昭和のサラリーマンの姿が、面白おかしく、鋭い切り口で語られるエッセイ集。
昭和30年にサラリーマン時代の司馬遼太郎が本名・福田定一の名で刊行した著書です。
古き良き昭和のサラリーマンの体温が伝わってきます。
古き良き昭和のサラリーマンの体温が伝わってきます。
ビジネスエリートの新論語
司馬遼太郎著 文藝春秋・文春新書 860円+税
司馬遼太郎著 文藝春秋・文春新書 860円+税
組織で生きるとは、何が大切でどんな意識が必要なのか?・・・司馬節がさく裂する一冊です。
同書は、サラリーマンの元祖・大江広元のお話で始まります。
大江広元は鎌倉幕府に仕えた文官。
京都の生まれの都会っ子・・・都落ちして鎌倉に向かいます。
やるかやられるかの武士の時代、源頼朝の下で事務能力を買われて出世を重ねていきます。
著者は、サラリーマン大江広元の処世の秘訣、権謀の名人であったことを史実に基づき説明していきます。
その大江広元の残した言葉・・・
益なくして厚き禄をうくるは窃むなり・・・
エリートサラリーマン広元の保身訓として残されています。
そのほか、サラリーマンの英雄、サラリーマン非職業論、人生観の年輪、反出世主義、奴レイ人種、職業的倦怠期、サラリーマンの結婚など、サラリーマンの悲哀を、オモシロ可笑しく記述していきます。
第二部にある「二人の老サラリーマン」は、なかなか感動的なお話。
「社畜」という言葉が出てきたのは、ごくごく最近。
若い人には、受けが悪いサラリーマンという枠組み・・・。
そりゃ、ベンチャーだ、起業だ、ソーシャルビジネスの方がカッコいいですよね。
でも、社会の大部分はサラリーマンによって支えられているのです。
同書は、会社命で生きてきたリーマンのオジサン、オバサンにエールを送る一冊になっています。
平成、そして、新年号のサラリーマンに、ぜひとも一読いただきたい一冊です。