<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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そもそも仕事であったら長距離路線はANAでもJALでも会社経費になるわけだし、わざわざ狭いところに押し込められるLCCを利用する必要もないのであった。
しかし、出張経費を精算した時に、

「ホンマに北海道行ってきたん?」

と経理担当者に言われたの旅好きの私としては本望なのであった。

私の上司なんかは65歳を超えているのでいつもシルバー割であちこち出張をしているのだが、私はそのシルバー割よりも安価な経費で北海道出張をしてきたわけだから、驚きは小さくない。
距離単価で言うと。私としては生涯ナンバー2の割安さなのであった。
ちなみに最も距離単価で割安だったのは、十数年前に利用したシンガポール航空の関空~バンコク便で、当時はオイルサーチャージもなく、往復で37000円なのであった。
もちろんシンガポール航空はLCCではない。
客室乗務員が美人揃いで有名な人気エアラインでもある。
この時に購入した格安航空券がずば抜けて安く、バンコクで宿泊した宿も1泊1800円のゲストハウスだったので、土産物やバンコク都内の交通費、自宅から関空までのJR線運賃などを含めた総旅費は7万円程度なのであった。

あの時のずば抜けた価格はともかくとして、大阪~札幌約1000kmを往復2万円ちょっとで移動できたのは、経皮的には優等生なのであった。

二日間の札幌での仕事を終えて、大阪に帰る時が、これまた大変なのであった。
新千歳出発は18:30。
日没直後の薄ぼんやりした中を離陸。
今度は関空まで、窓の外からほとんど何も見えず、初めて見えた町らしい町は神戸なのであった。

帰宅後にどこを飛んできたのか調べてみると、あなビックリ。

札幌を離陸後、津軽海峡を渡るとそのまま青森をかすめて日本海へ。
その後、ずーっと日本海上空を飛行して鳥取県で本州上空に新入。
鳥取県を南下して岡山を経て四国をかすめ、淡路島上空で今度は北方向へ進路をとり、神戸をかすめて大阪湾を半周し、北から南方向に関空へ着陸。
せめてもの救いはピーチのターミナルに近い第2滑走路への着陸であったことだ。

ということで、帰りは狭さがもっと身にしみるピーチエアの旅なのであった。

安い旅行には忍耐が必要だ。

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ピーチに乗っていて何が辛いかというと、窓側に座っていて外の景色が見えないことほど辛いことはない。
そのことが今回よく身をもってわかったのであった。
窓から地上が見えるうちはまだまだ狭いのは苦にならない。
また、雲に覆われたとしても、だいたい飛行機は雲の上を飛行するので雲の形が美しいと、それだけで退屈することはない。
視界の上は青空、眼下には雲のアートが広がる。
というのが、昼間に飛行機で移動するときの楽しみなのだ。

まして大阪から札幌へ向かう飛行機は飛ぶ高度も国際線と同じであり、巡航飛行中は揺れることもほとんどない。

ところが季節も関係するのだろうが、窓の外がキリのようなもので満たされ、雲も個性のないのっぺりとした姿に変わると、もう窓のない地下室と変わらない。
この時がそうだったのだ。
富山から北。
すなわち新潟県上空からは外の景色がもや~とした感じになり、楽しみがなくなってしまったのだ。
私はモノトーンの窓の外を見つめながら、なんなんや、これ。と心のなかで不満が充満した。

狭い座席は前方席の背もたれ裏の圧迫感と、機内販売が来ても何も買えない密集度が息苦しさを感じさせる。
そう、まるで満員の乗合バスの座席に座ってサンシェードを締めて外が見えない状態で空を飛んでいる、という感じなのだ。
2時間もの間、乗合バスの座席に座り続けることはまずない。
乗合バスというのはだいたい駅から家の近く、学校の近くまで10分か長くても20分間程度しか乗ることがない。

仕事場所の一つがある大阪大学の吹田キャンパスへ通うとき、私は地下鉄の千里中央駅から阪急バスを利用していて、これが渋滞なんかに巻き込まれると大学に着くまで結構時間がかかってしまうのだが、それでも30分以上は乗ったことがない。
東京ビッグサイトから東京駅まで都バスに乗った時は30分以上時間がかかったが、この時はレインボーブリッジを路線バスで渡るという大阪人の私にはめったに経験しないことがあり、それはそれで満足した。

乗合バスに5時間以上乗り続けた経験もあるが、あれはミャンマーという外国での経験だったので、別段苦痛という感じはなく、むしろ楽しいという時間なのであった。
この乗合バスの旅については別途詳しく述べなければならないだろうが、そんなこんなでピーチの立ち上がれない動けないは、かなりの忍耐を必要とするものであった。

