脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

JASTNEC

2009年05月31日 | 学会/研究会
小倉で開かれた第8回日本頸部脳血管治療学会(8th JASTNEC)に参加してきました。
この学会は脳神経外科、脳神経内科、循環器内科、血管外科、放射線科が一同に会し、ただひたすら (Just Neck) 頸部脳血管病変の診断から治療に関して討論するというユニークな学会です。
今回は心臓カテーテル治療で有名な小倉記念病院の横井 宏佳先生が会長をされました(写真)。
横井先生は日本を代表する心臓カテーテルの達人なのですが、頚動脈ステントも手がけておられます。
今回の学会のメインテーマは「脳血管障害との戦いの為に団結せよ(Unite for Stroke)」。
素晴らしいテーマだと思います。

今回はシンポジウムとランチョンセミナーでお話しする機会を頂きました。
いろいろな分野の先生方がそれぞれの立場でお話しになり大変興味深い学会でした。
また海外からのゲストが頚動脈ステント留置術についての最新情報を話され、大変参考になりました。

日本では現在使用できるのはジョンソン・アンド・ジョンソン社のものだけですが、近いうちに他社のものも使えるようになります。
その準備のためのミーディングも開かれました。
この治療は今後新たな機材の導入によりどんどん変わって行きます。
徐々にいい方向に行くはずです。楽しみですね。

横井先生、学会の成功おめでとうございます!
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エスカルゴ

2009年05月29日 | グルメ
もう日本にいますからパリの話は最後にしますね。
二日目の昼食だけ、豪華なところへ行きました。
写真にあるL'ESCARGOT MONTORGUEILというお店です。
(38, rue Montorgueil (モントグイユ通り38))
城山病院の中澤先生の知り合いの楠木さんという方に連れて行ってもらいました。
楠さんは、パリ在住18年で息子さんは今年ソルボンヌ大学に入ったとのこと!
すごいですねー。

パリ通の楠さん、素晴らしいお店に連れて行ってくださいました。
写真のお店でなんと1832年からの名店だそうです。

エスカルゴと鴨、そしてデザートでスフレを頼みました。
どれもものすごくおいしい。
あんなにおいしいエスカルゴを食べたのははじめてでした。
カレー味とかもありましたし。
スフレなど持ってかえりたいぐらいでした。

外国のものが必ずしも日本よりおいしいとは限りませんけど、パリには日本よりずっとおいしいものがあると実感しました。
パリはいいですね!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コンコルド・ラファイエットホテル

2009年05月29日 | 閑話休題
ゆうさん、コメントありがとうございます。
そうです、Porte Maillot(ポルト マヨール)のコンコルド・ラファイエットホテルです。
部屋もきれいで良かったですよ。

「中心部や空港へのアクセスがとても良い所で、Air France Busの乗り場がすぐ前にあり、空港まで楽に行けますよ!」
ありがとうございます。
帰りはエアーフランスバスでシャルルドゴール空港へ帰りました。

そうそう、最上階のバーからエッフェル塔がみえてきれいでした。
エッフェル塔も夜になるとキラキラとイルミネーションが光るんですね。
知りませんでした。
とってもロマンチックでしたが、松本先生と男二人でしたからねー(^^;)A
周囲はほとんどカップルでしたけど。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

LINNC最終日

2009年05月29日 | 学会/研究会
LINNC最終日も大変刺激的でした。
1-2日目はトルコからのライブでしたが、最終日はMoret教授のチームのライブでした。
脳底動脈の巨大血栓化動脈瘤にステントを重ねて5本留置して治療しました。
この治療の直後からすでに血流がかなり変わっており、うまく行けば根治に持ち込めるとのこと。
近未来の治療です。

もう一つは日本でも認可され、近々使えるようになるOnyxという液体塞栓物質を使った塞栓術。
これは私はNew Yorkで見てきましたが、そのライブもしていました。

