能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

あらためてアメリカンフットボールのタックル問題を考える 日本大学フェニックス、不死鳥のように甦れ!

2019年02月11日 | スポーツ
日大フェニックスの長年のファンとして、実に残念な一年でした。

廃部の危機から、何とか脱出。

トップ8、ビッグ8への復帰を目指して、監督、コーチ等の指導陣を刷新、日々練習に励んでいることと思います。

フットボール日本代表のディフェンス選手のプレーとは思えないアンネセサリーラフネスを超えた「パーソナルファウル」。
よほどの事があったのだと推察・・・同情した次第です。
あんな事件さえ起こさなければ、チームレベル的に、早大ビッグベアーズを破り、関学ファイターズを撃破し、甲子園ボウル連覇を成し遂げられたかもしれないのに。
本当に残念です。

でも、事実は事実・・・相手を傷つけたことに対して、チーム・日大フェニックスも、監督・コーチも、選手も大学全体も反省しなければならないと思います。
フェアプレイ日大のプライドを取り戻すためにも。




そんな中、警視庁は2月5日、選手にタックルを指示したとして刑事告訴されていた前監督と前コーチについて「傷害の意図を持ったタックルの指示は認められない」と判断、東京地検立川支部に捜査結果を送付。
さらに検察は、タックルをした選手については「処分を望まない」とする意見書を付けて書類送検しました。

絶大な権限を持つ警視庁調布署は日大のDL選手の陳述書や内田前監督らの聴取内容、200人を超える部員や関係者の証言、試合映像の解析結果を慎重に検討。
その結果、犯罪として立件するために厳密な客観証拠を必要とされる刑事事件としては、違法行為までは認定できないと判断したようです。

これに対して、関東学生アメリカンフットボール連盟や関西学院大学から何のコメントもなし・・・。
一体どうしたんでしょうか?

マスコミを巻き込み、市議会議員をされている親御さんまで登場して大騒ぎになった事件。
官憲、司法当局のジャッジに対して、何らかの発言、行動を起こすべきだと、個人的に思います。


この事件、フットボールを日ごろ見たこともない人たちまで巻き込んで、「悪質タックル」事件として、日大フェニックスというチームの体質、監督・コーチ等の資質、日本大学という組織のマネジメント、大学スポーツの在り方等まで、さまざまな問題提起がなされたのですから・・・。

そもそも「悪質タックル」という言葉が、フットボールをやったこともない記者の造語だと思うのですが、相手を確実に倒す「良質タックル」という言葉あるとすれば、それは紙一重のテクニック。

日本の学生フットボール、いや、日本の大学スポーツの将来、未来のためにも、議論は続けていかなければならないと思います。
ボクシングやレスリングなどのジャンルでも様々な課題が噴出・・・今、反省し、考え、行動する時だと思います。


問題のタックルは2018年5月6日、東京都調布市で行われた日大フェニックスと関学大ファイターズとの定期戦で起きました。日大のDL選手が、ボールを投げ終えて無防備だった関学QB選手に背後から激しくタックルしたシーン。

SNSにアップされ、拡散したこのシーンだけを観て、最初に思ったのが、「なぜ、関学のオフェンスチームの選手たちがレイトヒットしたDL選手に詰め寄り抗議しなかったのか?」という素朴な疑問でした。
あそこは、チームメイトとして、絶対行かなければならない所です。
戦友を決して見捨ててはなりません!

レフリーからイエローカードが飛び、15ヤードの罰則。
でも、その後も粛々と試合は続いたようです。

監督・コーチとして、その時に、試合を放棄するというオプションもあったと思います。



学生の頃、RBをやっていたのですが、レイトヒットを受けた時、仲間たちが駆け寄ってくれて手を貸してくれるとともに、ファールした相手選手に詰め寄り、罵倒・・・あわや乱闘事件になるところでした。

その時、思ったものです。
「こいつらと、このチームでプレイできて本当に良かった!」

いまでも、彼らとは、「戦友」の間柄。
今でも、何でも言い合い、旨酒をくみかわします(笑)。

センターの佐藤、スクリメージ突破の時、たまに身体を踏んづけちゃって、ゴメンネ。
QBの緒方、リバースの時、ファンブルして、悪かったなあ(笑)。


学生の頃、試合の前の日は本当に眠れませんでした。
一種の興奮状態にあるとともに、恐怖心も交錯した不安定な状態・・・。

そして、朝。
仲間と共にサイドラインに立ちながらサインやフォーメーション、オプションプレーの確認。
ショルダー、サイパット、シンパットの着装を確認・・・
マウスピースを噛み、ヘルメットをかぶって、フィールドに入る・・・。

