<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



その昔、「太陽にほえろ」や「西部警察」などのテレビのドラマでは最後に「このドラマはフィクションです」というテロップが映し出された。
ドラマの物語と現実がごっちゃになって、見ている視聴者が「七曲り署ってどこにあるの?」と思ってしまうことを防止する措置だったように記憶する。

今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」も同じテロップが必要だと考えるのは私だけだろうか?

NHKの大河ドラマは長年史実に沿った歴史ドラマだという印象を視聴者は持っているに違いない。
でも実際はやっぱり水戸黄門なんかと同じ真偽取り混ぜた創作時代劇で、雰囲気と内容が「重厚」で、演出と脚本が「超真面目」だったのが他のドラマと大きく違っていた。

それでも視聴者は大河ドラマを見て真実の歴史とダブらせて「あの時代の人は.....」なんて語ったりしたものだった。

そういう意味で、
1.歴史考証がメチャクチャで、
2.江戸時代の日本文化も否定して、
3.19世紀半ばの国際情勢も無視をして、
4.幕末史の知識が無かった脚本家を起用した
NHK大河ドラマ「龍馬伝」には「このドラマはフィクションです」というテロップを掲載しなければならないと思うのだ。

もともと「龍馬伝」の放送が始まった当初は「司馬僚の作品に縛られない初めての龍馬物語だ」と結構楽しんでいたのだったが、回を進めていくうちにトンでもドラマだと思えるようになってきた。
そしてついに、
「ほんで、この時代はなんでこんなんやったん?」
という小六の娘の質問にがく然として、これはイカン、と思うようになった。

「これは本当のことやない。作り話で当時の日本はこんな酷い国やなかったんやで」
と口頭で説明してもNHKテレビで放送されるドラマの方がつたない親父の説明よりも真実らしく見えるようで「ふ~ん」と答えるばかり。

で、なにが「龍馬伝」に問題があるかというと「ウソ」と「現代の価値観」が溢れ過ぎ、それを何も知らない「子供が見る」という部分にあるのだと思う。

例えば、
1.食事シーンがホームドラマ
  武家なのに坂本家は男女揃って向かい合わせで食事をとる。
2.土佐山内家が残酷
  郷士なら上士は何をしても構わない、という表現が「辻斬りは厳罰だった」「武士はむやみやたらに身分の低いものに危害を加えることはできなかった」という江戸時代の姿に反する。
3.明治政府を背負った人たちの表現が軽薄
  桂小五郎(木戸孝允)も後藤象二郎もアホ丸出し。どっちも地方の高校生がマクドナルドでバカ話に花を咲かせている雰囲気そのまま。
  現代のそれとは一味違う江戸時代のエリートを小馬鹿にしすぎ。
4.殿様が悪者
  勧善懲悪系時代劇のように殿様がヤクザの親分のよう。特に山内容堂演じる近藤正臣は「腕に覚えあり」の影足組の支配者のようで不気味。
5.龍馬をベ平連やピースボートみたいな平和主義者に仕立てている
  龍馬は海援隊という私設海軍兼貿易商社を設立した歴史上の人物。それを憲法九条を守る会代表みたいなセリフを吐かせているのには、さすがに朝日新聞の放送局版NHKという印象が強い。
6.街が汚い。
  東南アジアの某都市を彷彿とさせるような江戸や大阪の街並みは「ヨーロッパ人が見た幕末の日本」を無視した表現。当時の日本は世界でも稀な美しく清潔な街として記録されており、たとえば「ゴミひとつ落ちていなかった」という。
超清潔好き(神経質とも言う)な現代日本人のルーツがここにある。
7.あり得ないばかりの武家の自由恋愛

などなど。

「龍馬伝」は歴史を知っている大人が見て初めて無害のドラマでないかと思えるようになってきた。
だからいそのことR-18指定するか、

「このドラマはフィクションです。」

のテロップを入れていただきたいと強く希望するのだ。



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「今バンコクへ旅行に行ったら赤とか黄色とかのシャツ着て歩いたらええんちゃいますの」

