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アル・ゴア「未来を語る 世界を動かす6つの要因」 地球は、どうなっていくのか?博覧強記の政治家語る

2015年02月12日 | 本と雑誌

久々に、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃、インパクトをあたえる本を読みました。

次の日、仕事だと言うのに朝の4時までかけて一気に読破。

アル・ゴアさんの新刊。なんと559ページもある大作です。

アル・ゴアさんは、米国の副大統領を8年間務めた政治家。

その前に、下院議員、上院議員を計20年務めた政治家。

その前は、投資顧問会社、テレビ局の経営者という民間の出身。

今では、アップル社の取締役も務められています。

名著「不都合な真実」、「理性の奪還」は大ベストセラー・・・2007年にはノーベル平和賞を受賞されています。

 

それにしても、このゴアさん・・・博覧強記でロジカル、プレゼンテーション力も抜群。

こんな政治家、経営者は日本ではお目にかかることがありません。

古代ギリシャの哲学から、世界史、科学技術、医療、社会保障、自然科学まで何でも語れます。

同書の参考文献の紹介が巻末に掲載されていますが、なんと10ページもあります。

脱帽です。

また、何気なく書かれている箇条書きも切り口が鋭く、しかもMECEになっています。本当にすごい方です。

 

The Future by AL GORE

アル・ゴア 未来を語る 世界を動かす6つの要因

アル・ゴア著 枝廣純子・中小路佳代子訳 KADOKAWA刊 1800円+税

 

同書は、「不都合な真実」に、グローバル、政治、経済、科学技術、ICTなどを加えた壮大な提言書になっています。

 

目次

はじめに

第1章 アース・インク(地球株式会社のことです)

第2章 グローバル・マインド

第3章 力のパランス

第4章 増殖

第5章 生と死の創造

第6章 崖っぷち

おわりに それで私たちは何をするのか?

 

ゴアさんの言う世界を動かすつの要因は、次の6つ。

目次から重要キーワードをピックアップしました。

1.  アース・インク・・・世界の貧富の差 小さな変化・大きな影響 ロボットソーシング 3D印刷の出現 持続可能な資本主義 変わりつつある仕事の性質

2.  グローバル・マインド・・・グーテンベルク効果 ビッグデータ 新しい世界における教育と医療 セキュリティ プライバシー

3.  力のパランス・・・中国の問題 過渡期にある国民国家 戦争と平和

4.  増殖・・・明確になる限界 都市の拡大 飢餓と肥満 廃棄物と汚染 変わりつつある家族 女性と女子のための政策課題 寿命 移住 難民 危機にある地下水と表土 待ち受けている砂嵐 海洋

5.  生と死の創造・・・精密医療 生命のデジタル化 ゲノム効果 人工生命 クローン人間 優生学 子供を改造する 能力を向上させる 遺伝子組み換え

6.  崖っぷち・・・世界を襲う熱 緩和か適応か ハドレー循環 分断の政治 フラッキング 種の絶滅

 

ヨットで海に出た時、地上の混雑を忘れるように、同書を読むと、アタマのフレームワークが地球サイズに拡大し、日々の細かい雑事がバカバカしく思えるようになります。

翻訳も、実に見事で、サクサク読むことが出来ます。

そして、各章のアタマには、マインドマップ。ワクワクしながら読めます。

 

ぜひ、一気読みしていただきたい一冊です。

最後に、同書の中で、気に入ったフレーズをプレゼントさせていただきます。

歴史学者によれば、古代バビロンの占星術師は2つの時計を用いたという。

一つは、人間の出来事を測るための時計で、もう一つは、地球の出来事に影響を及ぼすと彼らが信じていた天体の動きをとらえるものである。

今、私たちもまた、私たち自身の未来の予測において、二つの時計に最新の注意を払わなければならない。

一つは、時間や日にちを測る時計であり、もうひとつは、私たちが起こしている地球の自然システムの乱れが、続いていく年月を百年単位、千年単位で測る時計である。(同書21ページより)


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