生まれて初めて映画館で鑑賞した洋画はジョン・ギラーミン監督の「タワーリング・インフェルノ」だった。
サンフランシスコにある138階建ての架空の超高層ビルが舞台。
完成したばかりのビルが中間付近の階の倉庫から出火して大災害に発展するというパニック巨編。
豪華客船が天地逆さまになる「ポセイドン・アドベンチャー」に続く映画ということで当時相当に話題になった。
確か製作はテレビ「宇宙家族ロビンソン」のアーウィン・アレンだった。
私は叔母に連れられ大阪の道頓堀松竹座でこの映画を観た。
今は歌舞伎の常設劇場の松竹座は当時映画館だった。
それまで特撮モノと言えばゴジラぐらいしか知らなかった私はアメリカの超大作の凄さにショックを受けた。
以後洋画、特にアメリカ映画の大ファンになったのであった。
昨夜発生したロンドンの高層アパートの全焼火災。
このニュースの映像を観ていたら自然に「タワーリング・インフェルノ」を思い出した。
あの映画の出火原因はコスト切り詰めで設計士の指定したケーブルを用いずに安物のケーブルを使ったために大火災になってしまった、というものだった。
ビルは新築で完成したばかりだった。
今回の火災になったアパートは1972年の建築ということだが、昨年に全面改装したばかりらしく、もしかすると映画と同じようなことが原因で火災になったんじゃないかと想像したりしている。
超高層ビルというのは高さが高いだけではない。
その階数が多い分、そこにいる人の数も半端ではない。
例えば60階建てのビル。
大阪のあべのハルカスや横浜のランドマークビルがそれにあたるが、1フロアに100人がいるとして60階建ての場合6000人がそのビルの中に居ることになる。
9.11の時にワールドトレードセンターのツインタワーが崩壊して3000人以上も犠牲者が出たのは、超高層ビルの巨大な人口も原因の1つだ。
実際はちょっとしたビルの場合、1つのビルに1万人以上が滞在していると考えていい。
これはちょっとした街の人口に匹敵する。
東京の新宿や大阪のOBPにはこの手の超高層ビルが幾棟も建っているのでその人口は凄まじく、ランチ難民が出てくるのもむべなるかなということになる。
今回焼けたロンドンのアパートは24階建てでそのうち20階がアパートとなっていて戸数は120。
1戸あたりの家族数を4人としたら480人が住んでいたことになる。
果たしてどれだけの人が深夜の火事に気づき脱出することができたのか。
今後のニュースが注目されるところだ。
で、タワーリング・インフェルノで一番思い出すのは映画そのものの凄さもあったが、実は他のところに印象に残る原因がある。
当時、私は小学3年生。
主役のポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンという二人の外国人俳優の顔の区別が暫くまったくつかなかったのが、今では最大の思い出なのである。
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