今日から、多摩美術大学上野毛キャンパスで卒業制作展が開催されています。
多摩美も多摩キャンパスに移り、上野毛キャンパスも寂しくなりましたが、わたし自身、このキャンパスは都内の大学の中でも好きなキャンパスの一つです。
たくさんの画家や芸術家、音楽家、広告クリエイターを産み出したこのキャンパスは、末永く続いてほしいと思います。
多摩美術大学造形学科卒業制作展
多摩美術大学大学院日本画・油画(夜間主コース)修了制作展
この卒業制作展は、造形学部造形学科日本画11名、油画23名による卒業制作と大学院修士課程絵画専攻(夜間主コース)3名による修了制作展を、上野毛キャンパス2号館を中心に展示。
若き芸術家のパッションを感じさせる展覧会です。
そのほか、映像演劇学科の演劇、映像、写真、空間作品、身体表現などのパフォーマンス発表もあります。
作品を1点ずつ丁寧に見てまわりました。
芸術家の卵というと、クールで暗く、下を向いて歩くオタク風な学生をイメージしますが、ここの学生さんは決してそんなことはありません(笑)。
出会う学生さんも笑顔でフレンドリーに挨拶されます。
中には、どこかで見たような作品からの引用もありましたが、それもご愛嬌。
どの作品も、独自性、独創性、創造性をキャンパスの上に表現しようという力作でした。
特に、院生の作品は秀逸なものが多かったような気がします。
お金を出して買いたい作品も何点かありました。
展示されている作品群に、指導教員や主査、副査のコメントなどが提示されていれば、さらに理解が増すと思います。
公開するため、それは難しいのでしょうか?
展示の中で印象に残ったのが、3号館で見た舟追あやさんの作品。
暗い部屋でオープンリールの旧式録音機で再生される単語、単語、単語・・・。
両手でフィルムを巻き上げるとルーペごしに浮かび上がる言葉、言葉、言葉・・・。
ワンワードでも、それが連続すると、新たな意味が浮かび上がってくる・・・なかなか素敵な展示でした。
また、舟追さんにいただいた「pool/諸解説と全文、新作」には、宝石のような誌的なコピーが記述されていました。一部をご紹介します。
詩を書くのに疲れ、短歌を詠む
相変わらず記憶喪失になり続けている・・・
座軸を定めるが見失う 。そこにいる、いうなれば14次元以上の。
詩人なんかになりたくない。夜遅く残業して帰った一人暮らしの家で、海外ドラマ観てはハラハラするOLになりたい。・・・
若く、ばれる毎日に、プールの泳ぎ方を忘れる。
水と言葉の中で泳いでいる瞬間が一番しあわせ。
タイムマシンを忘れない
借りてばかりいる。机や文鎮、場所、本、ナグラ、声、手、知恵や力をたくさん。返せないものばかり。この上ない果報者です。
コトバの使い方がとても秀逸。
私にとっては、ランボー、中也、朔太郎がオーバーラップしてきます。
舟追さんの詩集が出たら、手に入れたいです。
この作品展は、2月4日(水曜日)まで。
東急大井町線上野毛駅下車、徒歩4分。
美大のキャンパスで、若きアーティストの渾身の作品に出会えることが出来ます。