「2035年までにはすべての自動車をEV化」
とは勇気ある発言で、政府もメーカーも販売店も何を考えているのかよくわからない、ということを証明するような動画が最近Youtubeに上がっている。
ちょっと見始めたら面白いので最後まで見てしまうというものが多いのが特徴だ。
例えばEVカーで帰省をしてみた人のレポートは秀逸だった。
関東の自宅を出発して愛知県の実家までの300km少し。
この距離、かかった時間が9時間。
多くは年末年始の渋滞が影響すると思いきや、そのうちのかなりのパーセントが「充電に要した時間」だったのでたまげた。
EVカーは容量の半分を充電するのに30分程度必要という。
その半分で走行できる距離は100km少し。
テレビのCMやカタログでは走行距離が200kmを越えるようなことが書かれているが、それは自宅で数時間かけてフル充電して、渋滞も信号も無い道路を走った場合。
しかし実際の道路は渋滞もあるし信号もある。坂道もあるし、一定の速度で走ることなんかありえない。夏は冷房、冬は暖房で走る以外のエネルギーも必要なので畢竟実際に走れる距離は短くなる。
これはガソリン車でも同じだ。
問題はEVカーはエネルギーをチャージする場所が少ない上に時間がかかること。
ガソリン車は燃料が少なくなってくるとスタンドで燃料を入れるだけ。
その時間長くても5分。
ところがEVカーは半分充電するのに30分。
しかも充電スタンドが少なく、あっても先客がいると何十分、何時間も待つ必要がある。
長距離を走ると余裕が欲しいので早めに充電することになるが、それだけ停車回数も増える。
充電問題はスマホやデジカメよりも深刻だ。
スマホなら必要に応じて予備バッテリーから充電することもできる。
デジカメなら予備のバッテリーと交換することができる。
海外を旅行すると電力事情もままならないところが多い。
そのためデジカメのバッテリーを複数持ち歩き、しかも夜充電のできるホテルなどでは忘れずチャージして旅行期間中に電池切れをすることの無いように注意する。
スマホもバッテリー切れを起こさないように使用方法を考え、充電のできる新幹線や飛行機のUSB端子やコンセントがあると充電することを忘れない。
しかし、EVカーはこのようなことができない。
EVカーで予備バッテリーを引きずって走るわけにもいかなし、予備のバッテリーの積み込んで走ることもできない。
充電スタンドは数が限られ、家庭用コンセントがあっても無意味だ。
畢竟長距離を走るとなるとEVカーには様々な障壁があり、これらは容易に解決できるとは思えない。
そもそもEVカーは明治時代には登場しているが、普及しなかった理由はバッテリーの問題があったから。
いくら高性能のバッテリーが登場し始めたとはいえ充電時間が30分、自宅で8時間、などということになると簡単に使うことなどできるわけがない。
ある動画では日産リーフの実際がレポートされていたが、運転席に表示される残り電気容量と実際の容量には差があるようで信頼性はない。
短距離を走るのはままアリとして、それでも雪の中、酷暑の中は超不得意で、もし豪雪に出会ったりすると低温下でバッテリーの能力もぐんと落ちるので、場合によっては運転者の命に関わることになるのだろう。
2035年まであと13年。
バッテリーの問題は解決できるのか。
もっとも2035年には私は免許を返却している可能性が高い年齢ですけどね。