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高血圧医療はウソ?

2024年09月21日 | 脳卒中

未破裂脳動脈瘤があり、定期検査を受けている患者さん(80代)のご家族から質問がありました。以下、修正を加えたやり取りを紹介します。

Q: 脳動脈瘤を破裂させない対策の一つとして、高血圧に気をつけることを教えて頂きました。ただ、長年服用している降圧剤について、いろいろ調べますと、その副作用について以下の記述を目にしました。

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降圧剤の内服によって末梢まで血流が届かなくなる
細い血管が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが高まる
細胞の隅々まで血流が届かない事により、認知力の低下や癌のリスクが高まる
目の血管に栄養が届かなくなり、白内障や緑内障のリスクが高まる

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上記リスクを回避することよりも、脳動脈瘤の破裂の要因の一つが高血圧である以上、降圧剤は毎日服用し続ける方が無難なのでしょうか。

 

確かにこのような情報を目にされると大変不安になると思います。しかも医師がホームページに記載しています。

ただ、調べると、高血圧の専門ではない内科のドクターで、高血圧の医療自体に否定的な方のようです。そのホームページには、日本の高血圧ガイドラインで以前不正があったことを紹介し、「高血圧の医療はウソだ」と記載されています。

そこで、下記のようにお返事しました。(個人情報保護のため、一部改変しています)

A: ご家族のために様々な情報を入手されていること、大変素晴らしいことと思います。ただ、個人的な意見より、世界的な大規模調査の結果の方が信頼できると考えます。
 
まず、未治療の脳動脈瘤における増大・破裂因子は1)高血圧、2)喫煙、3)大量の飲酒です。
 
【参考文献】
 
しかも、高血圧の管理は脳だけでなく全身の様々な疾患を減らすことが証明されています。
(中略)
下記の情報と参考文献(日本で不正があったということなので海外のメジャーな論文です)がお役に立つかと思いますので参考にして下さい。
 
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高齢者であっても、血圧の管理は非常に重要です。80代の患者さんにとっても、適切な血圧管理は健康を維持し、合併症を予防するための重要な要素です。以下に、その理由を説明します。

1. 脳卒中や心臓病のリスクは年齢とともに増加

高齢者では、血管が硬くなりやすく、高血圧がさらに進行する傾向があります。血圧が高い状態が続くと、脳卒中や心臓発作のリスクが特に高まります。80代でも、血圧を適切に管理することでこれらのリスクを大幅に減少させることができることが科学的に証明されています。研究では、高齢者においても血圧管理が脳卒中の発症リスクを下げ、心臓病や心不全の予防に効果的であることが示されています 。

2. 認知機能の低下を防ぐ

高血圧は、脳への血流に影響を及ぼし、認知症や軽度認知障害(MCI)のリスクを高める可能性があります。血圧をコントロールすることで、脳へのダメージを軽減し、高齢者の認知機能を維持する効果も期待されています。これは、特に長寿社会において大きなメリットです 。

3. 全身の健康管理

高血圧は心臓や脳だけでなく、腎臓や血管系全体にも影響を及ぼします。高齢者は腎機能の低下や血管の硬化が進行しやすいため、血圧管理によってこれらの臓器の健康も保つことができます。腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物を処理する能力が減少し、さらなる健康問題を引き起こす可能性があります 。

4. 安全な血圧管理のアプローチ

高齢者の場合、低すぎる血圧もリスクとなるため、医師と相談しながら個別に最適な血圧目標を設定することが重要です。薬物療法や生活習慣の改善により、無理のない範囲で血圧をコントロールすることが推奨されます。

まとめ

高齢であっても血圧管理を怠るべきではありません。逆に、高齢だからこそ、脳卒中や心臓病、腎機能低下などのリスクを避けるために、血圧を適切に管理することが重要です。年齢に関係なく、血圧をしっかりコントロールすることで、健康で活動的な生活を送ることが可能になります。

【参考文献】

以上の情報がお役に立てば幸いです。

これ以外にも普段の医療で質問があればぜひお寄せ下さい。

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