脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

You tube 第22弾 脳動脈瘤手術後の検査

2025年01月16日 | その他

みなさん、こんにちは!お元気でしょうか。

今日は脳動脈瘤術後の検査について紹介します。

治療が無事終わった後は、外来での定期検査が行われます。最初の数ヶ月は良いとしても、1年を過ぎてくると、「いつまで検査を受ければいいのですか?」と質問を受けます。

これにお答えするには、それぞれの患者さんの動脈瘤の再発率について考えなければなりません。

脳動脈瘤術後の再発率は以下の条件で変わってきます。

  • 治療方法
  • 動脈瘤の種類、位置、サイズ
  • 危険因子

(高血圧、喫煙、家族歴、大量のアルコール摂取、高脂血症など)

(多発性動脈瘤、高齢、女性、なども関連因子)

 

「治療法によって再発率が違う」と聞くと驚かれる方もおられるかもしれませんが、実際に治療法やその結果によってかなり再発率が違ってきます。

また、それぞれの治療後に適した検査法があります。例えば、脳動脈瘤クリッピング術後はクリップが邪魔になってMRIでは血管が見えにくいことが多いため、CT造影検査が行われます。また、ステントやフローダイバーターを使用した場合にはステント内の血流が通常のMRIでは見えなくなるという問題点があります。

そのような場合には最新のMRI撮影法であるサイレントスキャンを行うことで、血管がうまく見える場合が多いので一度試されると良いと思います。

今回の動画では実際の事例を含め、術後の検査について詳細に紹介しています。

https://www.youtube.com/watch?v=ZXcrjA5FPCc

ぜひご覧ください。

 

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You tube 第21弾 フローダイバーター留置術

2024年12月29日 | その他

みなさんこんにちは!

私のYouTubeも20回を超えました。動画によっては1万回以上見てもらったものもあります。

市民講座などを行っても、500人以上集まることは稀です。

みなさん、本当にありがとうございます。それにしてもYouTubeのパワーはすごいですね。

ところで、先日外来で「フローダイバーターの会はないのですか?」と質問を受けました。

実は、フローダイバーターについては治療の動画を撮影しており、いずれアップする予定なのですが、治療自体を今回紹介することにしました。

 

まず、フローダイバーターとは、目の細かいメッシュの筒のことです。

名前の由来は、「フロー(流れ)」を「ダイバート(変える)」もの、という意味です。

つまり、血管に目の細かいメッシュの筒を置くことで、動脈瘤への流れを減らして治す、治療器具です。

動画ではアニメーションを使って説明しています。

 

全ての動脈瘤に使えるのか?

いいえ、そうではありません。直径5ミリ以上で、分岐部でない部分にある動脈瘤が対象となります。

治療後の治癒率は1年で80%台程度ですが、5年経過すれば95%程度に達します。

ただし大型や枝のある動脈瘤では治癒率が下がるというデータもあります。

 

動画では留置した時に枝が詰まる確率や合併症率についても率直に紹介しています。

ぜひご覧ください!

 

https://www.youtube.com/watch?v=FAJgQrBsGRI

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ラジオ出演

2023年01月08日 | その他

先日、ラジオ出演の依頼を受け、収録を終えました。

CIAO 765という番組内で、野村 雅夫さんと対談しました。

https://cocolo.jp/service/homepage/index/1060

脳卒中医療に関するインタビュー形式で、下記の日程となっています。

お時間があれば、ぜひお聴きください!

 

・FM COCOLO(大阪) 放送日 → 1/10 (火),  17 (火) 9:20-9:40

番組「CIAO765」の中のコーナー「朝日インテックDREAM TOGETHER」内で放送

https://cocolo.jp/pages/timetable.php

・ZIP-FM (名古屋)放送日 → 1/21 (土),  28 (土) 7:00-7:30

https://zip-fm.co.jp/pro_index/time_table/Saturday.asp

・J-WAVE(東京) 放送日 → 2/5 (日) 22:00-22:54

https://www.j-wave.co.jp/contents/timetable/contents.html

 

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その後

2022年09月24日 | その他

朝まで浜松駅で新幹線の車内で待機となりましたが、再開の見通しが立たないためタクシーで横浜に向かっています。

ただ、高速道路も閉鎖されており、一般道も渋滞しているためかなり時間がかかってしまいます。

お待たせしている皆様、申し訳ありません。

到着がお昼前後になってしまう可能性が高いので、代診、変更などご検討ください。

お昼までお時間の許す方は診察いたします。

よろしくお願い致します。

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オミクロン株へのワクチン有効率と新規BA.2株について

2022年02月21日 | その他
我が国でのオミクロン株へのワクチン有効率についての情報が国立感染症研究所から報告されています。
次の図に示すように、ワクチン接種後は非常に高い有効性を示しますが、徐々に低下し50%前後となります。しかし3回目の摂取後は再び80%程度まで上昇しています。



国立感染症研究所「新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第三報)

