近所に、小さいながら有名なトンカツ屋さんがあります。
その名も「とんかつ 竜馬」。
昨年逝去された高倉健さんが愛し、秋元康さんが絶賛しているカツ丼が、この店の名物です。
楽しいことがあった時、悲しいことがあった時、普段着でこの店にカツ丼を食べに行きます。
そこにいるだけで、大好きなムービースターの高倉健さんの持つプレゼンスを感じることのできる場所。
クールで、人間的で、力強く、武士道を体現する姿勢・・・でも、庶民的でカツ丼なども食す・・・日本男児のロールモデルです。
カツ丼の味も100倍美味しくなります・・・。
かといって、いつも混んでいるわけでなく、行列が出来ることもないお店。
それは、世田谷区中町の閑静な住宅街の中にひっそり立つ小さなお店。
はじめての人はたどり着くまでに、かなり苦労するかもしれません。
交通機関的には、まさに陸の孤島です。
テーブル二つ、カウンター7席という本当に小さなお店です。
老夫婦2人が切り盛りしている、とんかつ屋さん。
でも、ほとんどのお客さんは、カツ丼をオーダーします。
かなり高齢のご主人が、テキパキ揚げるトンカツ、独特な包丁さばき、卵をかき混ぜる手つき・・・芸術的です。
職人さんも、この域に達すると、仕事する後姿だけでもオーラを感じさせます。
お店の奥には、高倉健さんのサインと写真が飾ってあります。
このお店を最初に知ったのは、AKBプロデューサーの秋元康さんの著書。
「世の中にこんな旨いものがあったのか?(秋元康著・小学館文庫)」
この本には、都内を中心とした51の飲食店が紹介されているのですが、その最後、オオトリに「とんかつ竜馬」が紹介されています。
一口食べて不味いと思うカツ丼に出会うことは滅多にない。同時に旨いカツ丼と出会うこともない。しかし、竜馬のカツ丼は旨い・・・。
待つこと10分。
出てきました・・・。
う~ん、美味い!
この瞬間、悲しみもストレスも飛びます!元気をいただける逸品です!
そういえば、作家の五木寛之さんも福岡から上京したばかりの貧乏学生だった頃、バイト先の新聞販売店のおかみさんから、出前のカツ丼を出されて感激したことをエッセイに書かれていました。
五木さんにとって、生まれて初めて食べたカツ丼・・・。
感動的な描写でした。
そういえば、高倉健さんも五木寛之さんも福岡県のご出身。
何かの偶然でしょうか?
カツ丼(トン汁、漬物付)・・・840円(税込)
東京都世田谷区中町5丁目 とんかつ竜馬