ハドルを組んで、QB、ラインメンとプレーの確認。
そして、プレイコール・・・
「レディ、セット!・・・ハット、ハット・・・」
今でも、夢に出てきます・・・笑。


フットボールは格闘技。
監督、コーチ、先輩やチームメンバーからは強い言葉が飛んできます。
「つぶしてこい!」「やれ!」「QBをサックしろ!」「たたきつぶせ!」・・・。
それは、ファールをしろということではなく、強い気持ちで行け!ということ。
日常の会話で出てくれば、脅迫、強迫になるようなコトバ・・・。
一種の興奮状態と恐怖心の中で、自分に喝を入れてくれるコミュニケーションでした。

一番怖かったのが、リターナーを任された時。
敵陣からキックされたボウルをキャッチして、自らのランで戻す・・・チームのためにタッチバックにはしたくない。
ボウルが落下してくる・・・11名の相手ディフェンスがタックルにくる・・・その2つがダブります・・・使命感と恐怖感・・・あのような場面は、その後一度も経験していません。


でも、フットボールをやって、本当に良かったと思います。
米国生まれのこのスポーツ。
マネジメント、リーダーシップやメンバーシップ、スチラテジーやタクティクスなどが全て詰っています。
理屈、理論も必要、実践、実戦も必要・・・片方だけでは駄目。
フィールドの上では、体重とスピードの掛け算。
体重が軽ければ、スピードをつけて当たらないと吹っ飛ばされます。

米国発のマネジメントやマーケティングの本を読んでも、その理屈が身体を通じて理解できるような気がします。


タックル事件のあと、関学の鳥内監督が、「あのプレーが起こった時、なぜベンチに戻して指導をしなかったのか」と日大の監督、コーチに不満を表明しましたが、その時に関学の選手たちにも言ってほしかったです。
「おまえたち、共に戦う仲間を守ってやれ。何で助けに行かないんだ」と・・・。
関学には紳士が多いんですかね。


今回の事件で、もう一つ印象に残ったのは関学の頭脳プレー。
SNSでタックル問題を拡散し、マスコミを巻き込み、日大フェニックスをつぶしました。
戦わずして勝つ」・・・まさに孫子の兵法です。
前年の学生チャンピオンチームの出場権を「瞬殺」したのですから。

相手チームの情報の収集、SNSの活用、有望選手の獲得など、フィールド外での戦いも大事な時代になってきました。
カレッジフットボールの世界も、フィールドの外でも十分注意して、戦略戦術を練っていかなければなりません。


関学QB選手の親御さんは告被害届に続き、告訴状を提出。
大学スポーツ、かつ試合中のプレイでの告訴は至上初めてのことではないでしょうか?

刑事訴訟法上、告訴とは捜査と処罰を求める意思表示を行うための書類。
警察は告訴を受理すれば速やかに捜査を開始し、書類や証拠を検察官に送らなければなりません。
そして、検察官は起訴・不起訴を決定し、告訴人に通知することが求められます。
被害届とは、まったく性質の異なるものです。

ここまで大きくなったこの事件、今度は警視庁の捜査結果について、関東学生連盟、関学サイドからコメントを出す、あるいは検察に対する法的手続きをしていくことが求められると思います。


 

悪代官?内田前監督らはアメフト界を永久追放され、そして日大からも懲戒解雇。
現在、懲戒解雇とした処分を不当として解雇無効と未払い賃金の支払いを求め東京地裁に提訴しているようです。
名誉も職も取りあげられ、生活も大変だと思います。
生涯好きだったフットボールにも復帰できない・・・。
でも、個人的には、サムライ、武士としての潔さ、ケジメを示して欲しいと思います。
武士道!!!

そして、日大フェニックス、文字通り、不死鳥のように再び羽ばたいてほしいものです。
来年のTOP8、BIG8・・・そして、甲子園ボウル・・・楽しみにしています。
跳べ、フェニックス!
 
