旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

明智恭介の奔走

2024-08-21 18:37:00 | 図書館はどこですか




今回図書館でお借りしたのは、「明智恭介の奔走/今村昌弘著」です。早めの
予約が功を奏して、早々に順番が来て読むことができました。

「屍人荘の殺人」に登場した学生探偵・明智恭介は、てっきり彼が事件を解決する
のだろうとの期待をよそに、物語前半で姿を消します。ワトソン役である後輩・
葉村 譲との巧妙なコンビネーションもよろしかったのに、突然主役格がいなくなる
展開に驚きましたが、すぐさま真主人公の美少女探偵・剣崎 比留子が実力発揮、
葉村も彼女の助手役を見事に勤め上げて、事件を解決へと導きます。

続編二編でもこのコンビが躍動、私を含め特に男性陣は、艶やかな剣崎の活躍に
満足し、明智のことはすっかり忘れ去られたかのようでしたが、著者本人の希望、
あるいは読者からの要望もあったのでしょう、彼の前日譚の活躍を集めた短編集が
今回の~の奔走です。事件解決に注ぐ情熱が有り余って空回り、明智の猪突猛進さに
ハラハラさせられながらも、どこかしら憎めないキャラクターは、脇役で消えて
しまうにはやっぱりもったいなくて惜しいですよねえ。しかし、彼が天真爛漫に
振舞えば振舞うほど、最期を知る我々は、おもしろうてやがて悲しき…となるのです。

彼の異才・鬼才ぶりを発揮できる機会を与えられて本当によかったですよ。まだ、
もう一冊分くらいの、探偵エピソードが残っているんじゃないかと期待です。



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