気がつくと、走っている電車はほぼ全列車が冷房機が付いた車両になった。
今から30年ほど前は冷房車が半分ぐらいしかなく、高校からの下向の時、今度来る電車が冷房車かそうでないかは結構重要な問題なのであった。
今やバンコクやヤンゴンやシンガポールと暑い国ばかりを旅行している私ではあるが、高校生の一番元気な年代の頃は暑さにめっぽう弱く、夏場の暑い盛りは冷房車に乗れることはある意味、砂漠でオアシスを見つけたのと同じような意味を持っていたのだった。
大学を卒業する頃、上京したら東京の地下鉄に冷房車がほとんどないので意味のない優越感に浸ったこともあった。
大阪市営の地下鉄はかなり早い時期にかなりの車両が冷房化されていたのであった。
地下鉄の冷房はバンコクやシンガポールのそれも同じだが強烈に冷やしている。
これは乗車時間が短く、その間に「涼しい~~~」と感じさせなければならないから、冷房温度の設定を低くしているのだろう。
しかしこの寒いほど冷やしている列車で私は「これは困った」と思ったことはない。
バンコクのスカイトレインなんぞは冷え性の人は凍死するのではないかと思えるぐらい冷房が効いているが、私はあの超ひんやした感覚と、プラスチックの「ちめた~い」椅子がクソ熱い国では何よりなのだ。
ところで、今日、南海電車に乗っていると冷房が入っているのだがまったく冷えていないことに気がついた。
その時私は連結の扉の横に立っていてつり革につかまっていた。
いつものように読書をしながらじっとしていたのだが、汗がジワーとしみ出てくるぐらい、暑いのだ。
「冷房スイッチ切っとんな」
と思って天井のクーラーに耳をそばだてると「うぃいいいいいいん」という音が鳴っている。
汗は次第に大粒になって滴り落ちはじめ私の足下を濡らしていった。
こんな思いをしたことはない。
「南海電車は何をやっとんじゃ」
と日頃の不満をぶちまけたくなったが、そんなこと公衆の面前でできるわけもなく、ひたすら耐えたのであった。
よくよく見ると私の乗っていた車両は、どうやら昭和40年代に作られた車両らしいのだ。
これって、ボロ電車ということではないのか。
冷房が効かないのは、ボロだからか、それとも南海電車だからか。
じっくりと考察する必要があるように感じられる、通勤電車なのであった。
| Trackback ( 0 )
|