一昨年の検査で引っかかってから食事がなにかと煩くなった。
正確には食事ではなく、カミさんがうるさくなったという意味であることは言うまでもない。
一種の成人病で引っかかっている人は多いらしいが、要は酒の飲み過ぎ、塩分のとりすぎ、脂っこいもののとりすぎは「イカン」ということなのである。
この結果、酒が飲めなくなった。
これも正確には酒は大好きで飲めるんだが「飲んじゃ駄目」ということになってしまった。
脂っこいものを避けるために焼肉、ラーメンの類は極力食べなくなった。
これも全然食べないなんてことはまったくなく、食い放題の焼肉、や、こってり天一のラーメンなんかを食わないようになった。
問題は塩分だ。
塩分を減らすと食事が不味くなり、食欲をそそらない。
このため、カミさんはなんでも「減塩」の製品を買うようになった。
減塩味噌の味噌汁。
減塩塩昆布。
減塩漬物に減塩キムチ。
減塩の出汁。
なんでもかんでも減塩である。
この減塩。
最初の頃は何も考えずに受け入れていた。
きっと減塩は体にいいに決まっている、なんて思っていたから我慢しながらも「減塩でこんなに味付いているの?」と思うこともなかった。
しかし、そこは減塩。
そもそも減塩の塩昆布なんぞ塩昆布と言えるのか。
私にとって大いに謎な部分もあった。
しかも減塩商品のほうが通常の商品よりも価格が高い。
そこへ持ってきて昨今の物価上昇、エンゲル係数の膨張。
食材にかかるコストのリスクと健康のリスクを天秤にかけると、あまり意味がないように思えてきた。
よくよく考えてみると、例えば「塩分25%カット!」と書かれた食品を25%多く食べると体に与える影響はなんら変わることがない。
これに気がつくのに少し時間がかかったが、要は通常商品を食べすぎないのが塩分カットの本当のやるべき対策であることに気がついたのだ。
25%塩分をカットした食品を100食べるよりも、カットされていない普通の食品を75食べるほうが健康にもいい。
相乗効果というかなんというか、酒を絶っているために食べる量が大幅に減っており、この食事量の大幅減を考えるとわざわざ減塩する必要はないように思われるのだ。
この考えが間違っているのかどうか。
100を75にした食品に塩分25%カットの食材を入れるへなちょこ正論を与えそうでカミさんに話すのは躊躇しているところだ。