大成建設と三井住友建設の施工不良と部材不良は少なからずショックだといえよう。
なぜなら大手建設会社への絶対的信頼が揺らいでしまっているからだ。
そもそもどちらの会社も新築物件を建設中だった。
ところが、
「建て方の不備」
「不良材料を使用」
という考えられないような根本的不良があり、検査をするまで誰も気づかず、チェックもしなかった。
しかも、
「まあ大丈夫だろう」
という感覚で施工をしていたフシもあるようで、施主側からするとトンデモナイ建築会社だ、と一言で片付けるわけにはいかない衝撃的な事件になっている。
なんといっても建設を中断して、取り壊し、もう一度最初から建設し直さないといけないという超不良なのだ。
もちろん両社とも役員辞任に追い込まれている状況だ。
三井住友建設は数年前に新築の建物なのに建物ごと傾いたという横浜の欠陥マンションを請け負った業者でもある。
前科のある会社が、またしても建設の品質面で不祥事を起こしたということは、もしかするとこれは前回と今回だけの話ではなく、もっと他にもあるんじゃないかと思ってしまう。
これは勘ぐりすぎでもないように思われてしかたがない。
建築物は一旦完成してしまうと中身をチェックすることは非常に困難だ。
とりわけ基礎や柱、梁といった建物の強度を保証する心臓部ほど見ることはできない。
この見ることができない、という特徴が殺人後の遺体の隠し場所として使われる、というのが刑事ドラマでもあるくらいだから、なかなか確認点検の難しい部分でもある。
例えば3年ほど前だったか大阪市内の別の工務店が建設したビルディングに主柱を継ぎ足した部分がある、という内部告発があって大騒ぎになったことがある。
これなんかは内部告発で発覚したわけで、実際の強度は「補強継ぎ接ぎでも大丈夫」だったから良かったものの、ホントであれば今回同様、建て直しという前代未聞の事件に発展していた可能性もあったわけだ。
ちょうど先週、日本経済新聞「耐震診断進まぬタワマン」という記事が出ていた。
東日本大震災をきっかけに問題視されている長期振動波による高層ビル倒壊の危険性だ。
この長期振動に耐えられるかどうかという診断をしなければならないのだが、どこも費用面や「万が一、基準に適合しなければ..」という危機感で管理組合が耐震診断に二の足を踏んでいるという。
これにもし不良施工が見つかれば、タワマンの価値は急落。
不動産市場に及ぼす悪影響は避けることはできないかもしれない。
自分の住んでる建物が、実は、というケースが一つでも現れないとも限らない。
ゼネコンの信頼性とタワマン。
そのパンドラの箱は半分開いてしまったのかどうか。
いずれにせよ気持ちの悪いニュースだ。