つづく

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神戸空港に毒ついていると、その神戸空港に着陸するらしき青い機体の飛行機の機影が西から東に向かって眼下をゆっくりと飛んでいた。
しかし、この飛行機は神戸空港には着陸しなかった。
神戸空港のずっと上空を飛んでいる飛行機なのであった。
私のほうがかなりの高度を飛んでいたため高さ感覚がよくわからなくなってしまっていた。
飛行機はよくよく見ると大韓航空機で関空に向かって飛行しているのであった。
大阪湾上空は航空路が何層にも重なっている複雑怪奇なエリアだった。

飛行機は神戸空港上空を要北東に向かって飛行していく。
やがて眼下には甲子園球場が見えてきて、続いて大阪空港も見えてきた。
この日、雲ひとつ無い快晴で、かなり遠くまで見渡すことができる。
淀川に沿って北東に進路を変えると京都盆地が見えてきた。
京都の碁盤目状の町並みがよく見える。
御所が見え、二条城が見え、下鴨神社が見える。

比叡山の向こうには琵琶湖が広がっている。
飛行機はたぶん宇治上空を飛行。
瀬田の唐橋。
琵琶湖大橋。
そして近江平野が広がっている。
織田信長の居城があった安土城跡もよく見える。
やがてハゲ山のような伊吹山が見えると、そこからは山並みが続き、次第に険しくなってくる。
ピーチにはANAの「翼の王国」のような機内誌もなければ、地図の表示される液晶ディスプレイもないため、どこを飛んでいるのかわからない。
岐阜県か長野県か富山県か石川県か、このあたりの地理はちっとも覚えていないので、下に道路は見えるものの、どのカタチからどこを飛んでいるのか自分で判断することは難しかったのであった。

結局、数日後、帰宅してから撮影した写真と地図を見比べると岐阜県から富山に抜けたことがわかった。
険しい黒部の山々を飛び越えると、富山市街、高岡市街が望まれ、やがて飛行機は日本海へと出て行ったのであった。

で、座席の狭いことを忘れて景色に夢中になっていたのはここまでて、此処から先は眼下には海原が広がるとともに、それもやがて雲に覆われ、何も見えなくなってしまったのであった。

この瞬間から、ピーチ・アビエーションの狭い座席に息詰まりのようなものを感じ始めたのであった。

つづく

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よど号ならぬMARIKO JETに乗り込んだ私は確保していた窓側の座席に着席。
天気もよく、日中のフライトということもあり、良い景色が期待された。
MARIO JETは時間通りに関空を出発。
ピーチ専用の第二ターミナルは第二滑走路の近くにあるので、第二滑走路から離陸すると思ったら、一般的な第一ターミナルから離陸したのであった。

飛行機を利用するときは約9割が東京へいくときなので、コースはいつも同じ場所を通っている。
強いて言えば、房総半島沖に突き抜けた後、風向きによって木更津から羽田に降りるか、幕張や木場を通って羽田に降りるかの、若干のコースの違いしか無い。
ところが今回は関空を離陸すると北海道の千歳空港へ向かうので、当然飛行機は東京とは違った方向へ飛んで行く。

私の目に最初に飛び込んできたのは明石海峡大橋なのであった。
飛行機は南に向けて離陸すると、大阪湾を大きく右に弧を描くように上昇をし、旋回が終わるとちょうど、眼下に明石海峡大橋の美し姿が望めたのだった。
しばらくすると眼下に神戸空港が見えてきた。
この空港さえなければ関空や伊丹はもっと混雑しなくて済むのに。
と、神戸市の空気を読まない無神経さのため、一日数便しか飛んでいない超ローカルな空港を建設し、それがやがて活況関西空港の大きな障害んなってしまうとは誰一人想像するものはいなかったのであった。

つづく

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ピーチは7時出発の便を利用した時にセルフサービス式のチェックインで超混雑を経験したので早めに行ったほうが良いという学習をしたのだが、8時出発の札幌真千歳行きはさしたる混雑もなく、スムースに搭乗手続きを済ませることができた。
ピーチは一日に何回関空と目的地を往復できるかが収益性に大きく影響するため、一般の人々が利用しやすい最も早い時間である7時に一斉に各地に飛び立つため、7時の便は要注意なのだ。
なぜ札幌行きが8時発なのかわからないが、関空の混雑と関係あるのかもしれない。

ピーチは機内サービスがすべて有料であることから、乗る前にはかならなずペットボトルのお茶を買うことにしている。
機内で飲み物を買えなくはないのだが、前回の仙台往復で機内では座席の位置関係で機内販売を利用することが困難であることがあることに気づき、せめて飲み物程度は買うことにしているのだ。