と笑いながら私に話したのは先週末フランスから無事戻ってきたK君。
「よくもぬけぬけと普通に帰ってきたな」という私の冗談に対する反撃だ。

ともかく、K君の指摘を受けなくともお調子者旅行者でタイを旅する者たちの中には、もしかするとバンコク都内で黄色や赤色のシャツをわざわざ購入してオチョクル日本人の若者が現れる可能性がある。
とりわけ関西人はこの手のイチビリが大好きなだけに注意が必要だ。

赤いシャツを着ていると黄色シャツの軍団から、黄色シャツを着ていると赤シャツを着ている軍団から攻撃を受ける危険性がある。
それもドツカレルというような軽いものではなく、手りゅう弾を投げ込まれる、砲撃される、狙撃される、といったしゃれにならないやつばかりだ。

私は王家の色である黄色のシャツを着ていると大丈夫なんじゃないかと思っていたのだが、それも間違いだったようだ。

そもそも1995年だったかの軍と警察の衝突によるクーデター騒ぎは王様の一喝で収束したのに、今回はどうしていつまでも対立しているのだろうと思っていたのだが、なんとプミポン国王は入院なさっているという。
親父さんが入院していることをいいことに、我儘な兄弟がけんかをしてシャレにならない事態、というのが現在のタイの実情か。

青シャツだったら大丈夫かも。

でも、赤シャツ、黄シャツに、それに勝手に青シャツ。
これって昔の米国製SFテレビの制服を彷彿させて、もしかしたらタイ人はトレッキーなのか。

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このGW。
タイ旅行をご計画されていたみなさん、お気の毒様です。
外務省がついに「バンコクへの渡航の是非を検討してください」という、事実上「行くな宣言」をしてしまいJTBと日本旅行はツアー中止。
HISと近畿日本ツーリストはツアーを継続するそうですが、家族が反対したり、旅行する人自身が「なんとなく怖い」というのであれば中止やむなし、ということろでしょうか。

実のところ、私もGWは2年ぶりぐらいにバンコクへ行きたかったのですが諸事情が許さず、四国讃岐へのうどん食いと金比羅さん参りで我慢です。(金比羅さんに失礼かな)

「バンコクへの渡航」だから、チェンマイやプーケット、サムイは大丈夫と思ったら大間違い。
普通、これらの街やリゾート地に行くには日本からはバンコク経由での乗り入れになるから、行くこと自体が難しくなります。

そもそも日本人が10万人住んでいるというタイ。
そのうちの半分以上がバンコク都内やその周辺に居住しており、進出している日本企業は2万社を越えると言われています。
そんなタイのバンコクに「渡航の是非を」なんて言われても、「米軍移設反対のデモがありますから沖縄県には行かないでください」くらいに近い馬鹿げた雰囲気があるのも事実。

以前、シーロムの居酒屋に置いていた現地日本語のミニコミ誌に書かれていた記事に「タイ人の婚約者を日本の実家に連れて帰ろうと日本領事部へ行ったら、めちゃくちゃ無愛想でめちゃくちゃツッケンドンで、超面倒くさそうに応対されました」というような在バンコク日本大使館領事部での役人対応の体験談が載っていました。

バンコクの日本大使館は統計によると在外公館で最も邦人の「助けてくれロー」が多いところだそうで、きっと大使館の職員の皆さんも面倒くさい、といったところなのでしょう。

そこへ今度の政治騒動。

「デモに巻き込まれてケガをしました」
とか、
「大学生の子供と連絡が取れません。探してください」
とか
「飛行機が飛ばない。東京に帰れない。どうしましょう?」

なんていう依頼に応えるのがメチャクチャ面倒なので、外務省は現地の職員のことを考慮して予め「渡航の是非を検討してください」を喚起したのかも知れません。

私なんか、万博目当てで上海へ行く方がよっぽど危ないような気がするんですけど。

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英会話スクールの大手ジオスが破産手続を開始。
3年前のNOVAショックに引き続き、英会話学習者たちと英会話講師たちにショックが走っている、と思う。