(フォトは、2015年川崎で開催された「東京ボウル」日大フェニックスvs.関学ファイターズのものです)

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「繁栄を確約する広告代理店DDB」人生を方向づけたコピーライター西尾忠久さん編著のビジュアル本は家宝

2019年02月11日 | マーケティング
日曜日の午後、書斎で珈琲を飲みながらの読書・・・至福で贅沢なひと時です。
 
自分の人生を変えた一冊の本があります。
広告に興味を持たせ、マーケティングやプロモーション、マネジメントの道を切り開いてくれました。
学卒で広告代理店に入社、そして、中小企業診断士への門を開けてくれました。


「繁栄を確約する広告代理店DDB」 
西尾忠久編著  誠文堂新光社  1700円

奥付は、昭和41年(1966年)なので半世紀以上昔のビジュアル本です。

今でもあると思うのですが、神田神保町の波多野書店で1985年頃に購入。
当時、この書店は、マスコミ、広告関係の古書を多く扱う古本屋さんでした。

大学時代にこの一冊に出会い、広告代理店へと進路をとったのです。

DDBとは、ニューヨーク・マジソンアベニューにある広告代理店。

DDB(ドイル・デーン・バーンバック社)は、当時でいえば新興勢力。
当時の米国の広告業界は、ひと昔前の電通のビジネスモデルであるテレビのタイムや新聞のスペースを押さえて独占的に売りまくれば、勝ち!という世界でした。
スペースブローカー、タイムブローカーが中心だった米国広告業界に新風を吹き込んだ広告代理店なのです。
 
広告はアートである」と主張する社長兼クリエイティブディレクターのウィリアム・バーンバックのもと、ドイル副社長、デーン管理担当副社長のイニシャルを組み合わせ社名を「ドイル・デーン・バーンバック」DDBとしたのです。


DDBの特徴は、広告デザイン表現の卓越性と切り口鋭いコピーだと思います。
当時は、売り主導の言葉をちりばめた広告が多かったようですが、DDBでは美麗なグラフィックデザイン、コピーによって見るものに訴求していきます。

そこには、当時躍進中だったSONYのテレビキャンペーンもあります。
1960年代の話です。
「ソニーの5インチテレビ」
SONYの小型テレビの広告では、ユニークなビジュアルに「ドライブインテレビ」「テレフィッシング」「見ながらお洗濯」・・・といったコピーが付きます。
米国人好みのライフスタイルに日本の小型化技術をフィットさせる見事な企画です。


エイビス
よく知られたチャレンジャーとしての広告。
エイビスは業界2位のレンタカー会社。
2位というポジションを逆手に取り、「なぜお使いいただきたいか」の理由づけをしていきます。
we try harder」われわれは業界2位、だすら最善を尽くして努力していきます。
汚れた車内も整備していない車両も許せないのです・・・と展開していきます。
このキャンペーンの最後にエイビスの副社長が登場し、コメントします。
「2位の方が面白いですよ。行先があるのですから」

「イスラエル航空」
パイロットやその母親までも動員した広告キャンペーン。
そのストーリー展開とコミカルなビジュアルに魅了されます。
1ページ大の母親のけな気なビジュアルにコメントが付きます・・・「私の息子はねえ、パイロットなんですよ」

「ジャマイカ観光キャンペーン」
その美しさ、これはもう実物を見ていただくしかありません。
思わずジャマイカに行ってしまいそうな企画です。
 

 
「フォルクスワーゲン・ビートル」
これも有名な「lemon」という表現。
ビートルの写真にレモンというコピーがついています。
レモンとは不良品というスラング。
写真では見えないキズがあるので、この車は市場に出さないという主張です。
そのほか、水の節約(空冷式)やアメリカ製であることなどの切り口で次々とクリエイティブが打ち出されていきます。
 
今でもそうだと思うのですが、アメリカ広告業界は一業一社制。
フォルクスワーゲンを担当すれば、同じ業界のフォードの仕事は出来ないのです。
全盛期のDDBでは広告会社からアカウントを指名できたという逸話もあります。
クリエイティブ一本で広告業界を切り崩したDDB、この会社は今でも健在です。
 

 
また、同書をまとめた西尾忠久さんは、当時、新進気鋭のコピーライター。
三洋電気宣伝部や日本デザインセンターなどで活躍。
米国広告界の最先端情報を日本に輸入した貢献は大だと思います。
「みごとなコピーライター(西尾さんサイン入り)」も同書とともに大事に書棚に入っています。
書斎の書棚に鎮座するわが家の家宝です(笑)。

今見ても、鋭い切り口のDDBアプローチ・・・見事な広告代理店でした。

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