一方で、オミクロン株は、これまでの変異株より重症化が少ない傾向にあることが報告されています。
このため「かかっても大丈夫」と考えられるかもしれませんが、ワクチン未接種者の入院率(=重症化)は3回接種者の23倍高いと報告されています(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7105e1.htm?s_cid=mm7105e1_w)。
つまり、ワクチン接種後にオミクロン株に感染してしまっても、症状が出る確率は低く、しかも重症化を減らす効果は依然として高いということです。
入院患者さんが増えると当然、病床圧迫につながります。実際、当院の周辺の病院のいくつかがほぼ満床状態となっており、通常医療が制限されています。
しかも、ごく最近の情報で、日本でも“ステルスオミクロン”と呼ばれるオミクロン株の亜種「BA.2」が増加しつつあるという報告があります。BA.2の感染力はBA.1より約33%高いとの研究もあり、また、BA.2が重症化を引き起こす能力はデルタ株など従来株と同等の可能性があります。また、BA.2は抗体医薬品(ソトロビマブなど)に対して耐性を持つ可能性もあり、感染者数がピークアウトしつつある状況でも予断を許しません。
オミクロン「BA.2」派生株、重症化率高い兆候

ですから3回目のワクチン接種が可能なのであれば受けたいところです。3回目接種希望の人にとっての関心事は「ファイザーかモデルナか?」ということかもしれません。これに関してはファイザー2回接種の方に関しては、モデルナの方が若干感染予防効果が高く、持続期間も長いとされています(下図)。




ファイザー製2回接種後の感染予防効果:英国健康安全保障庁の結果より引用・日本語に改変

オミクロン株へのワクチン有効率、そしてオミクロン株の亜種「BA.2」についての情報の一部をまとめました。
詳しくはそれぞれのサイトを参照してください。
以上、参考となれば幸いです。
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オミクロン株とは?

2021年11月28日 | その他
新型コロナウイルスの「オミクロン株」の出現に関する情報を目にしました。
世界各国で入国制限が強化され、今後の感染拡大が懸念されています。
一体どんな変異株なのでしょうか?

世界保健機関(WHO)は、南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異株を、最も警戒度が高い「懸念される変異株」に指定し、「オミクロン株」と命名しました。これまでの調査から「過去の変異株よりも、一度コロナにかかった人が再感染しやすかったり、急速に広がったりしやすい可能性がある」としています。
南アフリカで発見されたこの変異株は、すでに香港やイスラエル、ベルギーでも確認されているということです。

その感染力や重症化度合いについてはまだよく分かっていないようですが、日本に入ってきてしまう可能性もあり得ます。
感染者数が激減したことで会食や旅行者も急増していますが、ワクチン接種の有無に関わらず、感染防御に引き続き注意していきましょう。
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脳動脈瘤 その43 脳血管内治療:その13 フローダイバーターとは?

2021年10月31日 | その他
これまで動脈瘤に対するコイル塞栓術を紹介してきましたが、コイル治療が適していない動脈瘤もあります。
それはどんな動脈瘤でしょうか?

代表的なものは、以下の通りです。
 1. 大型、巨大脳動脈瘤
 2. 血栓化動脈瘤
 3. 紡錘状動脈瘤
 4. 再発動脈瘤
このような動脈瘤に対して、以前は治療を断念するか、このブログで紹介したような複雑な外科的治療が行われていました。
しかし、最近ではいくつかの新しい治療器具が導入され、血管内治療が大きな進歩を遂げています。

その代表の一つが「フローダイバーター」と呼ばれる治療器具です。
この器具は目の細かいステント(メッシュの筒)で(図)、これを血管に留置することで、動脈瘤への血流を減らし、徐々に小さくするというものです。
下記のアニメーションをご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=cBtvPzLyrtM

動画でお分かりのように、治療自体はとてもシンプルです。
動脈瘤の中に管やコイルを入れる必要がないので、術中の出血合併症はコイル塞栓術よりも少ないと考えられます。
このため、世界的にこの治療が激増しており、私の海外の友人は「最近動脈瘤の中にカテーテルを入れる機会が非常に少なくなった」と言っています。

フローダイバーターの導入によって、血管内治療の領域に大きな変革期が訪れているのです。
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脳動脈瘤 その36 脳血管内治療:その6 動脈瘤治療のテクニック

2021年07月18日 | その他
前回、動脈瘤に対するコイル塞栓術を紹介しましたが、この治療が行いやすい場合とそうでない場合について説明したいと思います。

この治療に最も大きく影響する要素の一つは、「動脈瘤の入り口の広さ」です。この入り口のことを私たちは「ネック」と呼んでいます。
上の図をご覧ください。同じサイズの動脈瘤であってもネックが狭いとコイルがうまくおさまりますが、ネックが広い場合にはコイルがはみ出だしてしまいます。このため、当初はネックが広い(ワイドネックな)場合には血管内治療の適応外とされ、開頭手術が行われてきました。
しかし、ネックが広い動脈瘤に対しても血管内治療が行えるよう、さまざまな工夫や新機器が編み出されてきました。

その代表的なものを紹介します。

 1. ダブルカテーテルテクニック
 2. バルーン併用コイル塞栓術
 3. ステント併用コイル塞栓術
 4. フローダイバーター留置術
 5. パルスライダー併用コイル塞栓術
 6. W-EB留置術

こんなに色々あるのですよ!

次回からはこれらのテクニックについて説明していきたいと思います。
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脳動脈瘤 その22 外科手術 1. クリッピング術 「クリップ時に重要なことは?」

2020年11月27日 | その他
いよいよクリッピングです。
クリップをかける前に、動脈瘤よりも心臓側の血管を一時的なクリップで遮断し、それからクリップをかけ、一時遮断を解除します(図)。
これはクリップをかける際に動脈瘤の圧力を減らし、操作中の破裂を防ぐためです。

クリップをかけて終わりではありません。かけた直後に、周辺の枝を一緒にクリップしていないか、完全に奥まで届いているか、きっちりと閉じているか、などを確認します。
もし不完全であった場合には、クリップをかけ直したり、追加することもあります。

今回の図のような動脈瘤で最も重要なのは周辺の枝を一緒にクリップしてしまったり、クリップをかけたせいで、細い血管の流れが悪くなっていないかを確認することです。なぜなら、図のような細い血管でも手足の動きなどに関係する重要な部分に血液を送っている可能性があるため、流れが悪くなると後遺症を生じかねないからです。
これを避けるためには、クリップ前に十分に動脈瘤を剥離すること、適切な形状のクリップを選ぶこと、そして様々な方法で確認を行うことが重要です。
確認の方法には肉眼的観察、ミラーを用いる方法、内視鏡、超音波ドップラー、蛍光血管撮影などいろいろありますが、その詳細は、今後紹介します。

確認の結果、周囲の血管を温存して完全なクリップができていれば一安心、というところです。
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脳動脈瘤 その4 脳動脈瘤と遺伝

2019年11月09日 | その他
さて、今回は脳動脈瘤と遺伝についてお話しします。
あなたのご家族に脳動脈瘤があると診断されたら、「ひょっとしたら自分も?」とか、「子供に遺伝しないか?」と心配になりますよね。実際、脳動脈瘤と診断された患者さんやそのご家族からよく質問を受けます。
「家族全員がMRIを受けたが、誰も異常はなかった」という患者さんがおられる一方で、これから紹介するようなこともあります。

                    

ある患者さんがくも膜下出血で搬入されてきました。極めて重症でしたが、ご家族の希望があったため緊急手術を行って集中治療を行いました。正直、私たちでさえ「もう助からない」と思うほど重症だったのですが、スタッフの懸命な治療によって奇跡的に一命を取り留め、なんと最終的に社会復帰されました。本当に運の強い方だったと思います。
さて、ある日、その方の弟さんが外来で「私たちは大丈夫でしょうか?」と質問されました。私は「脳動脈瘤は明確な遺伝病ではありません。しかし、脳動脈瘤が診断された家系では、脳動脈瘤の診断率がやや高いと報告されています。一度、MRIを受けてみてはどうでしょうか?」とお話ししました。
このようなお話をしても、検査を受けない人が多いのですが、その方はお兄さんが重症だったためかMRIを予約して帰宅されました。そして後日、外来でMRIを一緒に確認したところ、なんとお兄さんと全く同じ場所に同じようなサイズの動脈瘤があったのです。ご本人は大変驚き、動揺されたご様子で、「先生、すぐに手術してください!」と治療を希望されました。
後日、少し落ち着かれてからご家族とともに再度説明を行いましたが、やはり予定通り手術を行うこととなりました。
幸い治療は無事に終わり、患者さんも私たちも胸をなでおろした、という経過です。

                    

このように兄弟や親子で全く同じ場所に動脈瘤を認めることがありますし、家族の中に動脈瘤のある人がいる場合には家族歴のない場合に比べて3-4倍の確率で脳動脈瘤が見つかると言われています。やっぱり、兄弟や親子では顔や形が似るように、血管も似ているのでしょうね。
したがって、親族に脳動脈瘤がある場合には一度MRIを受けると良いと思います。

さて一方で、脳動脈瘤を合併しやすい病気もあります。
有名なのは多発性囊胞腎という病気ですが、それ以外にもいくつかの遺伝病(Ehlers-Danlos IV 型,Marfan症候群,神経線維腫症 1型など)で脳動脈瘤の診断頻度が高いとされています。
ある種の脳腫瘍や脳動脈硬化疾患を有する患者さんも、診断率が高いというデータがあります。

脳動脈瘤と遺伝、家族歴についてお話ししました。
次回は脳動脈瘤の増大についてお話しします。


追記:
まさにこの記事をアップした直後、外来で診察した患者さんのご兄弟が重症のくも膜下出血を起こされてしまった、と聞きました。MRIはまず無害の検査です。ぜひ家族歴のある方は受けていただきたいと思います。

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