脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

ペナンブラ初症例に遭遇!

2011年07月29日 | 脳梗塞
閉塞した脳血管を再開通させるカテーテルシステム。
第1号としてメルシーリトリーバーが昨年日本で承認されました。
次に承認されたのがペナンブラシステム。
以前にこのブログでも紹介しましたが、コイルのようなもので血栓を引っ掛けてくるメルシーと違い、その場所で吸引するのがペナンブラシステムです。
http://www.youtube.com/watch?v=lyfzNgrVOOk

今回、このデバイスに関するミーティング中、なんと適応症例が神戸市立中央病院に搬入され、国内初のペナンブラを用いた症例に遭遇しました!
結果は左中大脳動脈閉塞が見事に開通し、TICI 2B (50%以上の灌流)に改善しました。
欧米でも評判の良い054という太いカテーテルが最初から承認されたため、このペナンブラシステムは大変期待が持てそうです。
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BSNETランチョンセミナー

2011年07月24日 | 学会/研究会
昨日はランチョンセミナーでお話しさせて頂きました。
私たちが救急の先生と行っている急性期脳梗塞に対する血管内治療(Acute Stroke Intervention)について紹介致しました。
RESCUE-Japanの最初の取り組みとして行った全国アンケートの結果では、全体としては若干効果があるものの、内頚動脈閉塞症には無力であった血管内治療ですが、私たちの施設ではメルシーの導入後、再開通率が上昇してきています。
ペナンブラが近々導入されるのも明るい話題です。
今後が楽しみです。

そうそう、こういった治療に興味のある方や技術を習得したい方は、脳外科医にかぎらず内科、あるいは他科の先生でもぜひ連絡をください。
お待ちしています。
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BSNET

2011年07月23日 | 学会/研究会
BSNETに参加するため神戸に来ています。
この会は、もともと神戸で行われていたLCNET(脳血管内治療ライブカンファレンス)と名古屋脳血管内治療セミナー、デバイス&テクニックセミナー(大沼セミナー)が合併したものです。
ライブを中心に、さまざまな討論が行われるこの会は、脳血管内治療に必要な知識を整理するのにとても役に立ちます。
昨日も8例のライブが行われましたが、とても興味深いものでした。
本日はランチョンセミナーを担当することになっており、朝早くから準備をしています。
また、明日は共催セミナーが開かれ、最新の機器を中心とした発表があります。私の担当はCarotid Wall stentとHydrocoilです。
がんばります。
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内膜中膜複合体厚とは?

2011年07月19日 | 脳卒中
M&Yさんから「内膜中膜複合体厚とは?頸動脈の厚みと書いてありますが、血管壁の厚みの事ですか? 厚みが基準値よりあると動脈硬化に成りやすいのでしょうか?」とご質問を頂きました。
少し説明します。

エコー検査は調べるところにゼリーをつけ、プローベという部分をあてて行う超音波検査です。妊娠中におなかの赤ちゃんを診断する検査として良く知られています。基本的に体に害のない、無侵襲の検査です。
頚動脈の場合には、首のところを検査すると比較的簡単に観察することが出来ます。血管の内側に白い線がくっきりと見えますが、この白い線とそのとなりの黒い線を合わせて「内膜中膜複合体」と呼びます(上図)。動脈は3枚の膜からできていますが、この3枚のうち内側の2枚の膜が見えているわけです。

動脈硬化の進んだ血管の場合、この「内膜中膜複合体」が分厚くなることが分かっています。正常は1mm以下で、1.1mm以上になると異常であり、厚くなったところは「プラーク」と呼ばれます。
ですからこの内膜中膜複合体の厚み(IMT)は頸動脈エコー検査の重要な指標として知られています。
またこれまでの研究で、このIMTが全身の動脈硬化による病気と関連することも分かってきました。例えば上の図に示すように、IMTがわずか0.1mm増加すると、心筋梗塞のリスクが11%増加し、0.163mm増加すると脳卒中のリスクが1.41倍に増加することが報告されています。
外来でも施行可能な簡単な検査で、動脈硬化の程度とそれによるリスクが評価できるのです。
1998年からは健康保険の適用になったこともあり、急速に普及しました。現在では一般のクリニックでも行われるようになっています。

どうでしょうか?IMTのイメージはつかめたでしょうか?
よい質問を頂き、ありがとうございました。



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日本病院脳神経外科学会

2011年07月19日 | 学会/研究会
先週末、日本病院脳神経外科学会のランチョンセミナーでお話しさせて頂きました。
場所は愛媛で、日帰りでした。
市民公開講座もかなり多くの聴衆でにぎわっていましたよ。
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なでしこジャパン、優勝!

