松田敏子フラワーデザイン・徒然ローズガーデン

予定より長生きしている今を憂いながら、怒りながら、笑いながら楽しむ。

永井荷風

2007-09-16 21:20:45 | その他
今日の天声人語より
近所の公園に、淡い紅色をした秋海棠の花がひっそり咲いている。日陰を好む花だという。木立の下の暗がりが、そこだけ明るいように、ぽっと色づいている。またの名を断腸花と呼ぶのは、悲しみを誘うかのような風情のゆえらしい。作家の永井荷風は、この花を愛でて庭に植えた。居宅を断腸亭と称し、名高い日記「断腸亭日乗」を42年にわたって書き継いだ。戦前から戦中、戦後を自由な精神で貫く日記の筆を起こしたのが、90年前のきょうである。・・・中略・・・ 荷風は日記を公表するつもりで書いたそうだ。今ならブログを開いただろうか。インターネット上の日記ともいえるブログの開設者は、国内で800万人を超す。閲覧者は4千万人ともいう。誰もが表現者になれる半面、言葉による暴力といった負の面もある。「断腸亭日乗」には、登場する人々へのあけすけな批評はほとんどない。言葉の達人はきっと、言葉の切っ先がいかに鋭く人を突くかを、よく知っていたのだろう。
コメント
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