搭乗開始のアナウンスというか、声張り上げというか、ラミネートされた案内紙をもってペラペラしながら案内する地上スタッフに促されてゲートを潜り、通路を歩き、最後にレシートみたいなチケットをチェックされ、飛行機に向かってエプロンをてくてくと歩いて行った。
真っ青な空。
蒼い海。
輝く太陽。
そこへ白とピンクのA320の機体がキラキラと輝いている。

第一滑走路と第二滑走路を結ぶ連絡路の向こうには真新しいフェデックスの極東物流拠点が望め、古臭そうなフェデックスの貨物機が何機も駐機されていた。
つい数年前まで閑古鳥の泣いていた関空は今や大盛況。
日本でただひとつの完全24時間空港ということもあり、旅客便よりも貨物便のほうが多くなるのも時間の問題だという噂もちらほらである。

そんな景色を楽しみながら写真を撮っていると、乗り込む飛行機のほっぺたのところに「MARIKO JET」と書かれているのに気がついた。
MARIKO JET。
なんじゃそりゃ?

タイ国際航空の飛行機にも同じようび名前がついているものがあるし、あの「よど号」も確か機種のほっぺに「よど号」と書かれていたはずだ。
これはきっと現代版の「よど号」に違いないと思っていたら、なんでもMarikoというのは元AKB48のメンバーの1人がピーチのイメージキャラになっているとかで、その子の名前を取ってMariko Jetなのだということを、帰宅してからカミさんから教わったのであった。
したがって私が「よど号」と呼んだMariko JetはAKB48ファンには垂涎の飛行機であったわけで、知らぬとは恐ろしいことだとつくづく感じたのであった。

つづく

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関空発札幌行きは午前8時発だったので、空港へ行く時間はいつもの東京行きと同じ時間。
東京へはANAの8:10発を利用することが多く、家を午前6時半ごろに出発するので肉体的にキツイということはまったくない。
ANAとピーチの違いはターミナルビルが違うことで、ANAは鉄道の駅のあるターミナル1なのでとっても便利だが、ピーチはLCC専用のターミナル2なのでターミナル1からバスか徒歩で移動しなければならない。
徒歩だと30分はかかるだろうから、当然バスを利用することになるが、これが最初の関門でもある。

関西空港のターミナル連絡バスは羽田空港と同じく無料だが、羽田空港と大きく異なるのは羽田は空港用のバスを使っているのに対し、関空では南海の乗合バスをそのまま使っているためスーツケースなどの大きな荷物は座席が邪魔になってかなり狭い思いをしなければならない。
しかも、利用者にとって不幸なのかどうなのか、ピーチエアはLCCの中でも絶対的人気を誇っているためバスがいつも満員状態。
いつも一杯の状態になっているのだ。

この一杯状態はもしかするとバス会社の陰謀かも知れない。
というのも、私は学生時代、最寄りの近鉄電車の駅から大学まで地元のローカルなバス会社を大学がチャーターしたスクールバスに利用していたが、このバスが満員にならなければ出発しないというヘンコなやつで、学生の顰蹙を買っていたのだ。
ちなみに大学は大阪芸大でバス会社は金剛バス。
奇人変人大集合の大芸大だからかどうか知らないが、大変な運命になってしまっていたのだ。
かの世良公則先輩も、あのバスに乗って通っていたのかどうかは定かではない。

以上余談。

で、南海バスを利用した満員のバスで第2ターミナルへ向かった。
バス車内では日本語、英語、中国語、韓国語のアナウンスが流れるのだが、アナウンスが終わる頃にはすでにターミナル2に接近しており、こんな4ヶ国語でアナウンスする必要あるんかい、日本語と英語でええやん、と毎回思うのであった。

つづく

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仕事で北海道大学に行かなくてはいけなくなり、航空券の手配をすることになった。
いつもならANAを利用する私なのだが、ANAを利用すると普通チケットで大阪~札幌の往復が約6万円もかかってしまう。
これは関西~バンコクのタイ航空やシンガポール航空の格安チケットとほぼイコールだ。
なんで4000km離れた東南アジアへ向かう国際線と1000kmしか離れていない北海道へ向かう国内線の運賃が同じなのか理解に苦しむが、現実は厳しい。

折しも会社は景気が良くなっても経費切り詰めは継続されてるので、出張だからといってANAというのは気がひけるものがある。
そこで、選択!
ピーチエア。

関西空港を拠点とするピーチは便利な存在で、これまで福岡と仙台への出張に利用した実績がある。
チケットは安いが狭いのが玉に瑕で福岡はともかく、仙台でも乗っているだけで結構疲れたのだ。
この仙台行きで疲れたピーチに札幌までとなるとフライト時間は2時間強。
果たして狭い機内で耐えられるのかどうか、ある意味、実験でもあったのだ。

つづく

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