脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

母校での授業

2009年10月29日 | 学会/研究会
昨日、母校である県立岐阜高校で授業をしてきました。
「なぜあなたが高校で授業を!?」とお感じでしょうが、これは高校とPTAが企画した「卒業生から生徒へメッセージを送る」ためのセミナーなのです。
私は1年5組と6組に25分ずつ授業をしました。
他に招かれていた方は、パイロット、女子大学教授、会社経営者、税理士、女性の大手銀行支店長などなど多彩でした。
私の話をどの程度理解して興味を持ってもらえたのか分かりませんが、母校で授業できるなどとは夢にも思っていなかったので、とてもうれしく思いました。授業後には生徒の人たちに無理をお願いして記念撮影をしました。
保護者や地域の人も参加できるということでしたが、実際、多くの方に聞いて頂けました。
一生に一度だろうと思い気合いを入れたつもりでしたが、大丈夫だったのかどうか、ちょっと不安です。
彼らから後日届くという感想文が楽しみです。

また恩師の先生にも会うことができました。
なんと教育実習で教えてもらった先生(水谷先生)です。
非常に面白い先生だったので、強く印象に残っていましたが、本当に水谷先生かどうか確信が持てるまで少しかかりました。
こんなに楽しい経験をさせてもらい、関係者の方々に心から感謝申し上げたいと思います。
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VIVA 09に参加して その2

2009年10月25日 | 学会/研究会
VIVAでのもう一つの話題は脳梗塞急性期治療です。
どうやらアメリカではこの治療を行う医者が少ないらしく、それがテーマになっていました。
つまり、24時間7日間待機する態勢でいても運ばれてきて実際血管内治療になる患者はせいぜい1施設で週に一人か二人ぐらい。そんな大変な思いをしてその程度の症例数では誰もやろうとしない、ということらしいのです。
アメリカや諸外国では「患者さんの治療数や高額な治療数に応じて医者の収入が増える」というシステムが多いようです。
そうして考えると確かに「労多くして功少なし」ということになってしまうのでしょう。
米国の神経放射線科医は250人ぐらい。脳の血管内治療は彼らだけがやっています。だからそれでは人口が日本の3倍近い米国の脳卒中患者には到底足りない。
「循環器内科医の俺たちが参入すれば事態は好転するぞ!」というのが内科医側の主張です。
それに対して脳外科医はシブい発言でした。確かに、脳という臓器に不慣れな循環器内科医だけで治療したら結果が良くないでしょう。ステントを頭蓋内には留置できてもそもそもの適応や何か起きた時の判断ができない可能性があります。
以上を考えると、多領域の専門家からなる脳卒中チームを作ることがやはり必要なんだと思います。
さて今回の学会で一人、光り輝く素晴らしい脳外科医がいました。バッファローのHopkins教授です。Hopkins教授は脳外科医でありながら血管内手術も行う数少ない米国脳外科医の一人です。彼が紹介したのは急性期脳梗塞のステント治療でした(上図)。他のデバイスに比べ治療時間が短く再開通率が高いため現在最も注目されている治療のようです。また他の治療で再開通しなくてもこの方法で救済が可能です。
短い期間でしたが、日本より一歩先を行っているアメリカから「光と影」を学んだ今回の学会参加でした。
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VIVA 09に参加して

