脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

日本脳卒中学会:COVID-19 対応 脳卒中プロトコル

2020年04月25日 | トピックス
昨日は血管内治療の東海大学マニュアルを紹介しましたが、今回は日本脳卒中学会のCOVID-19対応 脳卒中プロトコルを紹介します。

https://www.jsts.gr.jp/news/pdf/jss_pcs_ver1_2.pdf

このプロトコルでは、「脳卒中救急受け入れの条件」や「脳卒中救急受け入れ体制はどのようにすれば良いか?」など、実際の診療で役立つ事項が、Q&A形式でわかりやすく解説されています。
脳卒中診療関係者はぜひ目を通すべき内容だと思います。
私たちも早速勉強して、今日からの診療に生かしたいと思います。
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コロナ蔓延期に緊急血管内治療をどのように行うか?

2020年04月24日 | トピックス
コロナウイルス感染症が増加し、病院が閉鎖に追い込まれたり、緊急治療ができなくなったため、受け入れを止める施設が増加しはじめています。
しかし、重症の脳梗塞患者さんには迅速にカテーテル治療を行って、詰まった血管を開通させなければなりません。
このたび、日本脳神経血管内治療学会の学会誌(JNET)に東海大学チームマニュアルが論文として投稿されました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnet/advpub/0/advpub_sr.2020-0075/_article/-char/en

ここではコロナウイルスに対する防護をいかに行うかという点を具体的に示した東海大学のプロトコールが紹介されています。
今回は英語版ですが、近く、日本語版も出版される予定です。
本論文は、メディカルトリビューン紙で紹介されました(下記リンク)。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0422530064/

私たちの病院ではまだコロナ陽性患者さんに血管内治療を実施した経験はありませんが、今後患者さんが増えてくればその可能性が出てくると考えています。
この治療に関わる医師や放射線技師、看護師は感染リスクにさらされます。
ですから、しっかりと自分たちを守りながら、治療を実施しなければなりません。
このような情報を参考にして、頑張っていきましょう!
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トピックス:新しいフローダイバーターFRED上陸!

2020年04月22日 | 動脈瘤
この度、新しいフローダイバーターFREDが我が国に上陸しました!
このFREDはこれまでのフローダイバーターと下記の点が違っています。
1)最大径5mm以上に使用可能
2)内頚動脈だけでなく、中大脳動脈や椎骨脳底動脈にも使用可能
3)メッシュが2重になっているので、動脈瘤が治癒しやすい可能性がある
などです。
これまでに3名の患者さんに使用しましたが、留置も安全に行え、非常にうまく治療できました。
脳動脈瘤の治療を大きく変えてしまう可能性のある新しいフローダイバーター。
この機器でより多くの患者さんが救われることを願っています。
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脳動脈瘤 その13 脳動脈瘤の症状: 突然の頭痛に注意!

2020年04月19日 | 動脈瘤
みなさん、こんにちは。
コロナウイルス蔓延による巣篭もりもちょっと疲れてきましたね。
でももう少し頑張りましょう。今日は全国の新規診断患者数が昨日より少なかったようです。
まずはあと2週間ちょっと、みんなで力を合わせましょう!

さて、先日、未破裂脳動脈瘤の症状として最初に「物が二重に見える」というものを紹介しました。
しかし、未破裂脳動脈瘤がもともと診断されていた人の場合、一番心配なのは頭痛だと思います。
たしかに、頭痛には最大限の注意を払うべきですが、心配のない頭痛もあります。
では脳動脈瘤が破裂した時にはどんな頭痛が起きるのか、紹介したいと思います。

脳動脈瘤が破裂した時の頭痛には大きな特徴があります。
それは「突然に」痛くなる、ということです。
夕方になったらだんだん頭が痛くなってきた、という感じの痛みではなく、
「朝のニュースのテーマソングが流れていた時に、急に痛くなった」
とか
「ハンマーで殴られたような突然の頭痛」
という感じの頭痛です。
この「突然に痛くなる」というのがポイントです。
もしもこのような頭痛があった時にはすぐに救急車を呼んで脳外科の専門医を受診してください。