昼食後には外科医のレクチャー。
ヘルシンキのProf. HernesniemiとアメリカのProf. Spetzler
まさに世界の大御所です。
その人たちが、新しい脳動脈瘤の治療法と認めているのが、flow diversionです。
簡単に言えば「ステントで血流をかえることで治療する方法」です。
今日1例目に見せた治療法です。

これまで難治と言われていた血栓化動脈瘤などがこの方法でうまく治療できそうなのです。
もちろん全例ではありませんが格段の進歩です。
医学はどんどん進歩します。
来年も勉強しようと思います。

パリともお分かれして、先ほど日本に戻ってきました。
今、小倉にいます。明日からはここで日本頚部脳血管治療学会なのです。

さて上の写真はLINNC会場のすぐそばの逆さピラミッドです。
ダ・ヴィンチ・コードにも出てきましたね!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

LINNC 2日目

2009年05月27日 | 学会/研究会
LINNC 2日目です。
2日目も朝7時半から、早速Lectureです。
そこではこのブログでも紹介している「血栓溶解療法」についてのプレゼンテーションが連続4つありました。
その後、討論。
われわれの学会ではこの討論のことをDebate (ディベート)とよびます。
ここではProf. Moretが「血栓溶解は超緊急で行う必要のある治療で、血栓が溶ければ劇的な改善をもたらすが、溶けなければ命を落としすことにもなり、非常に重要である。また血管が開通しても出血でまた命を落とすこともある。さあみんなで議論しよう!」と言われました。
彼の語り口は非常に軽快で元気のいいものでしたが、まさにその通りです。
そこでの議論は「静脈投与を否定する気はないが、もっとカテーテルで治療した方が良いのではないか?」ということでした。
「静注よりも動注やカテーテルによる血栓摘出を優先した方が良いのではないか?」という意見が米国のDr. Mawadからだされました。
その通りです。しかし壇上の神経内科医は「全員をまずカテーテル治療するというのはやりすぎだ!」と反論していました。
この議論には一つの重要なデータが欠落しているのです。そのために結論が出ないのです。
そう、tPA静脈前後の血管の変化と患者さんの治療結果です。
われわれがやろうとしている前向き登録、やはり世界的に見ても非常に重要だということが分かりました。
早く取りかからないといけません。

また午後のセッションでも今後の動脈瘤の治療選択という点で良いヒントをもらいました。
米国の最も有名な脳神経外科医であるProf. Robert Spetzlerが、破裂した脳動脈瘤のコイルとクリップの振り分け治療について新たな臨床研究を発表していました。
日本で神戸の坂井先生とともにやっている臨床登録研究があります。
ずっと隣で聞いていた坂井先生と、「これを発展させて新たな臨床研究ができないか?」と相談しました。

やはりLINNCはおもしろい。
こういうところに出てきてはじめて実感できることもあるし、重要な情報を先取りすることができます。
「学会はお祭りで、論文こそが命」という先生もいますが、今回出席してみて、国際学会に出て勉強することの重要性を認識しました。

さてライブは脳虚血に関するもので、これはとにかく頭の中でもどこでもステントを留置するということに終始していて、日本との差がそれほどないことを知りました。
日本でステントが認可さえされれば、すぐに追いつきます。
頚動脈ステントに関しては日本の方がはるかに進んでいるということが分かりました!

ところでLINNCはルーブル美術館の地下、パリコレが開かれる会場で行われているんですよ!
上の写真でわかりますか?
きれいなモデルさんじゃなくて、ここにおじさん達が出てくるのはちょっと笑えますね!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

LINNC開始

2009年05月26日 | 学会/研究会
いよいよLINNCが始まりました。
脳神経外科、神経放射線科医、などを中心に、企業の人たちを含めて多くの参加者がありました。
今日だけで10例のデモンストレーションがありました。
この会の主催者のProf. Jacques Moret(ジャックモレ教授)はこの領域では「天才」の呼び名の高い人で、私がこの領域に入った頃からの世界のトップスターです。
Prof. Moretの発想には、他の人にはない斬新さがあり、その素晴らしい治療結果には芸術を見るような感動を覚えることさえあります。

