店(?)もある。

大阪にいた頃には長い長い行列に並んで、元々すいていたおなかがさらにペコペコになった頃にたべられる!という感じの超人気のお好み焼き店でした。
今回は時間が遅かったから行列なしでした。
一番人気を尋ねると、いまも「スジ入りのねぎ焼」とのこと。
うれしいですねー(^^)
迷わず「スジねぎ」を注文しました。

久しぶりに味わったのですが、しょうゆベースでとっても懐かしい味がしました。
やっぱりおいしい!
大阪の超有名店です。機会があれば行ってみてくださいね。
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ニッチという言葉ご存知ですか?

2009年06月10日 | 学会/研究会
ニッチ(niche)という言葉ご存知ですか?
いろんな意味がありますが、「すき間」という意味があるそうです。
私はなじみがなかったんですが、大阪市立総合医療センターの小宮山雅樹先生が主催される「ニッチ脳神経脈管カンファレンス(NNAC)」でこの言葉を知りました。

動脈瘤や頚動脈狭窄症に対する血管内治療はメジャーで誰もがよく勉強していますが、世の中には非常にまれでありながら血管内治療を要する疾患もあります。
小児の脳血管障害や頭頚部にできる血管腫などがこれに当たります。
小宮山先生はこういった領域に大変詳しく、本も書いておられるほどの方で、このNNACという研究会を2007年にはじめられました。
私もこの会に幹事として誘ってもらい、参加しています。

脳神経外科の専門医であっても一生に1-2度しか経験しないまれな疾患があるのです。
そういう患者さんを前にした時に、きちんとした治療ができるかどうか。
誰しも自信がないと思います。

だからそういう症例を持ち寄ってみんなで勉強するのです。
そうすることで、知識が増えたり、そういった症例を経験した施設もわかります。
人脈が出来ますのでいざというときに相談もできます。
これは大変意味があることだと思います。
この重要性を皆が分かっているようで、小宮山先生が努めて質素なスタイルで運営されているにもかかわらず、130人を超える出席者がありました。

私も最近、赤ちゃんのまれな病気を経験したので、来年は症例を発表したいと思います。
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脳梗塞急性期治療:6時間以降 緊急バイパス

2009年06月07日 | 脳梗塞
久しぶりに本論です(いきなり...)。

6時間以降には点滴による治療が中心となることを説明しました。
しかし、それでも進行する症例がある。
そんな場合に行われる方法は各施設で違います。
1)そのまま治療を続ける。
2)麻酔をかけて脳を保護する
3)高圧酸素療法
などが主なものです。
3)に関しては私はその効果を疑問視しています。
明らかに有効とするエビデンスもありませんし、実際の経験でもあまり効果を実感していないのです。
しかしエビデンスや教科書にとらわれていると良い治療ができない場合もあります。
その一例を紹介します。

私自身は以前は1)または2)で治療してきましたが、ある時、知り合いの患者さんが入院してきました。
強力な内科的治療を行いましたが、徐々に悪化するのです。
その患者さんは歩いて入院してきたのですが、数日後には言葉もあまりでなくなり、ベッド上で動けなくなってきていました。
何日かして、自分の知り合いである息子さんから言われました。
「親父は俺たちの目から見ても見ても毎日悪くなっている。危険は承知しているし、先生のことも信頼している。だから、先生が良いと思う方法でやってくれ!」

そこで私は緊急バイパス術に踏み切りました。
ホームページに紹介している低侵襲のバイパス術です。

結果、患者さんは翌日から劇的な改善を見せたのです。
徐々に麻痺した手が動くようになり、言葉も増えました。
出血するのではないかと不安でしたが、それも起こりませんでした。
患者さんは他院で集中リハビリを受け、3ヶ月後、私の外来に元気な姿で現れました。

たまたま知り合いだったからできた、それが真実です。
しかしその時、私は「教科書的な常識やエビデンスにとらわれてばかりではいけない」と、患者さんに教えられたのです。

もちろん、その時ひたすら患者さんに寄り添い、家族の人と一緒に悩んだからこそできた決断でした。
その後は少し勇気を出して、同じような患者さんにこの治療を行い、これまでのところ良い結果が出ています。

ただ「この患者さんは良くなりそうだ」という私の勘だけでは非科学的すぎます。
ですから最近ではCT灌流画像を使って脳血流を測定し、判断材料としています。
これまでの症例の蓄積で、ある程度のデータが出たので、そろそろ論文にしようと考えています。

緊急バイパス自体はかなり昔には試みられていたようです。
しかし現在の新しい検査法と組み合わせれば、また新しい局面が開けるのではないか?
そう感じています。
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質問

2009年06月06日 | 閑話休題
最近、個人的な健康に関する質問が増えています。
個人情報の保護のため、そういったメールは
stroke_buster@mail.goo.ne.jp
に送ってくださいね。
できる限りお答えします。

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