ただし、痛みの程度はさまざまです。
「割と軽い頭痛だった」という方もいますし、
痛みを訴える間もなく倒れてしまうこともあります。
これは出血の程度によって違うのです。
また、大きな破裂の前に、小さな出血を起こすこともあります。
この場合、軽度の頭痛の時点で病院を受診して、診断と治療が迅速に行われれば難を逃れることができることになります。

そして、もう1つ注意すべきなのは、最初の出血から6時間以内に再破裂をすることが多い、ということです。
ですから、頭痛をそのままにしてしまうと、最大のチャンスを失ってしまうことになります。

突然の頭痛はすぐに脳外科専門医へ!!!
覚えておいてください。





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脳動脈瘤 その12 脳動脈瘤の症状: ものが二重に見えたら要注意!

2020年04月01日 | 動脈瘤
みなさん、こんにちは。
今回は未破裂脳動脈瘤の症状について紹介したいと思います。
「私、頭がよく痛くなるので、脳動脈瘤がないでしょうか?」という方がよく受診されます。
たしかに動脈瘤が破裂したり、解離性動脈瘤であれば頭痛が起きるので、検査はします。
しかし通常の未破裂動脈瘤の場合にはまず痛みはありません。

では私達、専門医はどんな症状が出た時に脳動脈瘤を疑うのでしょうか?
それは
1) 物が二重に見える
2) 片方のまぶたが下がってきた
というような場合です。
なぜ、こんな症状が出るのでしょうか?

脳動脈瘤は脳の動脈のどこにでも出来るのですが、好発する場所があります。
その1つが内頚動脈という目の奥を走る血管から後交通動脈という枝が分かれるところで、「内頚動脈-後交通動脈分岐部」と呼ばれます。
そして、この場所の動脈瘤は、上に挙げたような症状を出すことが多いのです。

それはなぜなのでしょうか?
実はこの場所は目を動かす神経(動眼神経)に近く、動脈瘤が形成されると、ちょうど神経に当たって、その働きを弱めるためなのです。
片方の目の動きが悪くなると、それぞれの目で見た像がずれてしまい、このため本人には「物が二重に見える」ということになります。
この症状は先日、ビートたけしさんの「家庭の医学」で脳梗塞の症状の1つとして紹介しましたが、脳動脈瘤の症状としても最も典型的なものの1つです。

さて、もう1つの「片方のまぶたが下がってきた」という症状も、前出の目を動かす神経である「動眼神経」が麻痺することで起きます。

つまり、
「朝起きたら、片方の瞼が下がっている」
とか
「運転中にセンターラインが2本に見える」
「天井の蛍光灯が2つにずれて見える」
といった症状が急に出た場合には、要注意!!!

私たち脳神経外科医はこんな時、必ずMRIなどで脳動脈瘤の有無をチェックします。
なぜなら急にこのような症状が出た場合には動脈瘤が急速に増大していたり、小出血をきたしている場合が多いからです。
みなさんも、もしこのような症状が出た場合にはすぐに脳神経外科専門医の診察を受けてください。
私自身も、これまでに何名もの患者さんの動脈瘤を診断し、手術を行いました。この状況で診断がついたこともあり、みなさん元気になられています。

ただし、これらの症状が別の病気で起きることもあります。
一番多いのは糖尿病なのです。しかし、糖尿病による神経障害が原因で物が二重に見えているのなら緊急性がないことの方が多いのです。
一方、脳動脈瘤の急速増大や破裂は命に関わります。
このため、まずは脳を調べて、それで何もなければ、その後、糖尿病性などを内科で診療してもらえば良いわけです。

すでに脳ドックなどで内頚動脈-後交通動脈分岐部に動脈瘤のあることがわかっている方は、こういった症状が出たら緊急で病院を受診してください。

以上、今回は脳動脈瘤の最も典型的な症状を紹介しました。



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