[あらすじ] 冷蔵庫が古いよ。
冷蔵庫を空っぽにしてみると、製造年を記したシールが見えた。
'95年製だとさ。
24年間、ご苦労様。
特に最後の数年間は「ううううう、ガタコーン」と一日に何度も訴えていた。
無視して老体に鞭打って使っていた。
今年はもう自動製氷なんかしなかった。
それでも昨年か一昨年までは、《急速冷凍》というボタンを押すと、
一回はなんとか氷を吐き出していた。
しかし今年の夏はちょっとも製氷しなかった。
※
据えっぱなしの冷蔵庫の後ろの壁が気になる。
どんな恐ろしいことになっているのか。
Gキブリの墓場になっているのではないか。
昨年の春に、母が老健に2ヶ月入所した際、
台所の床のワックスを丹念に掛け直した。
それも何年ぶりだったのだろう。
水や湯などがこぼれがちな箇所は、ハゲっちょろけてしまっていて、
上からワックスを掛けても格好が付かなかった。
今度やるときはちゃんとやすりを掛けて着色してからワックス掛けする、か。
その時も、冷蔵庫の下が気になった。
しかし、動かしてみようとは思わなかった。
今思えば、あの時に冷蔵庫の買い替えもいっぺんにやっちまえば良かったのだ。
※
冷凍室の物は近所の友人Mの所に持って行って、預かってもらうことにした。
そもそも冷蔵庫の中身に生鮮品はほとんど無くなっているので、
空っぽにするのはあまりたいへんな作業ではなかった。
きっと昨年はまだ冷蔵庫の中身が充実していたので、
買い替えに思い至らなかったのだろう。
空っぽにして、二人で動かしてみると、案外簡単に動いた。
動かしやすいように作ってあるものなのだろう。
※
冷蔵庫の下の床が、ひどい。
わたぼこりと煤と湿気とたまに流れてくるこぼした何かが混ざって、
こびり付いたりふわふわしたり、黒かったり灰色だったり。
かき集めたり掃除機で吸ったりした後に、
セスキをスプレーして拭き取ることを繰り返したら、
床らしい色になった。
奥のほうは、冷蔵庫の排熱のせいで床板が乾燥し、
板と板の間にずいぶん隙間ができていた。
板仕方無い。
※
壁も煤だらけだ。
セスキをスプレーすると、濁った汁が垂れる。
こいつは、垂らしておいてはいけない。
すぐに拭き取らないと、今度はこの汁が壁に汚れとしてこびり付いてしまい、
今度はなかなか落ちないものになる。
と、分かっちゃいるが、追いつかない。
あんまり汚れているので、拭くのが間に合わない。
およそ、こうなることは分かっていた。
だから、冷蔵庫設置の前日の朝のうちに古い冷蔵庫を動かしたのだ。
壁はペンキを塗り替えることにした。
※
冷蔵庫の裏の壁のペンキは、なんだか適当なところまで塗り直されて、
半分のところで色が違ってしまっていた。
ふん、
こんなひどい状態だって、
冷蔵庫が置いてあったから見えなかったし気付かなかったんだ。
汚れ隠しに適当に塗ればいいや。
去年、風呂場の壁と天井を塗ったペンキの残りが有ったはずだ。
有った。
少し薄めて、ぐいぐい塗り始める。
が、弾かれてしまう。
しまった。
元に塗ってあったペンキが油性だったのか。
しかし、今ここで油性のペンキを塗る気にはなれない。
窓を開けて換気する気にもなれないほどの猛暑だ。
こんなことならペンキを薄めるんじゃなかったな。
濃いめだったら弾かれにくかっただろう。
一度塗りでサッサと終わらせるつもりだったが、
弾かれるとなると、重ね塗りが必要だ。
※
結局、3度くらい塗り重ねた。
冷蔵庫の後ろの壁面の、冷蔵庫を置いても見える範囲を丁寧に塗り、
中央は最後に余ったペンキで適当に塗った。
途中、
「24年前に壁に埋め込まれた死骸の怨霊が滲み出ている」
みたいなことになった。コワ
ちょっとうつむいてないか?