そしてトルコのS. Cekirge。トルコというと発展途上国と思う人もいると思いますが、この血管内治療においてはアンカラのこのグループが世界でも飛び抜けて進んでいます。
この二人が今回のLINNCの中心人物で、そのプレゼンテーションも素晴らしい。
日本では通常血管内では治療できないような動脈瘤も、新しいステントでうまく治療して行きます。
例えば、パイプライン。非常に目の細かい柔らかいステントで、これを動脈瘤のある血管に留置するだけで動脈瘤の中の血流が停滞して治ってしまいます。
また動脈瘤の治療で以前に紹介したステントとコイルの併用療法。
これを頻繁に使っています。
日本でもこのステントがごく短い期間で使えるようになる見込みですので、非常に参考になりました。
他にもとにかくどんどんと症例が出てきて今日一日でずいぶんと満足できました。

新しい情報が入ると勉強になります。
明日もどんな症例が出てくるか?
楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オルセー美術館

2009年05月24日 | 閑話休題
今日は朝の4時に起きてしまい、その後、論文執筆。
そしてさすがにホテルに閉じこもりっぱなしではもったいないので、オルセー美術館に行ってきました。
以前パリには2度来ているのですが、休館日などとぶつかってしまいオルセーとは縁がなかったんです。

パリ市内はメトロ(Metro)という地下鉄が縦横無尽に走っていて、料金も安くてとても便利なのです。
パリに来た方はご存知ですよね。
カルネ(Carne)という10枚綴りの回数券を買えば楽です。
でも今回はなぜかチケットを10枚でした(笑)。

さてオルセー美術館には10時ぐらいに着いたのですが、すごい行列です!
ガイドブックに「朝一番に行くこと」と書いてありましたが、「インフルエンザ騒動で少ないのでは?」と考えたのが間違い。すごい行列でした(>_<)
こっちはマスクしてる人なんて一人もいません。

館内に入ると、行列も納得!。
有名絵画が盛りだくさんで、歩き回ってかなり運動になりました。
もともとこの建物は駅だったそうですね。
大きな天井は丸くなっていてその名残を感じました。

そうそう、最近は絵の写真を撮っていいんですか!?
前からいいんでしたっけ?
もちろんフラッシュがダメなのは知っていますが、光らないようにしてもなんか悪いことしてる気分になりました。
そういいながら結構撮影しましたけど(^^;)

途中で館内のレストランで食事をとりましたが結構おいしい!
これもガイドブックの受け売りですけどね。
ただしパンは堅いですね、どこで食べても。
日本のパンが柔らかすぎるのかな?

この後、神戸の坂井先生と、広南病院の松本先生と合流する予定です。
それまで仕事仕事。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Paris

2009年05月23日 | 閑話休題
シャルル・ド・ゴール空港までセントレアから12時間のフライトでしたけど、着いてからタクシーで30分ぐらい。
あっという間にパリ市内のホテルに到着していまいました。
その気になればパリなんて近いですね。
携帯電話もそのまま使えるし、全然遠くに来た気がしない。
ホテルの部屋でも無線LANでそのまま自分のMacBook Airが使える。
世界が狭くなったような気がします。
でも窓からの風景はこんな風。パリらしいですね。

自分が大学2年生の時、はじめての海外旅行で友人とヨーロッパに来た時に「地球の歩き方」をバイブルのようにして持ち歩きました。それまではいわゆるツアー用のガイドブックしかなくて、空港から自分で市内に行くバスなどが紹介してあってとても感激したのを覚えています。
今回、セントレアで久しぶりに「地球の歩き方」を購入したのですが、その頃とはずいぶん変わって、この本もグレードアップしていました。

あ、そうだ、今日は5月23日。自分の誕生日だった。
去年も講演だったかな、そういえば。

空港から市内へのアクセスの説明で、バスと鉄道、タクシーが載っていて、瞬間的に安いのを選ぼうと思ったのですが、「スーツケースを持ってメトロに乗るのは大変!」、「危ない目にあった」「少しのお金をケチるより、ホテルまで直行できるタクシーが良い」との記事があり、タクシーを選びました。
これが正解でした。