私も趣味と酔狂で英会話を習い始めて今年で20年を迎えた。
もともと、
「先日インテックス大阪の展示会でアンケートをいただきました○○○○でございますが、今日は英会話スクールのご紹介です」という一本の怪しげな電話をもらったことからスタートしたのが私の英会話スクール通学開始のキッカケ。
仕事がマンネリしていたことと、英語ぐらい話せても、という勝手な考えが複合して作用し、英会話学習をスタートした。
高校時代の英語テストが欠点ぎりぎりを低空飛行していたにも関わらずの、大決断だった。

初めは「映画を字幕無しで見たいと思いまして」などと希望を述べていたりしたものだが、知らぬは仏。
字幕無しで映画を見るのは相当な語学力が必要で、未だに字幕なしで見ることのできる映画は邦画だけだ。
(注:東北弁や琉球言葉が多用される場合は邦画でも理解に苦しむ)
それでもチマチマ学習を続けてきた結果、観光旅行、短期出張、仕事での英文読解、子供向け洋画の鑑賞、などにはほぼ不自由しなくなったのだから、英会話スクール通いも無駄にはなっていないというわけだ。

この20年の間に、5件の英会話スクールに通ったが、質、料金、立地条件など、それこそ様々であった。
ただひとつはっきり言えることは「英会話スクールは月謝制」が良いということだろう。

5件も通っているので全国区の大手にも通った経験がある。
その大手はNOVAとイーオン。
どちらもシステマチックで大手なのでシッカリしていると思っていたが、シッカリしていたのは営業手法で、授業内容はイマイチであった。
どちらも教室が駅前にあるので便利だったが、授業料は前金をガッポリ払わねばならないうえに、授業時間は短時間で、外国人講師も質がバラバラ。
NOVAでは性格はグッドだが、テキサス訛りで何を言っているのかわからない先生や、ひたすら「バナナハウス」なる寮のことを愚痴る先生がいたのには参った。
イーオンはテキストの復唱がメインで終始して「よくこんな内容で英語がマスターできるもんだ」と半年で退学しまったことを覚えている。

今ではNOVAも月謝制になっているようだが、月謝制の小規模スクールはいつでも辞められる点に加え、意外に先生の質がよかったり、学習内容がテキストに拘束されないので自分たち生徒の意見が加味された授業内容をとってくれるので、非常によろしい。
また月謝制の安さは「レッスンの自由予約」とは反対の「固定された曜日と時間」という不便さはあるものの、同じクラスで同じ生徒。
友達ができるというメリットがある。
この友達ができるというメリットは小さくなく、レッスンを辞めずに継続する、違う世代の友達ができる、飲み会が楽しい、視野が広がる、などのポジティブ要素が多々有り、自然に継続して習うことに繋がっていく。
不便だが、後になって中学校、高校のような「懐かしくて大切だった」という存在に英会話スクールがなってくるのだ。

もちろん月謝制だからいきなり倒産しても損はない。
損しても一月分の授業料ぐらいだ。

ということで、ジオス、NOVAで損した英会話スクールの生徒の皆さん。
語学学習はブランドではありません。
すぐそばに、良い地元スクールがあるかも知れませんよ。
40代オッサンの私は今も月謝制のスクールに通っています。

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ずっと以前から映画やテレビの時代劇に私はちょっと不満を抱いている。
それは舞台のほとんどが「江戸」であるということだ。

遠山の金さん、
鬼平犯科帳、
大岡越前、
むっつり右門捕物帳、
剣客商売、
大江戸捜査網、
長七朗天下御免

いずれも江戸ばかり。
江戸以外はないかいな、と考えてみたら、

水戸黄門(全国漫遊)、
NHK大河ドラマ(全国色々)、
清左衛門残日録(海坂藩=庄内藩)

などと、全国津々浦々が舞台になるか、地方が舞台。

つまり私は何が言いたいかというと大阪が舞台の時代劇の少ないこと。
いくら考えても1作品も思い浮かばない。
桂枝雀が主演して途中で主演が芦屋雁之助になってつまらなくなった「なにわの源蔵」は明治時代が舞台なので時代劇というには無理がある。

