脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

天津医科大学

2018年10月30日 | 病院
先週、天津医科大学に出張してきました。
天津市はインターネットで検索すると人口750万で、北京からは新幹線(高鉄)で約30分と比較的近い距離にある市です。中国に4つしかない「直轄市」の一つだそうで、天津医科大学は天津市の市立医科大学とのことでした。大学の関連病院が6つあり、そのうちの一つの天津市腫瘤医院(日本語で言えば天津市がんセンター)も訪問させて頂きました。特に乳癌の手術症例が多く、1年間の手術件数が1000件以上ということでした。

以前に北京の首都医科大学の先生達にお招きいただいたことがありますが、関連病院が13あるということでした。天津も6つの関連病院。日本とはスケールが違います。
ただ、日本は非常にキメの細かい診療が行われており、質の高さは世界トップクラスだと思います。中国をはじめ、アジアの国々も急速に進歩してきていますので、さらに頑張らなければと思いました。

ところで天津といえば「天津飯」というイメージですが、実は「天津飯」は日本独特の中華料理で、中国では存在しないそうです。あと、天津甘栗という名称も日本だけのものだそうです(Wipkipediaより)。
私たちは「天津三絶」名物の一つ、狗不理包子(肉まん)を頂きました。とても美味しかったですよ!
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くも膜下出血の診断について

2018年10月20日 | くも膜下出血
先日、このブログにmayakoさんから下記のようなコメントを頂きました。

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ブログ読ませていただいております。
私のブログにきたコメントを記事にしました。
すごく悲しく、親御さんの気持ちが本当に理解できるので、
先生にもお読みいただき、若い医師に患者や家族の気持ちを分かってもらいたくて、かき込みました。
https://blog.goo.ne.jp/sahmayamama/e/5b0a40dbac1baf343ebbabc8badeed12
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本件は重要なことですので、私の意見を述べたいと思います。
このような事例は稀ならず報告されます。なぜなのでしょうか?
そのためにはまず、くも膜下出血の症状を知る必要があります。
拙書「脳卒中をやっつけろ!」の「その1:敵を知り」では以下のように説明しています。

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 脳卒中の中でも、くも膜下出血はかなり症状が違います。そこで、別に解説します。
①頭痛:くも膜下出血に典型的なのが「頭痛」です。というと、「自分もそうかもしれない!」と心配になりますよね。でも安心してください。ほとんどの頭痛はくも膜下出血ではありません。というのも、くも膜下出血の頭痛は特徴的で、「突然の激しい痛み」なのです。それも「何時何分」と、時間を特定できるほど急に起きる頭痛なのです。患者さんはよく、「これまで経験したことのない激しい頭痛」とか「ハンマーで頭をたたかれたような頭痛」と言います。そんな頭痛はあまり経験しませんよね。ですから、「このところ何となく頭が痛い」とか、「肩こりがひどいと頭が痛くなる」というのは、まずくも膜下出血ではありません。 
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このように「突然の」激しい頭痛という点がくも膜下出血の頭痛の特徴とされています。
さらにCTを撮影するかどうかについては、この本の中で「コラム:突然の頭痛にCTは必要か?」として取り上げました。

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 新聞などで、毎年のように「くも膜下出血の見逃し」が報道されます。なぜ見逃されてしまうのでしょうか?
 まず、見逃されるのは軽症の患者さんです。重症の患者さんは意識障害などがありますので、救急車で搬送され、迅速に診断されることがほとんどです。しかし、患者さんが頭痛だけで他に症状がない場合には話が変わってきます。私たち脳神経外科医は「突然の頭痛」と聞いただけでCTを撮らずにはいられませんが、あるインターネットの掲示板で「突然の頭痛というだけで緊急CTは撮らない」とする一般医師の意見が多く、私は大変驚きました。(中略)さらには、CTを行ったとしても、軽度のくも膜下出血は診断しにくいため、見逃されてしまうことが多いのです。以前調査したところ、軽度のくも膜下出血は脳神経外科医の専門医しか診断できませんでした。しかも、発症から時間が経過すると専門医であってもCTで診断できなくなってしまいます。こうなると特殊なMRIや腰椎穿刺(背中を注射して脳脊髄液を抜き取って調べる検査)を行わないと診断できなくなってしまうのです。
 つまり、自分の身を守るためには、突然の激しい頭痛はすぐに脳神経外科の専門医に診てもらうことが重要なのです。頭の病気は頭の医者に、おなかの病気はおなかの医者に診てもらうのが一番いいのです。「突然の頭痛」は迷わずすぐに脳外科を受診してくださいね!
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個々の事例についての言及は避けますが、症状が典型的ではない場合には私たち専門医でも迷います。
ただし、私は必ず検査をします。そのきっかけとなった患者さんのことを紹介します。

私が休日当番だったある日、「座布団の上に後ろ向きに倒れた」という赤ちゃんが救急外来にきました。見た目は全く普通でしたし、麻痺などもありませんでした。よく聞くと、分厚い座布団の上に倒れて、その後は嘔吐などもなく、全く正常ということでした。小児は検査の途中に安静にできない事が多く、場合によっては座薬や注射で眠らせないと検査できないので本人と放射線技師さんに負担をかけてしまうことが多いのです。また、そこで放射線技師さんに相談しました。そうするとその技師さんは「先生、いいよ。動いたらCT室に手伝いに来てね。」と気持ちよく引き受けてくださいました。そして、検査をした結果、なんと小脳に出血しているではありませんか!当然、緊急入院となりましたが、幸い手術は不要で、経過は良好でした。
この経験以降、私は頭蓋内の異常の可能性がある場合には必ず検査をすることに固く決めました。そして、一緒に仕事をする仲間達にはこういった事例を紹介して、同様の対応をするように指導しています。

医学は不確定要素の大きな学問です。診断や治療に100%確実ということはありません。頭痛もはっきりしないのに出血を認めることさえあります。ですから、ご自身とご家族を守るためにもぜひ医学の知識を増やし、頭の病気を疑ったら必ず脳神経外科専門医を受診してください。

「脳卒中をやっつけろ!」はこのような事例を減らしたい、そんな思いで書きました。皆さんのお役に立てば嬉しいです。
コメント (3)
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誕生会

2018年10月18日 | その他
今週は、松田健一先生、長尾洋一郎先生、千田大樹(ちだだいき)先生の誕生祝いでした。
今回はハロウィーンの可愛いケーキでした!
松田先生は救急専門医で、脳神経外科専門医を目指しています。(コードブルーの山Pみたいですね)
長尾先生は熊本大学神経内科からの国内留学で血管内治療専門医を目指しています。半年経って、臨床研究も含めて、だいぶ慣れてくれたようです
千田先生は後期研修2年目で、忙しく飛び回ってくれています。
3名ともバリバリ頑張ってくれています。さらなる活躍を祈ってます。
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頭蓋内動脈狭窄症のレクチャー

2018年10月11日 | 学会/研究会
昨日は日本脳神経外科学会総会のアフタヌーンセミナーで頭蓋内動脈狭窄症に関するレクチャーをさせて頂きました。
領域講習になっていることが影響しているとは思いますが、多くの方々にご参加いただき、感激いたしました。
これまで私たちが行ってきた治療とともに最新情報を紹介しました。
師匠の1人である京都医療センターの塚原徹也先生にお褒め頂き、とても嬉しかったです。
座長の宮地先生や参加者の皆さん、セミナーの機会をいただいた大塚製薬さん、ありがとうございました。

Yesterday, I made a lecture regarding acute stroke due to intracranial athrosclerotic stenosis (ICAS) in the afternoon seminar of the annual meeting of Japan Neurosurgical Society. We were so happy to have many audience which might be related to be set as one of the credit education seminars. I introduced our endovascular and open surgical practices and new information regarding ICAS treatment.
Dr. Tetsuya Tsukahara, who is one of my mentors, praised it, which made me happy.
Thank you, Dr. Miyachi for wonderful chair, and all audience, and the members of Otsuka pahrmaceutical Co.
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新家荘平先生の理事長ご退任・旭日重光章受章のお祝い

2018年10月09日 | 人物紹介
昨日は新家荘平先生の理事長ご退任・旭日重光章受章のお祝い会でした。
500名もの参加があり、お祝いの言葉はもちろん、様々な催しで盛りだくさんの楽しい会でした。
そして娘さん(啓子さん)達の和太鼓も凄かった!
先生は絵画や書道を嗜まれ、その腕はプロ級とのこと。
今後は画業に専念されるとのことで、なんでもお寺の天井画や壁画を書かれるとか...。信じられないようなすごいお話です。
私は兵庫医大赴任後、温かくご指導頂きました。本当に有難うございました。
先生のさらなるご健勝を心からお祈り申し上げます。
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堀江信貴先生が見学に来てくれました!

2018年10月03日 | 人物紹介
長崎大学の堀江信貴先生が見学に来てくれました!
見て頂いたのは、ステント併用コイル塞栓術です。
どちらも難易度の高い症例でしたが、なんとか無事に終えることができました。
先生からはレクチャーもしてもらいました。プラーク診断と再生医療なので私たちの研究領域と近く、とても参考になりました。
堀江先生、関係者の皆様、有難うございました!

Dr. Nobutaka Horie from Nagasaki Univ. visited us!
We showed 2 cases with stent-assisted coiling. Both were relatively difficult cases, but successfully treated.
He made a wonderful lecture regarding plaque imaging and regeneration therapy which were close to our research field.
Thank you, Dr. Horie and everybody!
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