運転手さんはイラン出身の陽気な人で、英語が話せたので、「日本にはイラン人と日本人のハーフで、野球のピッチャーをしているスーパースターがいる」「名前はダルビッシュ」「すごくカッコ良くて日本人なら必ず知っているから次の日本人客に聞いてみて」と教えるととても喜び、その後、会話が非常に盛り上がりました。
ヨーロッパはチップが必要だと思い、楽しかったので余分に出しましたが、「I had a very good time, friend!」といい、受け取りません。通常料金より安いような...
最初から楽しい気持ちになりました(^^)v
いいねえ、パリ。

インフルエンザ報道のせいか、飛行機もすいていたしね。
隣の人がいない席に移動して、ゆったり来れました。
部屋もきれいで、ちょっと今日はゆっくりしようかな。
留守番のみんな、ごめんねー。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

LINNC

2009年05月23日 | 学会/研究会
今私はセントレア空港にいます。
パリで開かれる脳血管内治療と脳神経外科手術のライブデモンストレーションコースに参加するのです。
LINNC (Live Interventional Neuroradiology and Neurosurgery Course)という名前のこの学会は、世界の一流術者が手術のライブデモ、つまり実況中継を行うコースです。
以前からどうしても参加したかったこの学会に参加できることになりました。
インフルエンザ騒動で、一時期は出席が危なかったのですが、良かった。
今から搭乗です。
木曜日に戻りますが、しばらく留守にします。
パリからこのページにアクセスできるかな?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脳梗塞急性期治療:6時間以降 点滴

2009年05月20日 | 脳梗塞
MRIですでに脳梗塞が広範囲に出てしまったらどうするか?
その場合には、点滴の治療をするしかありません。
ひとくちに点滴と言っても色々種類があります。
1)単なる水分補給の点滴
2)抗血小板作用のある点滴
3)抗凝固作用のある点滴
4)活性酸素を消去する点滴

このうち1)は「水分補給」と聞くと、「そんなものいらない」と思われるかもしれません。
しかしこれが意外に効果があるのです。
例えば夏のゴルフの後、入浴後、飲酒後、などはまず「脱水」になっており、このために血液の粘稠度が上がって「血液ドロドロ」になっています。
ここで水分を点滴すると、それだけで「血液さらさら」になるのです。
脳梗塞になりかけた患者さんの症状が劇的に改善することもあります。

次に2)ですが、実は日本にはそれほど血小板機能を抑制できる点滴はありません。
しかしそれなりに効果のある薬はあります。
オザグレルナトリウムという薬剤で、商品名で「キサンボン」や「カタクロット」と呼ばれる薬です。

3)の抗凝固療法も使われます。
アルガトロバンという薬剤で、商品名で「スロンノン」、「ノバスタン」などです。
2)との使い分けに関しては色々と議論があるところで、正直医師の好みで使い分けられています。

最後の4)は日本の製薬会社が開発した薬で、活性酸素を消去するエダラボンという薬剤です。
商品名は「ラジカット」といい、ほとんど副作用がないのに効果はある薬です。
ラジカット(radicut)は名前の通り、ラジカル(radical)をカットする(cut)薬です。
脳の血管が閉塞した時に発生するフリーラジカルを止めるスカベンジャー(補足剤)です。
ラジカルは反応性が高いですから、いろんな分子と反応してしまい周辺の神経細胞を死滅させます。
それを止めることによって進行を防ぐというわけです。
また脳梗塞後の脳浮腫(脳のはれ)をおさえる働きもあり、よく使われています。

以上、まず点滴について述べました。
これだけでも色々な薬があって使い分けられていることがお分かりかと思います。
どれも急性期に詰まった血管を再開通させるtPAや血管内治療ほどの効果はありませんが、水分補給などはもともとの脳梗塞の原因である脱水を改善できるという意味で、非常に重要な治療法です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする