＝カレー蕎麦篇

[あらすじ] まずいカレーなんて無いと思っていた。
うまい立ち食い蕎麦なんて無いと思っていた。

カレーが好き。
蕎麦が好き。
でも、カレー蕎麦は好きじゃない。
けしからん！

カレーライスという組み合わせでこそ好きで、
蕎麦は猪口や丼から一気にすするのがうまいと思っている。
カレー蕎麦というヤツは、
蕎麦の蕎麦らしい香りや食感が損なわれているし、
一気にすすりゃあカレー汁がそこいらに飛んで困ったことになる。
けしからん！

つまりは、カレーが好き、ということのもうひとつ基礎に、
ご飯が好き、ということがあるのだ。
米の消費が減ってパン食が増えたと言って既に久しい。
子どもの頃はウチも朝食はパン食だった。
忙しい朝には、ご飯を炊くよりも食パンを個々にトーストするのが
簡単だからだろう。
この頃では、ご飯を炊くのは面倒、という言葉すら耳に入る。
けしからん！

ちょうど２年ほど前、ダイエットをした。
ダイエットなんてこともことばも嫌いだが、本当に
ダイエットをした。
食事の内容を変えて、10kgほど体重を減らした。
炭水化物を減らした。
私はもともと一日二食だが、
昼は蕎麦にして、夜は主食無しにした。
ご飯好きだったのに、米の飯を食う機会が無くなってしまった。
これはしたり！

カレーが好きだがそれはカレーライスであってこそ、なので
ご飯を食べなくなると、カレーも食べられなくなる。
これはしたり！

外食でご飯を楽しむようになった。
外で軽く昼食を食べる時など、カレーライスを選ぶ。
私は、ぱりっと炊いた飯が好きだ。
外食の飯の炊き方はやわらか過ぎて、残念に思うことが多い。
けれど、そこをあまり気にせず食べるようになった。
妥協。

そして食事変革から２年。
ついに、カレー蕎麦を食べるようになった。
冬場はあたたかい蕎麦を作るのだが、そのつゆに
カレーフレークを溶くのだ。
妥協。

好きなカレーであり且つ好きな蕎麦である、カレー蕎麦、
なんて素晴らしい！
とは、やっぱり思えない。
なんだか釈然としない。
何が不満なのだろうか。
食べて追究してみよう。