どうして大阪舞台の時代劇ができないのだろうか。
江戸の武家社会に対して大阪の商人社会。
江戸時代の大阪を舞台にした面白そうな経済時代劇ができそうに思うのだが、だれもチャレンジしたものはいないようだ。

古地図の出版の世界も東京~江戸というものは時々出版されるものの、大坂~大坂というようなものは、なかなかお目にかかる機会がなかった。

創元社から出版された「大阪古地図むかし案内」本渡章著は、江戸時代に出版されたいくつかの大阪古地図をたどりながら、大阪の歴史と文化と地理を楽しめる珍しい一冊だった。

私自身、大阪は生まれた街であるだけに昔の姿には興味津々。
小学校5年生あたりから大阪の歴史を習ったけれども、それがもちろんすべてではない。
例えば、住友の銅精錬所はどこにあったのか、なんてことは長い間知らなかったし、どこが島の内でどこが船場なのか、大阪の地名の明確な場所も知らなかった。
今回この古地図むかし案内を読んでそれらの場所がどこにあったのか、はたまたどのような街造りが成されていったのかが概略だけでもわかってきて、非常に楽しかった。

また、そういう地理的な面だけではなく、大和川の付け替えには反対する人たちがいた、というような「江戸時代って、けっこう民主的だったんだ」と思わせるようなエピソードも紹介されていて引き込まれる。
ただ単に今の街並みと比べるだけではなく、遠い江戸時代を身近に感じることができるようになる不思議なガイドブックなのであった。

なお、折込み付録の古地図はもっと鮮明な印刷をしていただきたかったのが、残念ではある。


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めったに海外旅行をしていない我が社のK君が先週、1週間のフランス旅行に旅立った。
旅立ったのは木曜日。
「明日から、よろしくお願いします。」
あちらこちらに挨拶をしてK君は水曜日の仕事を終え、関空発パリ行きのエールフランス。
意気揚々と旅立った。

火山が噴火したことも知らされずに.........。

飛行機が自然災害で長期間に渡って運行を停止。
その影響をもろにかぶった、と言う経験は私にはない。

人災で影響されたことは過去に二度。
(先日の関空での危険物持ち込み女、シカゴの大雪、シンガポールのラッシュアワーは除く)
それもほんの数時間だったので大きな影響はなかった。

最初の人災は数年前、伊丹から那覇に向う途中。
間もなく那覇に着陸という時に発生した。
「管制塔からの指示でしばらく当機は待機いたします」
というアナウンスの後、私の乗ったJALのB747は沖縄本島の上空をグルグル回ること1時間強。
伊丹を離陸して3時間30分後、やっとのことで那覇に着陸。
「米軍の嘉手納基地のレーダーが故障」
とのニュースを聞いたのはその日に夜のニュースでだった。

2度目はこれも那覇空港。
沖縄での仕事が一件落着して帰ろうと思っていたら、
「搭乗される大阪行きは大変遅れております」
の説明があった。
なんと大阪行きだけではなく、日本全国津々浦々への各便が大幅遅延。
「JALの飛行機のタイヤが羽田外れるトラブルが」
のニュースを聞いたのもヘトヘトになって大阪の自宅へ帰ってきたからだった。

今回のヨーロッパの火山噴火での欠航に見るような大きな足止めには会ったことが無い。
むしろ飛行機には台風一過の明くる日、新幹線がまだ止まっている中、羽田から飛行機で神戸まで帰ってきたことがあり、助けてもらっているくらいだ。

ということで、フランス旅行中のK君。
君は今、フランスのどこで何をしているのだろうか。
でも心配無用。
飛行機が飛ばなくても大丈夫だ。

残った有給。
そしてGW休み。
これだけの休みを使って2週間あれば日本に帰れる。

シベリア鉄道がある!

目指せウラジオストック!
ガンバレK君!
現代の大黒屋光大夫になるのだ!

