二刀流の功罪が話題になっていますので付け加えます。
「功」の方は、より良い治療を柔軟に選べる、治療介入のタイミングに遅れがない、複合治療も自分たちで出来るなど、数多くあります。
しかし「罪」もあります。その一つはみなさんのご指摘の通り、両方の治療を極めるために、勉強量と治療経験が2倍必要になることです。
そこで私達が現在、精力的に取り組んでいるのが二刀流を習得するための「トレーニング」です。脳神経外科専門医と脳血管内治療専門医の両方の取得を目標に、症例経験を共有してもらったり、チーム内で様々なトレーニングを行っています。これまで多くの先生達が専門医を取得してきましたし、今後も広く受け入れるつもりでいます。
さて、もう一つ「罪」を挙げると、二刀流医師は多忙になりがちです。紹介する側のドクターも、とりあえず患者さんを紹介しやすいという安心感があるのか、担当患者さんが多くなるのです。医師や患者さんに頼られる結果ですので、ある意味、冥利に尽きることだと私自身は考えていますが、あまりにも一部の医師に患者さんや救急治療が集中するのは問題です。このため脳梗塞の急性期手術など「待ったなし」の治療については、各地域でセンター化をはかり、各病院に赴任している専門医の負担を減らすことが必要です。もちろんセンターには複数の血管内専門医を配置する必要があります。こういった体制を整えることは医師の疲弊を防ぐだけでなく、患者さんが受ける治療の質を向上させることにつながるのです。ですから、このブログでも紹介しているような「Drip, ship」連携システムの構築や、二刀流医師のさらなる育成を行っているというわけです。
全国の二刀流を目指す先生方に、応援をお願いしたいと思います。