脳卒中をやっつけろ!

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脳動脈瘤 その49 脳血管内治療:その19 フローダイバーター FRED

2022年07月22日 | 動脈瘤

さて、今回は新しいフローダイバーターFREDについて紹介したいと思います。

FREDはテルモの子会社である米国のMicrovention社が製造し、それをテルモ社が販売しています。

この新しいフローダイバーターには特徴があり、荒いメッシュと細かいメッシュの2種類が組み合わされています。(図参照)

なぜこんな構造になっているのでしょうか?

 

それには理由があります。

荒いメッシュがステント自体を強く開かせる力があり、細かいメッシュが血流を確実に変える、ということなのです。

これによって、術者は容易にFREDを留置できますし、動脈瘤は理論上、より確実に血栓化・縮小することになります。

実際の使用感としてもFREDの留置は容易です。特別なテクニックを用いなくても確実に展開され、血管壁に密着します。

私たちの施設ではすでに100名以上の患者さんにFREDを用いましたが、留置が困難であったケースはごくわずかです。

次回はその治療適応、治療結果について紹介します。

 

 

 

 

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脳動脈瘤 その48 脳血管内治療:その18 フローダイバーター Pipelineの表面加工(Shield technique)

2022年07月13日 | 動脈瘤

さて今回は代表的なフローダイバーターであるPipelineの進歩についてお話ししようと思います。

この機器は初めて日本に導入されたフローダイバーターで、その後、2度のバージョンアップがなされています。

特に最新バージョンではステントの表面に加工がなされており、Shiled加工と呼ばれています。

 

これにより操作性がスムーズとなったばかりか、ステント表面に血栓がつきにくくなっています。

上段3つの画像は表面可能のないPipeline Flexで、下段3つがPipeline Shiledです。

違いがわかりますでしょうか。 下段の方が金属がはっきり見えます。

つまり、金属の表面にポリマー加工がなされたことで、ステントの表面に血液成分が付着しにくくなっているのです。

 

では、この加工によって実際の治療はどうなるのか?

以下の2つが考えられます。

1)フローダイバーター留置中の合併症が減少する

2)留置後の血栓性合併症が減少する

 

1)については実際に留置していて実感します。それまでではマイクロカテーテル内で抵抗があって誘導に強い力が必要なケースがありましたが、そのようなことが減りました。また、展開が難しいケースも減ったように感じます。

2)については少数例の経験が論文として報告されており、血栓性合併症が減少したとされています。

今回のShield加工が実際の臨床でどこまでの効果を示すかについてはまだ未知数です。

しかしこのような加工が進めば、血栓ができにくくなり、いずれは内服薬も早期に減量できるようになるかもしれません。

徐々に進化するPipeline。今後も注目していきたいと思います。

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米国への出張:必要な書類などについて

2022年07月06日 | 閑話休題
出国、帰国時に必要な書類についてまとめたサイトがANAのホームページにありました。
まずはここから確認されるといいと思います。

https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/coronavirus-travel-information/immigration/departure/#subtitle_02

ただし、結構複雑です。
そこで、まとめてみます。

出国時
1)ワクチン接種証明書
   紙またはアプリ
2)個人誓約書(ダウンロード
3)米国CDCへの情報提供(ダウンロード)(注:英語の書類です。署名するだけですが...)

入国時
1)出国前72時間以内のPCR検査証明書
2)個人誓約書
3)ワクチン接種証明書等の書類
以上を健康居所確認アプリ(MySOS) に入力しておいて青色になって入ればファストトラックを利用できます。
アプリが青色になっていないとファストトラックには進めませんが、書類自体が手元にあればそれを見せれば良いようです。

あと、米国内のConnecting flightに搭乗する際にカウンターでQRコードを求められました。
カウンターにあるパネルの画面で示されるURLにアクセスして提示しましたが、My SOSで質問表、誓約書を入力しても出るようです。

あと先の記事でも記載しましたが、ESTAも以前より時間がかかることがありますのでご注意を!

以上、まとめてみても複雑ですね〜。
国の対応も刻々と変わりますので、実際に渡米される場合にはこの情報と変わっているかもしれません。
ぜひご自身でもしっかりと確認してください。
最近、渡米された人か、こういった書類のサポートをする企業に依頼した方が確実かもしれません。

今回は自分の備忘録もかねてまとめてみました。皆さんのご参考となれば幸いです。
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