さて、特殊な動脈瘤として、血豆(チマメ)状動脈瘤というものがあります。これは、内頚動脈という血管にできる小さな動脈瘤で、くも膜下出血を起こした患者さんで診断されます。
なぜ「血豆(チマメ)状動脈瘤」と呼ぶのでしょうか?
極めて壁の薄い小さな動脈瘤で、手術で観察すると血豆のように見えるからです。クリップをかけると動脈瘤自体がはじけ飛んでしまうことがあるため治療が難しく、注意を喚起するためにこのような名前で呼んだものと思われます。部位的には、内頚動脈背側型動脈瘤(IC dorsal aneurysm)などと呼ばれてきましたが、解剖学的には内頚動脈の前壁と表現する方が正しいことから、最近では内頚動脈前壁動脈瘤(IC anterior wall aneurysm)と呼ばれています。
この動脈瘤でもう1つ注意すべきことは、くも膜下出血患者さんに血管撮影検査をしても最初は動脈瘤が見つからず、その後、徐々にふくらんできて血豆(チマメ)状動脈瘤と診断されることがあることです。ですから、くも膜下出血患者さんで動脈瘤が見つからない場合には、内頚動脈の壁にわずかな凸凹(壁不正)がないかどうかをよく確認して、もしあればこの動脈瘤の存在を疑うことが重要です。
このように、この動脈瘤は見た目も経過も普通の動脈瘤とは違います。なぜこんな動脈瘤ができるのででしょうか?
実はまだよくわかっていません。ただ、これまでの報告では、解離性動脈瘤の1つの形なのではないかとする報告が多いのです。つまり、血管の壁に裂け目ができて、形成されるのではないかという見解です。そう考えれば、壁がうすくてクリップが難しいことや、徐々にふくらむことがあること、さらには動脈瘤をクリップしても、その後、その近くの血管がふくらんでくることなどの説明がつきます。
ただしその一方で、内頚動脈前壁動脈瘤の中にも、血豆状ではなく壁の厚い普通の動脈瘤もあることがわかっています。しかも、画像検査では壁の厚さは診断できないため、術前に血豆状の危険な動脈瘤か否かの判定は難しいとされています。
では、この場所の動脈瘤をどう治療すれば良いのでしょうか?
実はベストの治療はまだ確定していません。クリップできるものはクリップした方が良いとする考えと、破裂を絶対に防ぐために血管ごと遮断してバイパスを行った方が良い、とする考えがあります。また、最近では血管内治療も行われることがあります。
後半の治療の部分で詳しく述べたいと思います。
なぜ「血豆(チマメ)状動脈瘤」と呼ぶのでしょうか?
極めて壁の薄い小さな動脈瘤で、手術で観察すると血豆のように見えるからです。クリップをかけると動脈瘤自体がはじけ飛んでしまうことがあるため治療が難しく、注意を喚起するためにこのような名前で呼んだものと思われます。部位的には、内頚動脈背側型動脈瘤(IC dorsal aneurysm)などと呼ばれてきましたが、解剖学的には内頚動脈の前壁と表現する方が正しいことから、最近では内頚動脈前壁動脈瘤(IC anterior wall aneurysm)と呼ばれています。
この動脈瘤でもう1つ注意すべきことは、くも膜下出血患者さんに血管撮影検査をしても最初は動脈瘤が見つからず、その後、徐々にふくらんできて血豆(チマメ)状動脈瘤と診断されることがあることです。ですから、くも膜下出血患者さんで動脈瘤が見つからない場合には、内頚動脈の壁にわずかな凸凹(壁不正)がないかどうかをよく確認して、もしあればこの動脈瘤の存在を疑うことが重要です。
このように、この動脈瘤は見た目も経過も普通の動脈瘤とは違います。なぜこんな動脈瘤ができるのででしょうか?
実はまだよくわかっていません。ただ、これまでの報告では、解離性動脈瘤の1つの形なのではないかとする報告が多いのです。つまり、血管の壁に裂け目ができて、形成されるのではないかという見解です。そう考えれば、壁がうすくてクリップが難しいことや、徐々にふくらむことがあること、さらには動脈瘤をクリップしても、その後、その近くの血管がふくらんでくることなどの説明がつきます。
ただしその一方で、内頚動脈前壁動脈瘤の中にも、血豆状ではなく壁の厚い普通の動脈瘤もあることがわかっています。しかも、画像検査では壁の厚さは診断できないため、術前に血豆状の危険な動脈瘤か否かの判定は難しいとされています。
では、この場所の動脈瘤をどう治療すれば良いのでしょうか?
実はベストの治療はまだ確定していません。クリップできるものはクリップした方が良いとする考えと、破裂を絶対に防ぐために血管ごと遮断してバイパスを行った方が良い、とする考えがあります。また、最近では血管内治療も行われることがあります。
後半の治療の部分で詳しく述べたいと思います。