旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

今年一番長かった列車の旅 博多→「つばめ5号」

2004-11-11 20:10:04 | 列車の旅
L特急「つばめ5号」 (西鹿児島)

9時05分の定刻より遅れて、L特急「つばめ5号」(列車番号5M)は博多を発車した。グリーン車の乗降口で乗客をうやうやしく迎えていた客室乗務員「つばめレディ」が切符の検札かたがた飲み物の注文を取りにくる。JR九州のグリーン車ではサービスとして飲み物が提供される。グリーン車付きの乗務員のいない列車でも車内販売員が飲み物を提供する。サービスであるから代金は要らない。残念であるが酒類はこのサービス外であって代金を支払わねばならない。コーヒーを注文した。私の後ろの席の客は弁当を注文しているようである。今朝は5時半に食べてきたので腹は減っていないが、汽車に乗るとなんだか食べたい気もする。

「つばめ」のグリーン車の座席は「ひかりレールスター」指定席と同等だと思うが、スリッパやフットレストもあり、絨毯敷きで落ち着いた印象である。ただし在来線を一生懸命に高速運転しているのでよく揺れる。やはり新幹線の方が乗り心地は良い。「ひかりレールスター」指定席が普通車としては座席が良すぎるので、これと比べるべきではないのかもしれない。おしぼりとコーヒーを持ってきてくれたが、揺れが気になり、なかなか飲めない。

さらに「つばめレディ」が新聞や雑誌を持ってきてくれる。飲み物のサービスといい、これも航空機と同じか。航空機の場合、常に窓の外を見ている事はないから、それでも良いのだが、鉄道の場合、明るいうちは私は車窓を眺めるのに忙しい。新聞や雑誌なぞ読んでいる場合ではないのだが、せっかくなので週刊誌を手に取り、東海林さだお氏のコラムや磯野貴理子結婚の記事に目を通す。

列車は福岡県から佐賀県、また福岡県そして熊本県へと入った。車窓に有明海が見えてきた。田原坂を通過して行く。そういえば九州では原を「はる」と発音する地名をよく目にする。前原(まえばる)、中原(なかばる)、もう知らない。後の席の弁当を食べた客が車内販売でビールを買っている。お昼にビールを飲もうと思っているので我慢する。熊本に10時20分着。博多と熊本の間は思ったより近い。少ないグリーン車の客が更に少なくなって10時22分に発車。

八代が近づくと辺りを見まわす。九州新幹線を捜しているのだ。今走っている鹿児島本線から複線電化の新線が右へと分かれ、高架線へと上がっていく。その高架線こそ九州新幹線であって、当初スーパー特急(新幹線の路盤だけど在来線が高速走行する方式だったか?)で建設されていたから、新幹線ホームに直接乗り入れるのだ。新幹線と在来線との乗り継ぎで階段や長い通路を歩く必要はない。新幹線と在来線との交差地点に在来線の新八代(仮称)の短いプラットフォームが、その向こうに立派な新幹線の駅舎が見える。来年3月13日の開業が近い事をうかがわせる。結局、新八代(仮称)~鹿児島中央(現西鹿児島)間は標準軌新線で建設され800系新幹線「つばめ」が登場するのだが、中途半端なスーパー特急など作らなくて良かった。

中途半端な新幹線としてスーパー特急のほかにミニ新幹線というのがあるが、これはJR東日本で山形新幹線、秋田新幹線として営業している。新幹線といっても小さい造りの車両が在来線に乗り入れているだけであって、新幹線でもなんでもない。まあ、高速バスが高速道路から一般道に入っても高速バスでいいか、という程度で新幹線というのなら構わない。しかし、北陸新幹線(高崎~長野間)、東北新幹線(盛岡~八戸間)はミニ新幹線の計画を止め、フル規格の標準軌新線での開業となった。九州新幹線もそのクチだろう。おかげで新青森~東京~新大阪~博多~鹿児島中央の新幹線ネットワークも完成が見えてきた。 (つづく)