NHKの「おかあさんといっしょ」で「体操のお兄さん」として長く活躍された佐藤弘道さんが、脊髄梗塞を発症されたと報道されました。
この病気について質問を受けますので、簡単にまとめます。
1. 脊髄とは?
脊髄というのは脳から全身に連絡を送る神経の束のようなもので、太さは約1センチくらいです。
首から腰まで背骨(脊柱)の中を走っており、そこから神経が分かれて、手足などに連絡を送っています。
2. 脊髄梗塞とは?
この脊髄は主に大動脈という太い血管から分かれた沢山の枝から栄養されています。これらの血管が詰まると、脊髄に血液が流れなくなり、脊髄が障害されてしまいます。
脊髄梗塞の頻度は低く、脳卒中の1/50-1/100の頻度とされています。
3. 脊髄梗塞の原因は?
原因には以下のようにさまざまなものがあります。
- 動脈硬化:動脈の壁が硬くなり、血管が詰まる。
- 血栓や塞栓:血管内に血の塊(血栓)ができたり、他の部位から血栓が流れ込んで血管が詰まる。
- 外傷:脊髄やその周囲の血管に物理的な損傷が加わる。
- 血管炎:血管の炎症によって血管が詰まる。
- 手術:大動脈の手術によって脊髄への血管が詰まる。
- 原因不明
4. 脊髄梗塞の症状は?
前述のように障害された位置と範囲によって異なりますが一般的には以下のようになります。
- 突然の背中や腹部の痛み
- 腰のあたりが障害されると下半身の筋力低下や麻痺、頚部が障害されると首から下の広い範囲の障害
- 感覚の喪失や異常感覚(しびれやピリピリ感など)
- 排尿や排便のコントロールの問題
5. 治療
脳梗塞と違い、脊髄梗塞にはカテーテル治療など、有効性の確立した治療はありません。
このため、一般的な治療法として点滴や内服、リハビリテーションをするということになります。
6/15朝のウェークアップぷらすという番組でコメントする予定です。
お時間の合う方はご覧ください。