「スティーブ・ジョブズ 青春の光と影」
脇英世著 東京電機大学出版局 2500円+税
2011年に出されたウォルター・アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」。
世界的なベストセラーになりました。
アイザックソンさんは、アインシュタイン、ベンジャミン・フランクリン、キッシンジャーなどの米国の歴史的人物の伝記をしるした伝記界のスター。
ジョブズも公認伝記と認め、これでスティーブの歴史、伝記には決着がついたものと考えていました。
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そんな中、脇英世東京電機大学教授が、「スティーブ・ジョブズ 青春の光と影」を執筆、刊行されました。
481ページの大作。索引もしっかり付いています。
同書は、ジョブズの出生から30歳くらいまでを、丹念な文献探索と取材調査で精緻にまとめられています。
大学院で学んでいたころ、主査の教授に言われたことがあります。
「文献調査、歴史の探究は、砂をかむような地道な努力が求められ、大変だよ」と・・・。
脇先生は、ジョブズについて膨大な資料、書籍を蒐集し、これを丹念に読み込まれたのだと思います。
本当に、ジョブズがお好きなんだろうと思います。
脇先生は昭和22年生まれの67歳。そういえば、副題の「青春の光と影」は英国バンドのプロコル・ハルムの名曲「青い影(1967年)」の影響があるのかもしれません・・・表紙もシンプルな青色ですし・・・。
脇先生ご自身も、安保闘争、ベトナム反戦運動など青春時代の思い出とオーバーラップされているのだと思った次第です。
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目次
第1章 スティーブ・ジョブズの誕生と生みの親
第2章 スティーブ・ジョブズの育ての親と幼少年時代
第3章 スティーブ・ウォズニアック
第4章 二人のスティーブ
第5章 ヒッピーと反戦運動の高揚
第6章 ティモシー・リアリーとババ・ラム・ダス
第7章 クリスアン・ブレナン
第8章 リードカレッジ
第9章 アタリとノーラン・ブッシュネル
第10章 マイクロコンピュータ革命の日は来た、しかし・・・
第11章 スティーブ・ウォズニアック立つ
第12章 アップル誕生
第13章 アップルⅡ
第14章 アップルの再編
第15章 マイクロコンピュータ業界の変貌
第16章 華々しい成功の陰に
生みの親と育ての親が違ったという事が彼の思考、価値に影響を与えたかもしれないということ、初恋の人クリスアンとの相互の影響、最大の仲間ウォズニアックとのコラボレーション、アタリ社での仕事、インドへの放浪、そして禅への関心の高まり・・・、ジョブズの生き様を客観的、学術的なアプローチで炙り出した同書は、伝記という側面以外に、イノベーションを起こした人材研究ということが言えると思います。
いま、アップル社の製品にハマっている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
1990年代、マックユーザーはどこか変わり者(失礼!)、今でもiフォンやiパッドフリークには、すごいコダワリを持っている人が多いような感じがしています。
同書を読むと、アップル社への想いがさらに深まることになると思います。
表参道店・・・いつもお世話になっています
2月24日は、スティーブの誕生日。
存命であれば、今年60歳・・・還暦を迎えます。合掌