冷蔵庫を空っぽにしてみると、製造年を記したシールが見えた。
'95年製だとさ。
24年間、ご苦労様。
特に最後の数年間は「ううううう、ガタコーン」と一日に何度も訴えていた。
無視して老体に鞭打って使っていた。
今年はもう自動製氷なんかしなかった。
それでも昨年か一昨年までは、《急速冷凍》というボタンを押すと、
一回はなんとか氷を吐き出していた。
しかし今年の夏はちょっとも製氷しなかった。
※
据えっぱなしの冷蔵庫の後ろの壁が気になる。
どんな恐ろしいことになっているのか。
Gキブリの墓場になっているのではないか。
昨年の春に、母が老健に2ヶ月入所した際、
台所の床のワックスを丹念に掛け直した。
それも何年ぶりだったのだろう。
水や湯などがこぼれがちな箇所は、ハゲっちょろけてしまっていて、
上からワックスを掛けても格好が付かなかった。
今度やるときはちゃんとやすりを掛けて着色してからワックス掛けする、か。
その時も、冷蔵庫の下が気になった。
しかし、動かしてみようとは思わなかった。
今思えば、あの時に冷蔵庫の買い替えもいっぺんにやっちまえば良かったのだ。
※
冷凍室の物は近所の友人Mの所に持って行って、預かってもらうことにした。
そもそも冷蔵庫の中身に生鮮品はほとんど無くなっているので、
空っぽにするのはあまりたいへんな作業ではなかった。
きっと昨年はまだ冷蔵庫の中身が充実していたので、
買い替えに思い至らなかったのだろう。
空っぽにして、二人で動かしてみると、案外簡単に動いた。
動かしやすいように作ってあるものなのだろう。
※
冷蔵庫の下の床が、ひどい。
わたぼこりと煤と湿気とたまに流れてくるこぼした何かが混ざって、
こびり付いたりふわふわしたり、黒かったり灰色だったり。
かき集めたり掃除機で吸ったりした後に、
セスキをスプレーして拭き取ることを繰り返したら、
床らしい色になった。
奥のほうは、冷蔵庫の排熱のせいで床板が乾燥し、
板と板の間にずいぶん隙間ができていた。
板仕方無い。
※
壁も煤だらけだ。
セスキをスプレーすると、濁った汁が垂れる。
こいつは、垂らしておいてはいけない。
すぐに拭き取らないと、今度はこの汁が壁に汚れとしてこびり付いてしまい、
今度はなかなか落ちないものになる。
と、分かっちゃいるが、追いつかない。
あんまり汚れているので、拭くのが間に合わない。
およそ、こうなることは分かっていた。
だから、冷蔵庫設置の前日の朝のうちに古い冷蔵庫を動かしたのだ。
壁はペンキを塗り替えることにした。
※
冷蔵庫の裏の壁のペンキは、なんだか適当なところまで塗り直されて、
半分のところで色が違ってしまっていた。
ふん、
こんなひどい状態だって、
冷蔵庫が置いてあったから見えなかったし気付かなかったんだ。
汚れ隠しに適当に塗ればいいや。
去年、風呂場の壁と天井を塗ったペンキの残りが有ったはずだ。
有った。
少し薄めて、ぐいぐい塗り始める。
が、弾かれてしまう。
しまった。
元に塗ってあったペンキが油性だったのか。
しかし、今ここで油性のペンキを塗る気にはなれない。
窓を開けて換気する気にもなれないほどの猛暑だ。
こんなことならペンキを薄めるんじゃなかったな。
濃いめだったら弾かれにくかっただろう。
一度塗りでサッサと終わらせるつもりだったが、
弾かれるとなると、重ね塗りが必要だ。
※
結局、3度くらい塗り重ねた。
冷蔵庫の後ろの壁面の、冷蔵庫を置いても見える範囲を丁寧に塗り、
中央は最後に余ったペンキで適当に塗った。
途中、
「24年前に壁に埋め込まれた死骸の怨霊が滲み出ている」
みたいなことになった。コワ
ちょっとうつむいてないか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます