光山鉄道管理局・アーカイブス

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「不動品」のマイクロED91タイプに目論む(汗)

2016-01-24 05:49:46 | 車両・電気機関車






 






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プロローグ

 今回は今年の初めに一年の計として出していたネタから。

 昨年の秋ごろに紹介した20系の入っていたジャンク袋にはマイクロのED91も入っていました。
 「ED91」と言いましたが実際にはCタイプのショーティ機です。

 モデルとしては相当な古ぼけ加減。
 そして何より(例によって)「走りません」と特筆大書された商品札が(笑)

 元々が他との抱き合わせのうちのひとつですしトータルで買うなら(例によって)3桁価格。
 オハネ2両にEF58(但しエンドウの)も付いてくるなら結構なリーズナブルさです。
 そんな訳で持ち帰りました。同梱の20系とEF58については前にも紹介しているので割愛します。

 問題のED91タイプの不動の動力ユニットですが通電してやるとモータは回転します。
 つまりモータや集電系ではなく駆動系のトラブルが中心と言う事になります。

 このユニット構造自体は簡単なのですがウォームギアとインサイドギアのかみ合わせに1ミリ近い隙間が空いているためモータが空回りしているというのがトラブルの実態でした。

 モータのマウントははめ合わせだけでハンダ付けしている所すらなく動力の分解は容易でした。
(と言うよりこれほど簡単な構造の動力ユニットは初めてです)

 ですが故障の原因が単純なだけに問題は厄介です。
 何しろ走る様に調整するには「ギアがかみ合う様にモータ位置を下げる」以外に方法が見当たらず、しかもこれがシャシの大掛かりな加工を要すると思われるからです。

 ついでに本機のウェイトのダイカストは微妙に変形(恐らく経年劣化)していて使い物になりません。

 この種のギアのトラブルは当時の「しなのマイクロエース」ではよく見られまして、初のプラ成形モデルだった185系の動力もギアが削れまくるほどモータが空転したりしています。

 つまりこれだけだとジャンク品以下。走れるモデルに戻すことは難しそうです。
 ですがこのED91をいじくっていてふと思いついた事が。
 これについては近いうちに書こうかと思います。




 今回入手のED91はギアの問題から走る事ができず、走れるモデルに戻すことは難しそうです。
 この時点では完全にジャンク品以下という事になります。
 
 ですがこれを手に取った時、ふと触発された所がありました。

 実はこのED91タイプ、以前「鉄道模型考古学N」と言う本で「2両合わせてスケール機を作りたくなる位印象をよく捉えた傑作」と書かれていた事です。
 そして私の手元には一昨年に入手していた(こちらは自走できる)同じED91タイプがもう1両あるのです。

 今回の1両だけならコレクションにもならないジャンクで終わってしまいますが同じのがもう1両となると話は変わります。

 何故と言って「そこまで傑作なら実際に2両組み合わせて見たくなる」ではありませんか(笑)
 因みにED91のスケール機は既にワールド工芸辺りからモデル化されているのでED91ファンならそちらを作った方が手っ取り早い訳です。
 (何より完全に実車準拠ですし)

 ですが今回の場合は「手元に材料があって工作自体に好奇心をかきたてられる」側面の方が大きいのでわたし的には全然OKです。
 第一「走りません」というのもこの場合は全く好都合ですし。 

 そんな事もあって20系やキハ35といった他のもろもろと共に袋ごとレジに持って行く仕儀となりました。
 (こちらの「同梱品」にも使い道があった事は前述した通りです)




 帰宅後さっそく以前入手のED91のボディを取り外し仮合わせをして見ます。
 「2両切継ぐ」なら出来る限りボディを長く取りたいのが人情ですから片側運転席直後のぎりぎりまでカットしたい所です。

 仮合わせした所で大体のボディサイズを割り出した所で次に「動力はどうするか」

 ここで好都合と言えるのが鉄コレの動力ユニットです。
 何しろ12M級から20・5M級まで各サイズがよりどりみどりで選べ、しかも他社のそれよりも入手が容易です。
 しかも最近は機関車用まで出ています。

 手持ちの鉄コレ動力(既に動力化したモデルから取り外して)を現物合わせしてみます。
 残念ながら機関車用のユニットはこの組み合わせではまだ短すぎる事が判明。
 15M級は逆に長すぎでした。

 車輪径が小さくなるのを覚悟で言うなら12M級動力がどうにか適合しそうです。
 (想定される両側デッキの分も計算して、ですが)
 但しスケール機に近づける事を考えると「実車の長さに合わなそう」と言う事の他にもうひとつ問題があります。
 それはサイドビューの窓とルーバーの数。

 この切り継ぎパターンですと実車の5枚に対してモデルは4枚。
 ルーバーの配列に至っては実車でも見ないと思われる「ルーバーが4連連続する」外見となります。
 つまり真横から見ると「ED91に見えない」であろう事は必須ではないかと。

 こればかりは目をつぶるしかありません。
 それにこの動力ユニットは片側駆動で牽引力にも問題が残りますし(汗)


 上の写真は二つのボディを切り継いだらどうなるかを2枚の写真を合成してシミュレートしたものです。
 PCのおかげでこんな事ができる様になったのは有難い話ですが、これでも「もっとも上手く行った場合はこうなる」と言う目安程度のものです。
 しかも自分の腕と照らし合わせても確実にこれよりも仕上がりは悪くなるであろうことは必定。



 動力ユニットですがボディ内部のポッチが当たらないなどの理由から鉄コレの12M級が最も適当と思われるので手持ちの上田電鉄から一旦動力をドナーして対応します。
 (実はこの12M級動力、この春に再販が決まったのだそうで今は宙に浮いた形になる上田の電車もいずれ復活可能となるという目論見からです)

 さて、肝心のボディカット。2台のボディの運転台ぎりぎりの所から切断、組み合わせる事で少しでも長さを確保するつもりでいました。

 ところがレザーソウを垂直治具に当てて切断したまでは良かったのですが治具の隙間のわずかな遊びのために微妙に曲がって切れてしまう体たらく。
 わずか1ミリの狂いでも実物換算では15センチですからつなぎ目の曲りが目立ってしまい参ります。
 何しろ今回のは寸法的にもぎりぎりの線なので切削の遊びが大きくとれません。

 しかも切断中に徐々に今回購入のモデルの方がボディにバリバリとひび割れを生じ始めました。
 以前購入の新しい年式のボディの方はサクサクと切れたので、モデルの年代的にプラスチックの経年劣化が進行していたようです。
 前面に至ってはちょっと押しただけでぺきぺき折れてしまう始末。
 ついに前面と側面が粉々に近い所まで分解してしまい一瞬頭の中が真っ白になります。

 これまで相当な高年式のモデルをベースにした改造を何度かやっていますがボディがここまで脆くなっていたケースは初めてでした。

 幸いと言いますか、場所がお菓子の「東雲」の箱の中での作業だったために大半の破片がその箱の中に納まってくれたのだけは幸いでした。

 やむなく割れた部分を再度貼り直すなどのリペアも同時並行で進行、切り継ぎ工作の筈が途中から「ジグソーパズル」のノリに変わってしまいました。

 まさかこういう事になるとは思いもしませんでした。

 おかげでただでさえ見苦しいボディが更に凄い事になりました(大汗)
 更に鋸が直接当たっていた2体のボディの接合部付近の破片は粉々状態でどうにもならないので楔状に切ったプラバンで更に穴埋め。
 いつボディが割れるか冷や冷や物の現状を思うとパテ盛切削など思いもよりません。

 それでも切り継いだボディをユニットに載せてみるとどうにかぴったりです。
 足回り、特に台車枠がベースの上田電鉄そのまんまなのはやむを得ません。但しカプラーだけはスペーサーで伸ばせるだけ伸ばしました。この上にデッキを持ってくるためです。

 もちろん試走でも問題なく走り切りました(吊るしの動力なので当たり前と言えばそうなのですが)

 デッキの部分はこの時点ではプラ版切り出しのパーツをボディに接着。
 手すりもオリジナルのモデルからの移植です。




 今回の改造に当たって昨年暮れに秋葉原のGMに出向いて必要と思われるパーツを調達しました。
 パンタはTOMIXのED75用を転用、碍子類は彼の地でも銀河の物が残っていなかったのでGMの交直流電車用を数両分入れました。
 配線類についてはエバグリの処分品に燐青銅線の処分品があったのでそれを入手しました。
 これらはいずれも屋上機器類の加工用です。

 が、参るのが実際のED91の配線がどうなっているのかの資料が極端に少ない事。
 ワールドのモデル写真まで探してある程度は見当を付けましたがさて、どうしたものか。

 なお今回のモデルは現存するED91のどれとも窓やルーバーの配置が異なるため、完全な「タイプ」となります。
 実車に存在しない6号機以上の数字を代入する感じになりそうです。

 何とか形が出来上がったところで、とりあえず塗装。
 ボディカラーは近似色としてMr Colorのモンツァレッドを使用。
 本来は塗膜が薄く出来るラッカー系を使いたかったのですが接合部の乱れがひどすぎるので塗膜を厚めにしてごまかそうという姑息極まる手段なのはここだけの秘密です。

 屋根上は定石の黒。
 これも悲惨としか言いようのない塗りです。
 
 ここまでやった時点で屋上機器の取り付けを。

 とはいえよく見るとこのモデルと実際のED91とでは屋根上の凸凹の配置がまるで異なることも判明しています。
 ですから碍子を植えるにも「それっぽい配列」以上の事はできません。

 同じ事はED75そのまんまのパンタでも同様です。




 ここまでの改造でボディ本体の方はどうにか形になりつつありますが問題として残ったのはデッキの部分です。
 もともとED91タイプに付いていたデッキ部はシャシとほぼ一体となっており鉄コレの12M級動力とのマッチングの点で問題を残していました。

 何しろED91動力のカプラーは殆ど固定されていて首すら左右に振りません。
 ですのでとりあえずとしてプラバンにED91の手すりを貼りつけたもので当初は代用していましたがデッキ部の下の部分が如何にもスカスカで見た目に間抜けすぎます。

 何か代用できそうなパーツが無いか考えていたのですが、例えばKATOのタキ3000や鉄コレの機関車の前部なども検討した物のどうもピンときません。

 ですがそこまで考えていて、ここでふと思いついた事が。

 実は以前乗工社の小田急デユニ1000を動力化した際にジャンク品のKATOのDD13の動力をドナーした事があります。
 その際元々の車体を取り外して取って置いていたのですが、その中に前部を含めたデッキ部分一式のパーツもあったのです。

 この部分をED91の車体に装着できればこれまで以上にそれらしい外見になりますしデッキ部にカプラーを逃がすための欠き取りがあるのでカプラーへの対応も出来そうです。
 早速パーツを引っ張り出して見ましたが、どうにか行けそうに見えます。

 早速デッキ部をカットしましたがカットしたデッキ部はボディよりも動力ユニットに取りつけた方が手すりの高さが自然なようだったので、ユニットの端部を若干カットして接着しました。
 前の写真で紹介したプラバン製の即席デッキよりは様になります。

 惜しいのはデッキ部の材質が塗料ののりにくい物だった事で貼り付け時に一部がはがれ始めたのでリペイントが必須の情勢です。
 併せて車体下部に黄色いクラフトテープを貼り付けラインの代用とします。
 (実はこれも接合部の段差を目立たなくさせるための姑息な策なのですが)
 実車ではこのラインから下は黒ですがボディと動力ユニットとの段差が案外大きく下手に黒く塗るとかえって段差が強調されそうだったのでとりあえずそのままにしています。




 今回のモデルも一応出来上がりましたが、側面から見ると実車に無い「側面4枚窓」に「迫力の8連ルーバー(笑)」実車に思い入れのある向きには失笑物です。
 (もちろんこの程度の仕上げしかできない私の腕の問題もあるのですが)
 ですがそこを離れて見る限りは「一応ED91みたいには見える」のが収穫でした。

 このモデルの製作開始時にも書きましたが「鉄道模型考古学N」で著者の松本吉之氏が描かれていた様に「2両切り継いでスケール機を作りたくなるほど実車の印象を捉えた傑作」と言うのは嘘ではないと思います。
 (まさか自分がそれを実行するとは2両目のジャンク品を買うまで思いもつきませんでしたが)
 その意味では何かの理由でこのボディが2両手に入って窓やルーバーのスムージングができる方なら必ず今回以上の出来栄えになると思います。

 或いは前面だけを使い、側面を自作するならボディも1両分で済みますしむしろそっちの方が楽かもしれません。

 さて、一応形の出来たED91(のようなもの)をレイアウト上で試走させます。
 動力ユニットが片側台車駆動の鉄コレ12M級なので牽引力ははっきりいって期待できません。

 平坦線のエンドレスでTOMIXのオハ35系3~4連が精々と言った所でしかもこれでも息を切らします。

 以前紹介したTOMIXの9600機関車に似た様な「非力だけれど一生懸命走っている」感とでも言えば良いでしょうか。
 見るからに試作機上がりの機関車と言えなくもない走り味です。

 今回の工作は「たまたま材料が揃ったのでやってみた」感が強く実車への思い入れと言うよりはアイデア工作に近いノリでした。
 ある意味「作るために作る」と言う工作でしたが、でもそれが結構楽しかったです。

 これでもう少しでも腕が上がれば…