2009年10月24日 | 学会/研究会
 VIVA09に参加して感じたことを書きます。少し専門的になります。
 VIVAでは頚動脈ステント留置術のライブデモンストレーションが数多くありましたが、さすがにこの学会でライブをやるだけあって、Dr. RoubinやDr. Anselは一流術者だなと感じました。二人とも超有名な大御所ですから普段から全例この治療に関わっているかどうかは分かりませんが、少なくとも現在でも治療に多く関わっていることは手の動きのスムーズさからも十分伺えました。
 日本でもそうなのですが、やはり経験の多い人はムダがない。手の動きも確かに速いのですが、それよりも判断の早さと、無駄な時間がないことが全体によどみのない治療につながっているのだと思いました。
 こういった術者の治療を見ているのは実に気持ちがいい。リズムがいいと言ったらいいのでしょうか。午前中の最後や午後には2番手以降の術者がデモを行いましたが、驚くほどの技量の差でした。やはりもともと磨き上げた技術があって、その後も常に手術に関わり続けることが一流術者たる所以なのだと思い知りました。現場に出続けることでしかえられない感覚的なものは非常に大切で、それによってこそ、治療の改良の発想などにもつながるわけですからね。
 今回の学会で自分が得た重要な教訓の一つは、有名になっても病院の会議室にこもることなく、現場に出続けること、その大切さでした。
 さてUSにおけるCASの現状と今後の方向性ですが、一言で言えば、デバイスをFDAが多く認めているにもかかわらず、保険の縛りの厳しさから未だにハイリスク症例の、しかも症候性病変しか治療できずに現場がいらだっているということです。10万件もCEAが行われている国で、まだ3600件のCASしか行われていない。血管外科の圧力がかかっているのでしょうか?まあ、それもあるでしょうが、客観的に見ればやはりCASがCEAと同等と言えるのはSAPPHIREが示したCEAハイリスク患者のみですしね(そのうちの症候性病変しか認めていないのは、エビデンスに忠実なアメリカで意外な感じですが…)。
 とにかく今後CASの有効性を示す科学的根拠が示されなければ、ことUSにおいてはCASがメインストリームとなる道のりはまだ遠い、という印象を受けました。
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サンフランシスコのおいしいレストラン

2009年10月24日 | グルメ
そういえばサンフランシスコで泊まったホテルの近くにとびきり美味しいレストランがありました。
ユニオンスクエアのすぐ近くのFARALLONというシーフードのお店です。
だいぶ有名なようで、日本人はあまりいませんでしたが、地元の人たちが並んで待っていました。
店の中はクラゲの形をしたライトとかでかなり凝っていて(右上)、とてもいい雰囲気です。
私はホタテを頼みましたがとても美味しかったです。
アメリカにもこんな美味しいレストランがあるんですね。
他にもマグロのカルパッチョとかサーモンのタルタルソースがけが美味しいということです。
人気があるので予約がいると思いますけど、その価値は十分ありますよ!

415-956-6969
450 Post St, San Francisco
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VIVA

2009年10月22日 | 学会/研究会
今、VIVAという学会参加のためラスベガスに来ています。
VIVAというのはVascular InterVentional Advancesの略で、米国の血管病治療に関する教育的な会です。
日本の脳血管治療はとてもレバルが高いのですが、こちらに来てみると、末梢血管を含め、その治療器具の多さに驚かされます。
日本も器材の認可がだいぶ早くなりましたが、やはりアメリカと比べると何分の一というレベルなのだと再認識しました。
そんな状況でも日本のドクター達は頑張っていますね。
上の写真の下段右2つは日本にはない器材です。
EmboshieldというCASに使うフィルターと、止血のためのAngiosealの最新型です。
どんどん進化しているんですねー。





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CEA高危険群について

2009年10月20日 | 脳梗塞
それでは頚動脈が60%以上細かったら全例手術をした方がいいのでしょうか?
答えは「No」です。
CEAは全身麻酔で行う手術ですから、手術を行うのが危険な患者さんが当然いるわけです。

ある治療が有効かどうかを試すのに、ランダムに振り分ける試験を行うことは以前にお話ししました。
しかしたとえば片方のグループに合併症の多い患者さんが大勢いたらどうなるでしょうか?
試験の結果に重大な影響をもたらします。
そこでこういった試験では、治療の有効性ができるだけ分かりやすいように、言い換えれば、治療の影響だけを純粋に比較できるように患者さんを選んで登録します。
ですから、どのような研究でも「適格基準」と「除外基準」というものがあり、患者さんを厳密に選んで登録するようになっているのです。

つまり、ある試験結果が出た場合、この基準に従って患者さんが「適格」なのか「除外基準」に入るのかをまず考えなくてはいけません。
そして「除外基準」に当てはまる患者さんは、「治療が有効かどうか調べられていないので、有効かどうかも分からない」というのが正しい見解なのです。
しかし実際の臨床ではここのところが往々にして飛ばされてしまい、「60%以上細いから手術適応!」となってしまいます。
よくある「試験結果の拡大解釈」です。

たとえば、CEAの危険な患者さん(上の表)は当然のことながらCEAを行うと治療成績が悪くなります。
ということは「CEAの有効性がない」ということになりかねないわけです。

それではこういった患者さんをどうすればいいのでしょうか?
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内服薬と内膜はくり術はどっちがいいのか? その2

2009年10月17日 | 脳梗塞
「内服薬と内膜はくり術はどっちがいいのか?」
脳梗塞の既往がある場合のことは分かりました。
手術した方がいいということです。
それでは「検査で偶然見つかった人」はどうなんでしょうか?

実はこのような患者さんが最近急速に増えているのです。
それはMRIが普及したことと、動脈硬化の指標として最近「頚動脈エコー」が盛んに行われるようになったことが原因だと思います。
皆さんの近くのクリニックでもこの頚動脈エコーを行うところが増えていると思います。

このように偶然見つかった場合には、まず「どの程度の脳梗塞の危険があるか」ということが重要です。
上の図を見てください。これは無症状で診断された頚動脈狭窄症で高度狭窄(60%以上)の患者さんに、内服薬と内膜はくり術(CEA)を行ってどちらが良かったかを調べた研究です。
この結果、「無症状でもCEAを行った方が良い」ことが分かりました。

この結果を忠実に受け止めて実践すれば、相当多くの人が手術を受けなければならないことになります。
とにかく検査をうけて60%以上の狭窄なら全ての人が手術になる。
非常に分かりやすい話です。
でも本当にそれでいいのでしょうか?
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内服薬と内膜はくり術はどっちがいいのか?

2009年10月15日 | 脳梗塞
前回の最後にお話しした「内服薬と内膜はくり術はどっちがいいのか?」の答えです。
これは
1)脳梗塞をおこしたかどうか?
2)狭窄の程度
の2つに依存します。

まず「脳梗塞を起こしたことがあって、さらに狭窄の程度が強い場合」を考えてみます。
このような患者さんを「内服薬群」と「手術群」に振り分けてどちらが良かったかを調べた研究があります。
上の図のNASCET研究(ナセット研究)が最も有名です。

この研究の結果、「手術した方が、内服薬だけで治療するよりもずっと良い」ということが分かりました。
これと同じような研究が他にもあり、やはり手術の方が良いという結果でした。
ですからそれらを総合すると
「脳梗塞を起こしたことがあって、50%以上の狭窄がある場合は手術をした方が良い!」
と言えます。

まあ、考える限り、もっとも重症ですもんね。
ちなみに内服薬だけだと上の表を見ると「2年間で26%」も脳梗塞を再発します。
年間13%!アスピリンなどを飲んでも脳梗塞が再発してしまうのです!



では脳梗塞を起こしたことがない人はどうなんでしょうか?
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パイナップルケーキ

2009年10月14日 | グルメ
台湾出張で紹介し忘れたお店がありました。
パイナップルケーキがおいしいお店です。
皆さん、いろいろとお好きなお店があると思いますが、私が台湾在住の方から勧められたのは写真の「新純香」というお店です。
本来ここはお茶のお店で、日本語で丁寧に説明してもらえるということで、そちらでも有名だそうです。
私は今回、帰国間際にここに寄り、お茶の入れかたを説明してもらいました。お茶も美味しかったです。
パイナップルケーキは帰国後に食べましたが、甘さ控えめで美味しいです!

新純香茶業有限公司
台北市中山北路1段105巷13-1號1樓
TEL: +886-2-2543-2932
FAX: +886-2-2564-2272
E-mail: taiwantea@seed.net.tw
http://taiwangoodtea.com.tw
(home pageは中国語ですが、お店には日本語の説明書もあります)

みなさん、おすすめのお店があったら教えてくださいね。
すっかり台湾びいきになった、今回の学会出張でした。
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頚動脈内膜はくり術:CEA

2009年10月09日 | 脳梗塞
以前説明したように頚動脈狭窄症の外科的治療法として最も代表的なCEA。
実際の手術を一度ご覧になってください。

http://www.e-oishasan.net/site/yoshimura/disease02.html#dis02_movie01

このように分厚くなった動脈硬化の膜自体を取り出してしまうのが、この手術の特徴です。
ですから、上の図のように柔らかい動脈硬化であろうが、下の図のようにカチカチの動脈硬化であろうが、関係なく治療が可能です。
というと、「万能な手術」のように思えてきます。

しかし欠点もあります。
1)全身麻酔が必要
2)頚部の切開が必要(傷跡が残る)
3)頚部の神経が傷つくことがある(舌の動きやのどの動きが悪くなることがある)
4)血管の狭窄が高いところにあると手術ができない
5)術後に急性閉塞が起こりうる
などです。

一方、血管が細い時に「血液さらさら」にするクスリもあります。
どちらがいいのでしょうか?

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