おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

どこが どうちがうの ?

2021-11-15 | マンション〔実務に到るまでをも含む 相談アレコレ〕

 

<質問が多いところなので 再掲 というようなことですが 載せてみます>

専門的な説明が どうしても 加わってしまいますが どうぞ 疑問点をお持ちの

方は 参考までに 眺めてみてください

 

 

題を設けるとすると

【マンション管理費等滞納者に対する請求訴訟で要した弁護士費用を 損害賠償 
 として請求できるのか】

というようなことになります



相当因果関係にある損害(そのようなことが起きてしまった場合 それに関して費
やされ生じたものだとして滞納金同様に請求できることに問題は無い と 捉える
ことが 一般的に認められるべきもの)なのか どうなのか ?


不法行為の場合は <相当な範囲の額ならば 弁護士費用を含めての請求も可>

というのが 判例です

 要旨の一部 
[ 訴訟活動において、一般人は十分に訴訟追行をなし得ない。
  不法行為の被害者が損害賠償請求訴訟を弁護士に委任した場合の弁護士費用は、事案
  の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範  
  囲内で、相当因果関係に立つ損害といえる。    最高裁判決 昭和44・2・27]

 

では 債務不履行 の場合は 認められないのか ということですが 要件を満たす場合は

認めてもいい という判例も 出ていたりします 

 要旨の一部
[ 労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請
  求するために訴の提起を余儀なくされた場合弁護士費用について、事案の難易、請
  求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のもの
  に限り、安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害である。  
                           最高裁判決 平成24・2・24]

 

 

 

“ ナンデ 滞納金のほかに弁護士費用の分 マデモ 払わなければならないんだ ”

というような ゴタゴタを避ける意味 ? からも 標準管理規約では 60条に  

【 違約金 としての弁護士費用 】として 登場させています

 

金銭債務の特質から 損害賠償金としての弁護士費用は認められないのか

それとも

弁護士費用は 損害賠償請求に係る通常生ずべき損害とは認められないからなのか

ということあたりの説明が 関連判例の位置付けのことあたりも含めて ハッキリとせ

ず ??

基本書あたりでもナンダカ 根拠が曖昧なのではないかなー ? と 自身は思ってい

るのです が( あくまで 私見 です )

 

 

金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、本条(民419)の反面とし
、たとえ約定又は法定の利率以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求
することはできず、弁護士費用その他の取立費用も請求できない。
:同事件の別掲載要旨:
金銭債務の履行遅滞を理由とする損害賠償は、損害の証明を要しない反面として、約定
または法定の利率による額を超える損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求す
ることはできない。(弁護士費用その他の取立費用の賠償を否定)。
                      (最判昭48・10・11)

 

ともかく
 
損害賠償としての弁護士費用の請求

違約金としての弁護士費用の請求は異なるのだ

という理論で 事は進められていますよう ですので・・・

 

それでは 違約金 とは ?


(賠償額の予定)
第四百二十条 
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

             ※ 改正前には 「裁判所は、その額を増減することができない」
               という文言も登場していました が 削除されています
               けれども 解釈に今までとの変化はないとの解説が多いです
               相手の弱みにつけこんだような公序良俗違反などにあたるよう
               な違約金などについては 減額が認められることもありました
               ので


ということで
繰り返しになりますが 

請求額に含めてしまっていいのかダメか
(その不履行に通常発生する損害とはいえないのか

その不法行為によって生じた損害と認めてよいのかダメなのか

419条の金銭債務の特則があるから弁護士費用は請求できないのか )
というような議論をもしなくていいように 

標準管理規約 には 違約金(賠償額の予定)として組み込まれています

 

金銭債務の不履行による損害賠償として 債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を
請求することはできない(最判昭和48・10・11)というものがあるので 別途に
請求できる違約罰賠償金ではなく 制裁金のようなものとして弁護士費用を請求す
ることができるとして 標準管理規約に定められた と解されているようです
                      参照 (東京高判平成26・4・16)

(東京高判平成26・4・16)は 〔管理規約の文言も「違約金としての弁護士費用」
とするよりも 「管理組合が負担することになる一切の弁護士費用(違約金)」との
文言とするほうが望ましいといえよう〕 とも 述べています

 

 

ということで

『弁護士費用を請求するにも その根拠に イロイロと 配慮 というか 工夫 という
 か そこらあたりのことが 少しは ワカッタような気がする』

とオッシャッテ いただけるかどうか 

一応 説明 させていただきました けれど・・・? ヤハリ シックリこない
でしょうか ?

 

 

以前から記していますが 

相談があった場合

「弁護士さんなどに頼まなくても 裁判所の広報などを見ながらでも ナントカ 訴状
 なども できあがってしまうものですし 実際の追行することなど ということもでき
 てしまうものですよ
 それに どうみても 滞納側が争う理由付けなどできないことが ホトンド なので」

と 自身は 説明させていただいています