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読売新聞のネット版によると、あの「アルプスルの少女ハイジ」が盗作だったことが分かったのだという。
かなりショッキングだ。
ハイジも、
ペーターも、
オンジも、
クララも、
ロッテンマイヤーさんも、
セバスチャンも、
盗作だったというのだ。

盗作。

この魅惑に満ちたビジネスは、もしかしたら人類最古の商売として春を売る商いに大変よく似ているのかも分からない。

地元スイスやドイツでは大騒ぎになっているようだが、盗作は世界どこでもごく一般的。
たまに新聞記者が他人の記事を無断引用してクビになったりしているけれども、それはご愛嬌。
この世の中には大胆な盗作作品で満ちているのだ。

例えばディズニーの「ライオンキング」。
これはまったくもって手塚治虫の「ジャングル大帝」のパクリで、実際に裁判になったものの被告がディズニーというアメリカのシンボルだけに日本側が敗訴したという事実が残っている。

スピルバーグの「Ai」も主人公のロボットの少年がサーカスに売られるところも「鉄腕アトム」とまったく同じで、これは裁判にはならなかったものの、
「あの、スピルバーグも」
と、見ていた私のショックはかなり大きかった。

ヨーロッパはともかくアメリカは創作大国であると同時に盗作大国でもある。

プロデューサーが無名の作家が持ち込んだ優秀な脚本をパクって、有名な作家の名前をかんむりに置き、ヒットさせてはぼろ儲けしているという例も少なくない。
これは20年ほど前アメリカに行った時に映画関係の仕事をしている日系人の親類から聞いた話だ。

かといって日本はアメリカほど盗作しないか、といえばそうではない。

人気コミック「沈黙の艦隊」の一部分が盗作だったことは一時大きなニュースとして扱われた。
アイドルの安倍なつみは他人の詩をそのままパクってテレビの画面から姿を消した。
映画「トラック野郎」の一部のシーンは米国映画「コンボイ」のパクリだったし、東宝SF映画「惑星大戦争」はもろ「スターウォーズ」のモノマネだった。
盗作ならずともインチキをする考古学者なんかもいたりして、誰が正直者なのかわからなくなることも少なくない。

ただ私の家族、ハイジの盗作について曰く、
「もし、その作品を盗作せんかったら永久に世の中で出なかった、ってことにもなるんとちゃう」
とのこと。

なんとなく尤もな理由ではあるが、納得はできない。

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「赤シャツは必ずしも正しくない」
というのは夏目漱石の小説「坊ちゃん」のことではない。
タイの首都バンコクで、政府に対してデモを展開し、ついに死者を出したタクシン元首相を支持する紅いTシャツ軍団のことだ。

今回のデモでは、ついに日本人ジャーナリストが流れ弾に当たって死亡するという悲劇が起きたため、日本国内の報道でも俄に大きく扱われることになった。
これはちょうど2年前、ミャンマーの旧都ヤンゴンで発生した事件ににている。
僧侶達のデモを撮影していた日本人報道カメラマンがミャンマー国軍兵士に射殺されてしまった、という事件だ。
ただし今回は数万社の日本企業が進出し10万人の邦人が住んでいるバンコクのこと。
かなり事情が違う。
そしてさらに、今回ばかりは報道も一方的にタイ政府を非難できないのもミャンマーのケースとまったく異なっているのだ。

構図はミャンマーのケースと良くにている。
ミャンマーは軍事政権であることはご存知の通り。
タイも現政権は軍事政権だ。
ミャンマーの民主化を叫ぶ人たちも一部は政治的追放者であるオン・サン・スーチー女史の支持者であるわけだし、タイの赤シャツ軍団も政治的に追放されたタクシン元首相の支持者たちだ。

同じ軍事政権でどうしてこうも扱いが異なっているのか。
それはタイが基本的に民主国家であって、ミャンマーが特殊社会主義国家であるからに他ならない。
つまり世界は料理やムエタイで有名なタイは好きだけどミャンマーはよく分からないから嫌いだ、という図式なのだ。

報道を見ているとクーデターで追放された元首相を支持している赤シャツ軍団は民主的だし海外からも支持されて不思議はない。
それに大部分が乏しい農村の出だというから民主主義大好きなひとにはたまらない。

ところがこの赤シャツ軍団、気の毒なことに一方的に支持されることがない。
政府がミャンマー政府のように極悪非道にならないのだ。
むしろ海外の目から見ると「経済活動を阻害する迷惑な連中」という印象さえ漂っているのだ。

それはなぜか?