2011年07月18日 | 閑話休題
なでしこジャパン、なんと優勝してしまった。すごい!
何度見ても、感動です。
日本の女性はすごいですねー!
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岐阜頚動脈エコーハンズオンセミナー

2011年07月17日 | 学会/研究会
昨日、岐阜頚動脈エコーハンズオンセミナーを開催しました。
この会は、最近外来でよく行われるようになった頚動脈のエコー検査をみんなで勉強しよう!という趣旨で行っている会です。
頚動脈エコーが良く行われるようになった理由は、脳卒中の予防に注目が集まっていることもあるのですが、もう一つはこの検査で簡便に測定できる頚動脈の厚みが動脈硬化の指標として普及しはじめたからです。
医学的にはIMTと言われ、これは「Intima Media Thickness」の略で、日本語では『内膜中膜複合体厚』と言います。

開業医の先生方にも大変好評であった第一回を受け、今回はサノフィアベンティスさんがサポートしてくれましたが、参加希望が多すぎて制限をかけるほどでした。

今回の講師は熊本大学神経内科の平野照之先生と、熊本赤十字病院 神経内科の寺崎修司(てらさきただし)先生です。
お二人とは国立循環器病センターでレジデントであったころの先輩です。お二人は当時から活躍されており、尊敬しておりました。
現在は日本の脳卒中治療のリーダー格の先生方なので、ご講演いただいてとても光栄でした。会の後も楽しくおつきあいくださいました。
先生方のご厚情に心より御礼申し上げます。
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金沢での座談会

2011年07月17日 | 学会/研究会
一昨日、金沢でメディカルトリビューンの座談会がありました。
脳梗塞治療に関する座談会で、講演をする身での取材でしたが、北陸地区の先生方と意見交換が出来て、私自身が大変参考になりました。
急性期脳梗塞の治療においては、日本は独自の点滴薬があるため、施設によって治療に使用する薬の選択が様々です。
しかしそれぞれの施設での背景を考慮して薬剤選択がされていることがよく分かりました。
ただし、これら日本で使用できる薬剤については質の高いエビデンスがありません。いずれは科学的に証明されるべきではないかと思います。
写真は翌日朝早く、撮影した金沢の町並みです。
お招きいただいた桑山直也先生をはじめ、関係者の方々に御礼申し上げます。
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水うちわ

2011年07月11日 | 閑話休題
みなさん、水うちわってご存知ですか?
ここ岐阜で作られる伝統的なうちわで、雁皮紙(がんぴし)という非常に薄い和紙の上に、天然のニスが塗られており、透明感があって涼しげなうちわです。
水のように透明で繊細な外観であることや、船遊びの際に長良川の水につけて扇いだという説話から、水うちわと呼ばれるようになったようです。
かつては万国博覧会にも出展されたということですが、職人がこつこつと作るのみで、雁皮紙も手に入りにくかったため数も少なく、あまり脚光を浴びてきませんでした。
しかし最近、エコブームにのってこのうちわが注目されています。なんと言ってもきれいですしね。

明日、「徹子の部屋」でこの水うちわの唯一の専業職人さん(住井さん)が紹介されます。実はこの水うちわ、作成しているのは日本でわずか3カ所で、そのうちの2カ所の絵を描いているのは私の知り合いなのです。それを使って実際にうちわを作る職人さんが今回取材される住井さんです。
時間があったらぜひ見てください。(7月12日午後1:20~1:55 テレビ朝日)

ちなみにこの住井さんは本当に職人気質の方で、儲ける気がまるでなく、値段も安く、店頭でしか販売されないそうです。しかしこのうちわ作りの第一人者ですから、周りが諭してなんとか出演の了承を得たということです。ですから基本的に店頭販売のみだそうですが、下記HPから一応購入できるようです。ただし数に限りがあるようですが...
http://www.ccn.aitai.ne.jp/~gf-utiwa/



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札幌脳血管内手術手技研究会

2011年07月11日 | 学会/研究会
土曜日に札幌で講演をさせて頂きました。
演題名は「VRDを安全に使うには?」。
新たに日本で使用可能となった動脈瘤塞栓術におけるVRD(vascular remodellling device)。これまでのコイル塞栓術では治療できなかったネックの広い動脈瘤が治療可能となり全世界で大きな注目を浴びています。
ただし、このVRDと呼ばれるステントを併用して血管内治療を行うには、これまでの動脈瘤塞栓術とは違った注意点があります。今回は、テクニカルな面と全身管理の面から、私たちが行っている工夫について紹介しました。
血小板凝集能を測定することが一つのカギですが、こういった知識は普段の脳神経外科診療とは方向性が違うため、別に知識の習得が必要です。
「血液をさらさらにする」という言葉は良く聞きますし、一見単純なことですが、実は非常に奥が深いのです。今後も興味を持って取り組んで行きたいと思っています。

今回、講演にお招きいただいた函館新都市病院の原口浩一先生はじめ、関係者の方々に心より御礼申し上げます。
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