犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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家に帰ってからも遠足です

2018年07月04日 | LGB&T

[あおもり] 6月24日は青森レインボーパレードを飼い犬ジーロくんと歩いたよ。

パレードの前、私は青森駅前銀座の中に在る、今は休業中のコミュニティ・カフェ
Osora ni Niji wo Kake Mashitaにいた。
今回から導入する音響を乗せるリヤカーの準備をするスタッフ、
着替えをする県外から来た参加者など、人が出入りする。

共同代表の一人、宇佐美翔子は遅れてやって来た。
闘病中、体調が良くない。しかし、現場に来たら動く。

私はそんな中、自分勝手にカウンター奥の席に陣取り、
電源をもらってPCを復活させ、毎日のブログを書いていた。
いろんな人が現れて、それぞれのやりたいことやすべきことをしては、
入れ替わっていく。

宇佐美が動いた。
コの字型のカウンターの向こう側の奥には、
レズビアンコミュニティで勉強会などを催す「パフスクール」の方がいる。
「なんで泣いてるのー翔子ちゃん」
参加者一人ひとりに挨拶を始めたようだ。
やだやだ、泣かせるよ。あーあ、こっち回って来ちゃったよ。

「勇気出して来てる参加者もいるから、守ってあげて」
おうよ。

青森レインボーパレードの大事な特徴の一つとして言えるのは、
列の後半が撮影禁止ゾーンとして設定されていたことだ。
メディアに自分の顔や姿が写るのは困る、という人も、
パレードを歩くことができる。

パレードを歩くこと=カムアウトすること、ではない。
クローズドで生活し続けることは、四六時中、抑圧を負うことだ。
パレードを歩くのは、その荷をいっとき少し降ろすことになる。
身も心も軽く、背筋が伸びる。
という反応にすぐなれるわけでもない。
戸惑いは有る。

事実、昨年までのパレードでは、
立てた親指を下に向ける仕草をしてくる人がいたり、
子どもの目をそむけさせる親がいたり、
沿道からそういった冷たい反応も有ったということだ。

パレードを歩く、自分の立場を明らかにするということは、
そういったあからさまな差別に自分を曝すことにもなる。
すごく勇気が要る。

今思えば、犬を理由に隊列から外れて、
後ろの撮影禁止ゾーンの様子を見に行っても良かった、と思う。
少なくとも、犬好きな人には役に立てたかもしれない。



大事な用に出かける時というのは、踏ん張りが要る。
着る服を選ぶとか、遅刻しないようにしなきゃとか、場所は間違い無いかとか、
気に掛ける事柄は多い。

あれこれ気にするうちに、しんどくなる。
緊張もして、眠れなかったりする。
寝不足で当日さらにしんどかったりする。
こうなってくると、出かけたくなくなってきたりする。

実際、私も今回、青森へ出発する前、そうなっていた。
老母に説明し、ケアマネージャーさんと連絡を取り、ショートステイの手配をし、
宅食の配達中止や、デイサービスや定期巡回や訪問看護のお休みの連絡をし。
準備と日常生活の疲れで、正直言って、母がショートステイに入ったなら
数日間は自宅で一人でのんびり過ごしたい、という気分になった。
ここでまた老犬に配慮して車の準備をして、たくさんの荷物をまとめて、
留守番を友だちに頼んで、という事も負担。
行った先ではたくさんのセクシュアルマイノリティに会う。
初めましての人に会うのは気構えが要るし、
自分だって誰かを傷つけるようなことを言いかねないという心配も有る。

出かけたくないよー、というくらいの気持ちになっていた。

勇気をふるって参加した人たちも、似たような気分を抱えていただろうと想像する。



大きなイベントってそういうところがあるよな。と、
グズグズ言いながらダラダラと荷物を車に積み込む。
だから出発が遅れて、高速道路に乗るのが4時前ギリギリになったりもする。

走り出してしまえば、気分は変わる。
疲れも感じずに走り、インターを降り、道の駅で車を降りてみて、
身体が軽いのに気付く。
腰なんか全然痛くない。
あはは。解放されている。



体の動きが重そうに見えた共同代表宇佐美も、
着替えて、メイクして、かつらをかぶり、ブーツを履いたら、
背筋が伸び、声に張りが出た。
女王のいでたちである。

思わず、下僕体質のジーロくんのリードを預けて、一枚。



帰った後の虚脱感も有る。
共同代表宇佐美も言う。「パレードって気分上がるけど、その分、
帰った後に落ち込んだりもするから、そこもフォローしてあげないと。」
地元のパレードであり、代表者は電話相談の活動もしてきただけに、
配慮が有る。

子どもの頃、親戚の家でいとこたちと遊び、じじばばにちやほやされ、
核家族の家に帰ってなんとも言えない感情に包まれて泣いちゃった、
なんて経験の有る人もいると思う。(私はそういう経験無いのだけど)
部活の合宿から帰って、なんだかイライラしてみたりとか。

1時間のパレードの誇らしさから、抑圧的な日常に戻る。
私は私のままでここにいる!という当然の権利を取り戻したパレードから、
やっぱり叩きつけられる現実。
このギャップが、どんどん小さくなるといい。社会は変わる。

変わらぬ現実に戻ったように見えて落ち込むかもしれないけれど、
外に出て歩いた、その足跡は必ずのこっている。



各地でデモを撮影し続けるカメラマン秋山理央さんの撮ったパレードの様子が、
you tubeで見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=kKeLW1SA3s0

見れば、いつでも気持ちを立て直すことができるだろう。



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