脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

第32回中部地区脳神経外科血管内手術懇話会

2009年08月31日 | 学会/研究会
土曜日は高山で中部地区脳神経外科血管内手術懇話会がありました。
この地区の専門家が集まって行う症例検討会ですが、年2回で32回ですから、すでに16年の歴史があることになります。
最初は小さな会でしたが、最近はずいぶん大きくなりました。
今回は内科医でこの領域に興味を持つ先生も出席されていました。
ナイトセッションもあってずいぶん盛り上がりましたよ。

さて高山というと、「古い町並み」「高山祭り」が有名ですよね。
今日、古い町並みによってきました。
夏休み最後の日曜日ということですごい人出でしたが、きれいなアサガオが咲いていましたよ!

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脳梗塞慢性期の治療 はじめに

2009年08月28日 | 脳梗塞
脳梗塞の慢性期に治療すべきことがあるのでしょうか?
あるのです。それは脳梗塞が再発するのを予防するための治療です。
どういう状態だと再発しやすいのか?
まず、それを考えてみましょう。

そこで役立つのが以前に説明した脳梗塞の分類!
でましたねー。
これが分かると説明がしやすくなるのです。

上の分類を見てください。
これらはそれぞれ治療法が違います(^^)

まず1)は脳の細ーい血管がつまるんですから、普段の高血圧とか糖尿病、高コレステロール、喫煙などの危険因子の管理が大切です。これはまた改めて説明しますね。
次に2)を飛ばして3)。
心臓の不整脈等が原因で心臓の中に血栓が出来るわけですから、それを薬で防ぐわけです。
「血液さらさら」にする薬の中でも強力な「ワーファリン」を内服します。
つまり1)と3)は普段の健康管理とお薬が予防手段、ということになります。

それでは2)はどうでしょうか?
2)にも色々ありますが、基本的には「血液さらさら」にする薬を使います。
これは血液の中の血小板という止血作用のある成分、これを抑制する薬を使います。
具体的にはアスピリン、プラビックス、プレタールなどです。
しかしこれらの薬にも限界があります。
そう、薬を飲んでいても再発してしまう、そういう状態があるのです。
次回から説明していきますね!
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巨大動脈瘤の新しい治療法

2009年08月28日 | 動脈瘤
一昨日、高山で行った治療について紹介します。
脳の巨大動脈瘤は治療が困難です。
そこで血管ごととめてバイパスする治療が行われます。
しかし切らずに何とかならないものでしょうか?

海外では非常に目の細かいステントが既に使われていて、パリの学会(LINNC)の時に紹介しました。
しかし日本ではそのようなステントはない!
そこで「ステントを何枚か重ねる」という手段をとりました。

図のように一枚のステントでは通り抜けてしまう血液も、ステントを何枚か重ねると通りにくくなります。
そうすれば徐々に血栓化して、動脈瘤は小さくなります。
圧迫のために出ていた症状も治る、ということです。

今回の治療でも動脈瘤は治療直後から血栓化をはじめていました!
患者さんの経過も良好です。
チャレンジが医学の進歩を生みます。
思い切ってこの治療を選択した林先生に敬意を表します。
新しい時代の幕開けです。
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高山赤十字病院

2009年08月27日 | 病院
高山赤十字病院に行ってきました。
巨大動脈瘤の患者さんに、新しい治療法を行うためです。
巨大動脈瘤の場合には通常のクリッピングや塞栓術は不可能です。
以前にこのブログでも紹介したように血管を止めて大きなバイパスをするのが最もいい治療とされていますが、患者さんは切らない治療を希望されたということで、ステントを用いた治療を行いました。また改めて詳しく解説します。
高山赤十字病院の林 克彦先生と一緒に治療しましたが、うまく行きましたよ!
患者さんが良くなられることを祈っています。

この病院には研修医の頃、半年間勤めたことがあるのでとても懐かしいのです。
今週末には、高山アソシアホテルで脳血管内治療に関する研究会があるので、また高山に行きます。
高山はいいところですよー!
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コメントについて

2009年08月25日 | くも膜下出血
以下のようなコメントを頂きました。
「私は去年の11月にくもまっかの手術をしました。動脈リュウは1.5センチあり左目の裏側でバイパスも2本とおってるそうです。麻痺もなく美容師の仕事にも復帰しました。が全て頭に持っていくのは良くないのでしょうが体の不調があると不安感に襲われます!!特別注意しなきゃならないことってありますか??」

うまく治療を受けられてよかったですね。大変腕の良い先生だったのだと思います。
クリッピング術後の動脈瘤の再発はそれほど多くありません。
ですが、再発がないわけではないので、MRIやCTが定期的に行われることが多いです。
また水頭症を合併している場合にも定期検査が必要です。
コイル治療が行われた場合には、動脈瘤の再開通の確率がやや多いため定期検査はきっちりと受けましょう。

脳動脈瘤の発生には,高血圧と喫煙が危険因子とされています。
この二つには特に気をつけましょう。
それ以外は?
別に普通でいいと思います。
「命が助かった!」と前向きに考えられてはどうでしょうか?





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ひまわり

2009年08月24日 | 閑話休題
今年は涼しかったですねー。
雨が多くて、本格的な暑さを感じないまま、夏が終わろうとしています。
天候の異常のせいなのか、このところ脳卒中の患者さんが非常に多く搬入されてきて驚いています。
こっちがフラフラです。
いつもなら夏は脳卒中が少なくて10月がピークなので、2ヶ月近く早いんです。
これも異常気象のせいですかねー?

そんなばたばたした毎日ですけど、今日、大学病院の近くにこんな綺麗なヒマワリが咲いているのを見つけました。
最近、早起きして朝一番に病院に行って一仕事してるんです。
ちょっと時間に余裕があったので1-2分で撮影してみました。
ケータイで撮った写真ですけど、こうして見ると結構いいかなと(^^)
どうですか?
右側に病院がちらっと見えていますよ!
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ますのすし

2009年08月23日 | グルメ
富山と言えば「鱒の寿し」ですよね。
笹の葉に包んであって、写真のように好きなサイズに切って食べます。
これもお店によって味が違うんですよね。
富山には時々行きますのでいくつか買ってかえって食べ比べをしたこともあります。

私のおすすめは写真の「高田屋」。富山大学の桑山先生もおすすめです。
富山駅にはおいていないですが、隣の高岡駅のステーションデパートにはあります。
ただ本当においしいので駅の売店は売り切れしまうこともあり、本店に行った方が確実かもしれません。
優しい味ですし、マスの味が違う。米もたまらなくいい感じです。しょうゆをつけずそのまま食べた方が本来の味が良く分かっておいしいです。
『株式会社 高田屋』
富山県富山市丸の内1丁目
TEL 076-432-4774
高岡ステーションデパート2F
TEL 0766-24-7062

富山駅や電車の中では「源」のすしが売られています。「源」はネットで取り寄せられるし、若い人は好きだと思います。地元の人も「源もだいぶおいしくなったよ。この間久しぶりに食べてびっくりした」と教えてくれました。
そこで勧められたのが「源」の「特選ますのすし」。「特選」はふつうのよりやっぱりおいしいです。
『ますのすし本舗 源』
http://www.minamoto.co.jp/

ますのすしも奥が深いようで、調べると色々なお店が出てきます。
『富山のおいしいます寿し教えてください!』
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/0221/120191.htm?g=09
初心者でも外さない『ますのすし選び』
http://www.toyama-shinsei.net/memonly/event/masuzusi.html

おすすめののお店があったら教えてくださいね。
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脳神経超音波検査士

2009年08月22日 | 学会/研究会
先日から紹介してきた超音波検査ですが、日本脳神経超音波学会が「脳神経超音波検査士」の第一回認定試験を行ったことを知りました。
これからは資格の時代。
脳血管の超音波検査を得意とする検査技師さんたちは、勉強してこういう資格を取られるといいかもしれません。
前回お話ししたように、エコー検査は「腕」が大切ですが、もちろん「よい腕」を手に入れるためには実技だけでなく知識も重要です。
興味のある方はホームページを見てくださいね。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jan/ninteikensashi.html

またガイドラインも既に発表されています。
www.jstage.jst.go.jp/browse/neurosonology/19/2/_contents/-char/ja/
テキストとしても使えるほどのすばらしい内容です。一度ご覧になってください。
自分も勉強しないと!
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脳梗塞の診断 超音波検査 その2

2009年08月20日 | 脳梗塞
超音波検査のもう一つの特徴は、その「動き」にあります。
他のCTやMRIなどの検査は、その時々の静止画像の集積であるのに比べて、エコーは「動画」なのです。
ですから、静止画像をみて荒く感じても、動画の方をみるとずいぶんイメージが違って、見たいものがはっきりと分かります。

この動画であるという利点は、その物質が堅いか柔らかいかという判断にもつながります。
例えば頚動脈の細い部分の動脈硬化(プラーク)が柔らかいと、動脈の拍動に合わせてやらかい部分のみが出っ張ったりへこんだりします。
この所見で柔らかい部分がどこにあってどの程度か推定できるのです。
はじめてその動画を見た時には感動しました。

もう一つの特徴、それは検査をする人の「腕」が影響するという点です。
他の検査法でも検査技師さんの腕はもちろん大切です。
しかしエコーはその技術の差がさらに明確に現れます。
たとえば慣れない技師さんとベテランの技師さんでは比較にならないほどの検査の精度の差が出ます。
新人さんでは検査ができないほどです。
これは施設間格差としても現れます。
例えば、国立循環器病センターや広南病院の超音波検査を拝見すると、その精度の高さ、再現性、種類の多さに感嘆してしまいます。
エコーは「腕」です。
ですからエコーの「腕」の良い医師や技師さんは大切なのです。
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脳梗塞の診断 超音波検査について

2009年08月19日 | 脳梗塞
超音波検査というのは、地味な検査です。
最近のMRIやCTでは3次元画像が立体的に描出され、コンピューター画面上でくるくると動きます。
それに比べ、超音波は主に白黒で、画像も雑な感じです。
でもとても重要な検査法なのです。
皆さんも、「おなかの中の赤ちゃんがみえる検査」といえばお分かりになるかもしれません。
おなかにペタペタとノリのようなものを塗ってやるあの検査です。
ベッドサイドや外来でできるいい検査なんですよ。

脳梗塞を起こした時にも、頚動脈がどんな状態にあるか、この超音波で検査します。
そうすると、頚動脈に狭窄があったり、血栓が見えることがあります。
血流はカラーで表示されますから、それが見えない時に血栓を疑います。

それにもまして重要なのは、心臓の超音波検査です。
これは私たちは心臓の専門家にお任せしています。脳血管専門の内科の先生が検査する病院もあります。
この検査だけで心臓の弁の状態がたちどころに分かるんです。
すごいですねー。

さらに心臓の中の血栓を見る方法もあります。
これは脳梗塞分類の3)心原性脳塞栓を確定診断するのに用いられます。
通常の胸に当てる方法(経胸壁エコー)では心臓内血栓の検出率は20-30%です。
しかし食道から行う超音波(経食道エコー)では検出率が80%以上に上昇します。
経食道エコーでは、細い管状の超音波を口から食道に送り込み、食道の内部から心臓に向けて超音波を発信して画像化するのです。
食道は心臓のすぐ裏側を通っているので、心臓の微細な構造をとらえることができます。
のどの局所麻酔が必要で、麻酔の効果が切れるまでに2~3時間かかりますが外来でできる検査です。

どうでしょうか、超音波の世界。
地味ですが、ベッドサイドで、体に優しい検査です。
しかも機器の進歩とともにどんどん情報量が増加しています。
これからはさらに超音波(エコー)の時代になると思いますよ!
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