脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

脳動脈瘤 その38 脳血管内治療:その8 バルーンアシストテクニック

2021年08月24日 | 動脈瘤
こんにちは!
今回は脳動脈瘤コイル塞栓術のうち、風船で補助する方法、「バルーンアシストテクニック」を紹介します。

この方法は動脈瘤の入り口(ネック)で風船をふくらませることで、コイルが動脈瘤からはみ出さないようにする方法です。
図をご覧ください。
左のようにコイルだけを入れるとはみ出してきてしまうような場合でも、風船をふくらませて支えながらコイルをいれることでうまく収めることができるのです。
そして右の図のようにしっかりと詰まったら、風船とカテーテルを抜いて終了です。

この方法の利点と欠点は、以下の通りです。
利点:
 1)正常な血管に何も残らない
 2)このため術後の内服が不要
欠点:
 1)風船で血管が傷つくことがある
 2)あまりにも入り口(ネック)が広いと治療できない
 3)再発がやや多い

術後に内服が必要ないことは、もともと出血する病気を持っている方、他の病気で手術などが必要になる方、転倒しやすい方、などにとって有利になります。
また、動脈瘤が破裂してくも膜下出血が起きた場合には、ステントを使用できないので、この方法がよく行われます。

このテクニックで多くの患者さんの治療が可能となりましたが、欠点もあるので、それを克服するためにステントという金属メッシュの筒が用いられるようになりました。
次回紹介しますね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドクターズマガジンの取材記事

2021年08月17日 | 報道・出版関係
いいお医者さんネットのホームページから、ドクターズマガジンの取材記事が読めるようになりました。
お時間があればぜひご覧ください。

http://www.e-oishasan.net/site/yoshimura/images/topics/2021/20210810.pdf

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脳動脈瘤 その37 脳血管内治療:その7 ダブルカテーテルテクニック

2021年08月06日 | 動脈瘤
みなさん、お久しぶりです。ちょっと間が空いてしまいましたm(_ _)m
それでは脳動脈瘤の血管内治療のテクニックを紹介していきますね。
通常は一本のマイクロカテーテルを入れて治療しますが、ネックが広いと難しいことを説明しました。
そこで2本のマイクロカテーテルを入れて治療する方法、ダブルカテーテルテクニックを紹介します。

まず一本めのカテーテルからコイルを入れます。
それで枠(フレーム:frame)のようなものを作ります。
ですから、この操作は「フレーミング(framing)」と呼ばれます。
通常はこのフレーミングコイルを切り離して次のコイルを入れるのですが、入り口が広いとコイルの追加中に最初のコイルがはみ出してきてしまうことがあります。
そうなると大変です。ステントなどでレスキューしないといけません。

ダブルカテーテルテクニックでは、最初のコイルを切り離さないで、別のカテーテルから次のコイルを入れます。
切り離していないと、ややコイルが安定しますし、次のコイルを入れて、もし崩れてしまった場合には両方ともまた引き戻してやり直せるからです。

このテクニックはステントを使わないので、術後の内服が不要なこと、そしてバルーンも使わないので、血管の損傷をきたしにくいことが利点です。
私もよく使う方法です。

次はバルーンを併用したテクニックを紹介しますね。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする