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脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

日本脳神経外科救急学会に参加して

2009年01月25日 | 学会/研究会
1月17日にラフレさいたま(さいたま市)で開催された第14回日本脳神経外科救急学会に参加し、ランチョンセミナーで講演をしてきました。
講演名は「重症くも膜下出血におけるICPモニタリングの有用性」です。
めずらしくモニタリングという慣れないテーマのため緊張しましたが、実際の使用法や注意点についてやさしく解説しました。

くも膜下出血の中でも重症例では、動脈瘤治療後の頭蓋内圧管理が非常に重要です。
頭蓋骨というのは限られたスペースなので、出血などによる圧上昇があるレベルをこえると代償できなくなります。
そうすると意識レベルが低下し、脳が圧迫されて変形して「脳ヘルニア」という状態になります。
こうなるともう救命できません。
ですから限界に達する前に、頭の圧力を下げる治療をしなくてはならないのです。

この頭蓋内圧の管理ですが、従来から頭の中の圧力(頭蓋内圧)を測るセンサーが使われてきました。
市販されているいくつかのセンサーの中で、我々は細くて数値が安定しているコドマン社の頭蓋内圧センサーを使ってきました。
頭蓋内圧は頭部外傷ではよくモニターされ、日本神経外傷学会のガイドラインにもその基準が明確に記載されています。
私たちもこのガイドラインに従って頭部外傷を治療していますが、「重症の脳血管障害にも使えるのではないか?」と考え、使い始めました。
これが非常にいい。
患者さんが重症で全身麻酔管理をしていても、ベッドサイドのモニターに頭蓋内圧がリアルタイムで表示されるので、その数値をもとに緻密な管理ができるのです。
私たちは重症くも膜下出血の患者さんにこのモニターを使うことで非常に良い治療結果を得ていたため、今回ランチョンセミナーを依頼されたのです。最重症のグレード5でも歩いて退院できた人が何人もいるのです。その結果には、かなり自信を持って発表しました。

ただ電気がついてみると驚きです。この学会、それほど大きくはなくランチョンセミナーの出席もそう多くないだろうと踏んでいました。
しかし今回は脳卒中の初期診療に関する講習が行われたこともあり、脳外科の重鎮の先生方が大勢参加されていて、しかもランチョンセミナーが一カ所しかなかったため、多くの有名な先生方に私の稚拙な講演をお聞かせすることになってしまっていたのです。偉い先生たちに入門者向けのお話をしてしまいました。
もっと準備しておけば良かったかな(^^;)。(汗)

ところで、私たちは「頭蓋骨」を「ずがいこつ」と読みますが、関東では「とうがいこつ」と呼ぶそうです。
ですから「ずがいないあつ」ではなく、「とうがいないあつ」と言うそうです。
こんなことも地域の違いですね。
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脳梗塞の診断 MRアンギオについて

2009年01月24日 | 脳梗塞
みなさん、こんにちは!
前回の続きです(^^)
MRIで血管を見る方法についてです。

何のことはありません。MRIを取る時に「血管まで調べてください」といえばいいのです。
そうすれば上のような写真が撮れます。
これだけで脳の血管の太い部分は見えてしまいます。
上の症例は軽度の麻痺で運ばれてきた患者さんの写真ですが、右の脳の太い血管が詰まっていることが一目で分かります。
中大脳動脈という血管です。
こういった血管の情報は他の検査法では造影剤という薬を点滴したり直接血管に注入しないと得られません。
ですから脳の血管を調べる検査法の中で最も低侵襲な方法と言えます。

前回のMRI拡散強調画像とあわせて行えば、脳梗塞の原因を短時間で一気に検査することができます。
すごい時代になりましたね。
このMRI、どんどん進歩していて、画質が年々向上しています。
古いMRIと新しいMRIでは画質や検査法の種類がずいぶん違います。
ですから余裕のある場合には新しいMRIで検査を受けてくださいね。
古い機種で見つからなかった病変が、新しい機種で見つかることさえありますからね(><)

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脳梗塞の診断 MRI拡散強調画像について

2009年01月21日 | 脳梗塞
MRI拡散強調画像について

お久しぶりです。今回はMRIについてのお話です。

脳梗塞の早い段階での診断ではMRIが最も有効であることをお話ししました。
MRIにもいろいろな撮像法がありますが、急性期の脳梗塞を映し出す方法は「拡散強調画像:diffusion weighted image (DWI)」というものです。
われわれは最初の一文字をとって、通常「ディヒュージョン」と呼んでいます。
この撮影を行うと上の図のように極めてはっきりと脳梗塞の部分が映し出されます。
前回CTでの初期虚血変化についてお示ししましたが、それよりもはっきりと映し出されていることが分かるはずです。
ですから「脳梗塞を疑ったらすぐにMRI」というのが最も良い手順です。

しかしこのMRI、最近はどこの病院も予約がいっぱいで混み合っています。
また夜間に稼働できない施設もあります。
全ての病院で24時間MRIができるといいんですねけどね。
最近は救急隊の人たちもよく勉強されていて、脳梗塞の急性期治療ができる病院に患者さんを搬送してもらえます。
だんだんシステムが良くなっているんですね!

そうそうMRIでは血管も見ることができるんですよ!造影剤などを使わずに。
次回はMRIで血管を見る方法について説明します。

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あけましておめでとうございます。

2009年01月01日 | 閑話休題
新年あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。

昨年1月に始めたこのブログも、そろそろ1年が経とうとしています。
本論は脳動脈瘤、くも膜下出血と脳梗塞がまだ一部というところですが、今年も順番に書いて行きますよ!
ご意見があれば、遠慮なくお寄せくださいね。
stroke_buster@mail.goo.ne.jp



コメント (1)
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