タクシン元首相は己が権力を利用して一族が経営する通信会社などで不当な利益を稼いだ。
タイ人が汗水流して働いて稼いだ金を吸い上げて、元首相はなんとシンガポールに蓄財していたのだ。
国民の金を搾取して自己資産として海外にためこむとは言語道断。
許されるものではない。

そもそもタクシン元首相は華僑なのだ。
華僑、中国人のことをタイではコンチンと呼ぶが、「コンチン」は嫌われ者である。
なぜなら経済を牛耳り私服を肥やすからだ。
中国人と地元民との軋轢はタイのことだけではなく、ベトナムもインドネシアもミャンマーもマレーシアもみんな同じ。
1980年代、ベトナムのボートピープルは華僑がほとんどだった。

商才に長けた華僑であるタクシン元首相は商売のため行きすぎた行動が目立っていた。
ついには国王に「もういい加減にしておきなさい」とお叱りを受けたにも関わらず、その守銭奴的政治姿勢を改めなかった。

ちなみにタイでは国王は絶対である。
タイの現国王は自らが指導し、絶対君主制国家から立憲君主制国家へと変貌させた。
その基本は「君臨すれども統治せず」。
日本と同じスタイルなのだ。
この王自ら率いる半世紀もの改革がタイ国民をして国王を国父と呼ばせるまでに尊敬を集めている。

その「国のお父さん」である国王が叱っても態度を改めなかったダメ息子タクシン。
そんなタクシンに金を貰って「生活が改善した」と言っているのは国を中国に売り渡しているのと等しいものがある。
そう言っているのが赤シャツ軍団なのだ。

ということで、赤シャツ軍団は必ずしも正しくないことに注意しながらテレビを見たいところだ。

なお、タイ好きの私もここ二年ほど忙しくて訪泰してません。
上記の分析がおおむね合っていても詳細には正確でない可能性もありますのでご注意ください。
はい。

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作家の井上ひさしが亡くなった。
随分左巻きの作家さんだったが、私はこの人の作品が大好きで、私の読書遍歴はこの井上作品の乱読から始まった。

1978年。
当時中学生のわたしは大好きなFMラジオ番組「音の本棚」をほぼ毎日聴いていた。
音の本棚は25分間のラジオドラマで月曜日から金曜日まで毎日、午後9:00からFM大阪(大阪では)で放送されていた。
だいたい5日連続で1作品が普通で、毎週違った作家の小説を原作に優れた脚色と粋な演出でNHK-FMのラジオドラマよりも優れていたと思っている。

11月。
井上ひさし原作「モッキンポット師の後始末」が放送された。
モッキンポット神父を演じていたのは今は亡き三国一郎さんで、関西訛りで話すフランス人神父をコミカルに、そして表情豊かに演じていた。

このころの私とは言えば、読書なんかほとんどしないガキだった。
本といえば少年ジャンプか少年チャンピオン。
コンタロウの「1、2のアッホ」や手塚治虫の「ブラックジャック」が大好きだった。
ラジオは欽ドンを毎日聴いては投稿し、時々作品が採用されて欽ちゃんに読んでもらうのを至福の楽しみにしていた。
やがてラジオの嗜好はAMからFMヘ。

中学生活も終わりを迎えるこの時期に私はラジオドラマに凝っていたのだ。

「モッキンポット師の後始末」はそういう私のマンガとラジオドラマ、そして深夜の外国テレビシリーズ、といった生活スタイルに終止符を打つきっかけになった。
あまりに面白いので録音したテープを友達に貸して同調者を増やそうとしたこともあった。
でも、それ以上に原作小説を読んでみたいと思ったのだ。

原作を読むとドラマはかなりの部分を省いて要約していることを知った。
放送時間内に収める為にかなりのカットをしていたのだ。
もちろん原作はカットしていない分、さらに面白く、すっかりと魅了されてしまったのだった。
以後、その井上作品の面白さに浸りたいと片っ端から読みあさった。
「青葉茂れる」
にはそのあまり格好良くない青春に涙して、
「コント集」
ではてんぷくトリオのコントを活字で楽しんだ。
さらに井上ひさしが幼少の頃毎日見ていたNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」の作者の一人で、さらにこれまた大好きな東映アニメ「長靴をはいた猫」の脚本を書いていたことを知ってすっかりファンになっていたのであった。

正直、看板の戯曲はあまり好きではなかったが、それでもNHKドラマになった「国語元年」も大好きで、この作品をきっかけに方言に興味を持つ余ようになったし、どういうわけか金田一春彦先生の市民講座をテレビでも見るようになった。
それに戦争反対のいきすぎや、九条の会なんていう、いささか常軌を逸した団体を結成されたりした面もあった人だったが、作品そのものはほとんどが面白く感じるものばかりだった

ラジオドラマという楽しむためには想像力を必要とするメディアが井上喜劇を放送して、それに感動した私は読書というさらに想像力で楽しむメディアを手に入れた、というわけだったのだ。

すべては「モッキンポット師」かた始まった。

井上ひさしさん。
面白かったですよ。


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さすが党首がブリジストン関係者の民主党。
やってくれました。
公共交通つぶし。
それも税金を使って。
税金使って間接的にタイヤ拡販するとは、常人にはなかなかできない神業だ。(但し悪魔業)

新聞報道によると6月から曜日を問わずに高速道路に上限を設けるとのこ。
その額なんと2000円。
ずいぶん安い金額で、これで高速道路会社はやっていけるのかと思ったら不足分は税金で補うということなので、財源を探すのが大変だ。
首相のお母さんが毎月補填してくれるわけでもない。

たぶん「税金イコール他人の金」と思っているのだろう。

これで中長距離を電車やバスで移動する人はグググと減ってしまう。
なんといっても少人数で移動するのも自動車の方が安くなってしまうので、よりマイカーを利用して旅をする人が増える。

「甲子園には高速料金の安いマイカーで!」
「場外馬券販売場にはマイカーで!」
「当博物館には駐車場はありません。ご来館はマイカーで!」

と、公共広告は幻となり、CO2の排出量がじゃんじゃん増える。

そのおかげで鉄道会社は減収し、ローカル線は廃線。
JR3島会社のうちJR四国は廃業するかもしれないし、バス会社は乗客が減るうえ交通渋滞でダイヤ通り走れなくなる。
トラックの荷物も翌日お届けなんててんで無理。
個人事業者のトラック運転手はペナルティー払い続けて破産するかもわかならい。

これもそれもタイヤを売るため。

なんて勘ぐりたくなるのが民主党の政策。
正義を掲げて社会インフラをめちゃくちゃにしているのではないかと思えてならないのは、私だけか。

ローカル線や長距離バスだけではない。
フェリー会社も大打撃。

2年前の夏、私は大阪から高知へ旅へするのに高速代をケチり、神戸から四国の高松までフェリーを使った。

午前中神戸港からマイカーごとフェリーに乗り込み高松までの3時間。
真っ青に晴れ渡った空の下、瀬戸内の美しい風景を愛でながらのんびり旅を楽しんだ。
高松からは高速道路で南国市まで向かったのだが、当然のことながら渋滞はないしガソリンも使わないし、居眠りもできる(船の中は)。
かと言って、時間がかかるだけの無駄な旅行ではなく、家族と食事をしたり、景色を見ながら会話をしたりで充実した旅なのであった。

ちなみに日本の鉄道インフラは世界一。
毎日世界中で鉄道を利用して移動している人口の半分は日本人だと言われている。
また鉄道はエコな乗り物ナンバーワン。
極端な話、電車は加速と減速するとき以外は電気が要らない。
そんな性能、プリウスにもない。

ということで、早く何とかしなければ国内インフラと財政がめちゃくちゃになってしまいそうだ。

なお、私は今後タイヤは住友ダンロップか東洋タイヤを買いたいと思っている。

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