脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

パルスライダー上陸!

2020年09月23日 | 動脈瘤
新たな脳血管分岐部デバイス、パルスライダーを使用した治療を行いました。
上の図をご覧ください。
血管の分かれ目にできた動脈瘤の中のコイルがパルスライダーでうまく支えられているのがわかります。
とうとう、わが国でも血管分岐部用の補助器具が使用可能となりました。
すでに何名かの方が治療を待っています。
慎重に、そして精一杯治療していこうと思います。
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脳動脈瘤 その17 外科手術 1. クリッピング術 「もっと小さい傷でできないのか?」

2020年09月22日 | 動脈瘤
論文執筆でちょっと遅くなってしまいました。
さて、前回紹介した皮膚切開について「もっと小さい傷ではできないのですか?」と質問を受けました。
そんなことが可能なのでしょうか?

その答えは、Yesです。
上の図をご覧ください。
眉毛の近くや髪の毛の生え際を切れば、もっと小さな傷で手術はできるのです。
これは、実際の手術は点線で示した部分を中心に行うので、その部分が見えるようになれば良いからです。
小さい傷での低侵襲な手術、とてもよさそうですね!

しかし実際にはこの方法はそれほど普及していません。なぜなのでしょうか?
それはこの方法には少し問題があるからです。
まず、小さな傷から手術を行うと、普段の手術よりも狭い分だけ操作がしにくくなります。
脳動脈瘤の手術の場合には裏側や周囲の確認が大切なのですが、小さな傷から覗き込む方法では、それらが十分にできないケースが存在します。さらに、ひとたび動脈瘤から出血をきたすと狭い視野では止血がしにいのです。
あと、生え際を切る方法は良いのですが、眉毛の近くを切る方法は小さいながら傷が見えてしまいます。
したがってこの小さな手術法を選択する場合には、動脈瘤のサイズや向きなどがこの方法に向いた患者さんを選ぶ’眼’と、小さな傷から綺麗に治療する’技術’が必要です。

さて、個人的にはこの治療の経験があり、特に髪の毛が少なくなっている男性に適応することがあります。もちろん、前述のように動脈瘤がこの治療に向いていると判断した場合です。

以上、小さな傷から行うクリッピング手術について紹介しました。
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脳動脈瘤 その16 外科手術 1. クリッピング術 「どこを切るのか?」

2020年09月03日 | 動脈瘤
もし、あなたに脳動脈瘤があって、開頭手術を受けることになったら、とても不安ですよね。
だれでも「頭を切る手術は受けたくない」と思いますから。
最近は血管内治療の進歩によって、開頭手術が必要なケースは減ってきました。
しかし、いまでも一定数の患者さんは開頭手術が必要です。

さて今回からは、開頭手術を受ける患者さんの目線に立って、手術がどんなものかについて説明していきたいと思います。

まず、「どこを切るのですか?」というのが良く受ける質問です。
これは動脈瘤の場所によって変わってきます。
一番多いのは耳の前あたりからおでこの上あたりの髪の毛の中を切る方法です(上図)。
髪の毛の中を切るので、傷は目立ちません。
またこの方法は長い歴史があるため、術後のトラブルは非常に少ないのです。




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